1 faddy◆FqvO

モンスターパークの風景(ssスレ)

このスレは、ドラ雑のスレに書いたモンスターパークの小説を投下・鑑賞するものです。
 感想もどしどしどうぞ!批判的な感想・矛盾を指摘する文章でも甘んじて受けます。
 また、見てくれた人、ss書きに参加してくれるととても嬉しいです。では、ドラ雑に投下済みの『小さな恋のものがたり』『カシェルの思い』の投下を始めます。
(PC)
80 faddy◆FqvO
 やれることはやった。それが、審判にどう届いたのかは判らないけど。
 司会の声が、会場に響く。
「続いては、この男の登場です。目玉くるくる。目玉くるくーる!!!!!!!!!エントリーナンバー8番!!地獄のーー!!ピーーーーエーーーーローーーー!!!!」

 ずでででんでんっ!

「なにその適当な紹介わっ!!」
 思わず、あたしは突っ込んでいた。それにかまうことなく、観衆は大盛り上がりだった。
 地獄のピエロさんは、会場に出て行った。それを見送っていると、腐った死体が視界に入った。
 自分が踊り終わって、緊張感が途切れていたのかもしれない。
何を考えてるんだかわからない顔。
 それを見て、あたしは、ある日のことを思い出していた。
 

 あたしは、ツタでチューブを引かされていた。
「こらボーっとするな!またやつらの手を差し向けるぞ!」
アダムスがなんか喚いている。あたしは、動く気力もない。
「毎日、筋トレばっかりで、練習になりやしない…もういやになった」
「ふむ…さすが気が強いな。私の説得に応じないとは」
「どこが説得じゃあ!!!!!」
「しかし、こいつらの魔の手にかかってもいいのかな?」
あたしの華麗なツッコミをシカトして謎の言葉を吐くパペックマン。
「こいつらってなによ」
「ふふふ…異形のその姿を汝恐れるべからず。彼の者を受け入れろ…」
腐った死体が現れた!デスクリーチャーが現れた!腐った魔獣が現れた!マルチアイが現れた!
「出でよ!ぐじゅぐじゅーズ!!!」
「なんちゅうネーミングセンスじゃああああああ!!!!!!!!」
「これでもまだやめるなんていうのか?」
「……もう、どうにでもして…」
あたしはもう、このスーパーイターイ様に反抗する気をなくしていた。
(PC)
81 faddy◆FqvO
 大きな拍手が響いた。あたしは我に返った。
「!?しまった!!」
あたしが最悪の思い出を回想している間に、地獄のピエロさんは踊り終わっていたようだ。
「…なんだこりゃあーー!!」
あたしの視界に入ったのは…

  一面に散らばった、真っ青な鮒。

 会場のあちらこちらに鮒。鱗が青く光り、目の前を真っ青に染めている。
「ふーな!ふーふーな!ふーな!ふーふーな!…」
 観客席の魔物たちは、手に、もしくは肩などでふなをもって左右に振っている。ショックなことに…
「ああああああああ…アイラさん、あなたもデスカ…」
 アイラさんも、鮒を大きく左右に振っていた。な、何があったんだー!!!!!!!!
 何事もなかったように、地獄のピエロさんは目玉クルクルさせながら戻ってくる。それを見た観客達は、鮒を懐にしまう。会場も、魔物たちにより片付けられていく。
 なんだか、聞いちゃいけない何かが起こったんだろー…うん。知っちゃいけない何かなんだ!
(PC)
82 faddy◆FqvO
「最後は、その踊りは魔王をも唸らせた。ダンスのためは身を捨てる、実力は折り紙つき!!!エントリーナンバー1番!!リップスゥゥゥゥ!!!!!」
 隣のリップスが進んでいった。それを見ていた地獄のピエロさんと目が合う。
 地獄のピエロさんは、こちらを無言で見ていた。その顔からは、メイクに隠れ何の表情も読み取れない。なんだか、具合が悪くなったので、舞台のほうを見直した。
「曲は、『街』です。では、どうぞ!」
『街』?聞いたことがないな…
 音楽が始まった。リップスは……
「はあっ!!!???」
……扇子を両手に持っていた。
真っ白な扇子に、真ん中にどでんとした日の丸。
「らんらっらーらんらっらー」
……リップスは、何を考えてるのかわからない、なんともいえないがなんとなくイメージできそうなよくわからない表情をしている。
あたしは思わず目を背けた。
すると、会場中に響かせて、声が聞こえてきた。
「もりそば様、うおのめ様、薫様…至急、本部席までお越し下さい」
「キャシー優勝」の看板を持っていたブチュチュンバ、マジックリップス、おばけうみうしが立ち上がって動いていく。
………うおのめって…

なにやねん!!!!意味わからんわ!!
(PC)
83 faddy◆FqvO
 何一つ躍動感のない踊りが終わって…次は、結果発表だった。
 リップスには勝てたと思う。あの踊りの、いいところが見つからない。
 あたしの踊りに、ミスはなかったはずだ。でも、もしかしたら、ミスはなくても魅せる要素があったか…と思うと不安になる。
 地獄のピエロさんは判断が出来ない。会場中をひとつにした…踊りってレベルじゃないって感じ…本当に、踊りをしていたのだろうか。
 アイラさんが舞台に立った。会場に静寂が訪れる。
「今日はありがとうございました。あなたたちのダンスを初めてみるので少し不安だったけど、思ったよりはるかにレベルが高い戦いで驚きました。…では…発表です!」
ついに…発表だ…
「優勝は…」
ごく。
静まり返った会場中に、あたしの生唾が聞こえているような気がする。
「ローズバトラー!」
頭の中にそんな声が響いたような気がした。
 自分が勝ったと言うイメージを持とうとする。しかし、不安がそれを打ち消す。
「地獄のピエロ!」
今度はこんな声。
最初から、負けたというイメージを持っておけば、いざというとき、あまり悲しまずに済む。しかし、それがどれだけちがうかというとたいした量ではない。それに、そんな後ろ向きな考えはなんとなくいやだ。


「審査員全員一致で…」
アイラさんが言った。圧倒的ということか。

「リップスです!」
アイラさんの声が観衆に届いた。それやまもなく会場はどよめいた。
「……っ」
言葉にもならなかった。負けたという実感はわかない。ただ、理由がわからない。どこが上手かったとか、せめてもの理由があれば…
「2位はローズバトラー、3位は地獄のピエロです!」
…2位らしいけど…喜ぶ気になれない。納得がいかない。
「静かに!」
アイラさんの一声で会場のどよめきは消えた。
「みんな、少し納得がいかないのかもしれない。でも、リップスのよかったところはね。
 激しさはない。でも、目をひきつけられるリズム。思わず見たくなる艶かしい動き。それは、日常のなかの小さな幸せを感じさせる。これが、万人のための踊りだと思う。
 激しいだけ、楽しいだけのダンスは、心に残らない。それは、何を伝えようとしているか判らないから。でも、リップスの踊りは違った。みんな、そう思わない?」
さっきまで騒いでいた魔物たちが、今度はうなずいている。
 あたしは…なんか、そういうものかって思えてきた。つまり、パンチがなかったってことか…
 もうどうでもいいや。疲れた…
(PC)
84 faddy◆FqvO
「なお、ストーンビーストに、審査員特別賞を差し上げます。
 では…最後に、みんな踊ろう!」
ん?
アイラさんが合図をすると、音楽が流れてきた。
「みんな会場に降りてきて!」
戸惑っていた魔物たちも、音楽に押されて降りてきた。
「曲は、『トゥーラの舞い』です!上手さなんてどうでもいいから、レッツ・ダンス!」
アイラさんが、踊り始めた。
 それをみて、魔物たちものそのそと踊り始めた。
「あんた?」
声が聞こえた。この声は…
「優勝、お・め・で・と・う!とても上手くて、あたしなんかとても敵いませんよ!」
リップスだった。
「いやいや、いやみを言いに来たわけじゃないよ」
「え?」
「あんた…なかなか上手いじゃん」
思いもよらない言葉だった。
「あたいも今回は少し特殊な踊りしたけど…今度は、正統派ダンスで戦おうじゃないか」
「…望むところよ」
「ああ。また、よろしくな」
リップスが手を差し出してきた。
 あたしは、ツタを出してその手を握る。
「じゃあな。練習サボんじゃないよ」
「…はい!」
 手を離して、リップスは魔物の雑踏に消えていった。
…思ったよりいい奴なのかも…
 魔物たちは、すでにノリノリで踊っていた。リズムに乗れていないのもいる。でも、みんな、楽しそうだ。
…いまはどうでもいい。
楽しく踊れれば…いいか★


おしまい
(PC)
85 faddy◆FqvO
投下終わり★

しかし…前回より、とても長く間を空けてしまいましたね…リップスのネタだとか、いろいろ考えていたんです…

今回は…少し読むと分かると思いますが、スレイヤーズを基調に置いてます。

リップスのネタは、いろいろ案がありました。ダチョウ倶楽部案があったのですが、書けない&世界観壊すでアウト。ムーディー編、栗山編も考えたのですが…最終的に、柴田亜美エンドでした。

長すぎて、一度書き直したのですが…また、超長になりましたね…腕が、足りない…

誤字脱字及びストーリー上の矛盾点、違和感を感じたなど改善案があったら遠慮せず教えてください。

>>69 

『星のダンス大会!』>>71-84
『カシェルの思い』>>52-66
『孤高の罠魔物』>>27-34
『小さな恋のものがたり』>>2-21 
どれも、平行した話ですので、順番は決まっていません。好きな順番でお読みください。

だれか、援護小説を書いてくれると喜びます!ぜひどうぞ!お願いします!
(PC)
見てもらわずに下がっちゃったけど・・・faddy泣かない!
(PC)