塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ3240 2017/11/10 1:57

▼世話係
読書 陸
日本の古典の賞揚はむつかしい。
1940年代、「日本浪漫派」の作家たちが宣伝し、
それがなにも知らない10代の青年を特攻隊に志願させた。
文学者の戦争責任という言葉で、戦後になって指弾された。

だが、かれらの立ち位置は、おなじ基盤にないだろうか。
表と裏で、いつでも変わるのだ。小池派はすぐに、反小池派になる。

そのような思想なレベルで、『源氏』も『平家』も『太平記』も
語ってほしくない。
もっと時間があれば、生きていれば、
論ずるに値する日本の思想の原点に通底する。
11/10 1:57

▼世話係
読書 伍
『平家物語』の通読で、
えがたい感動をあたえられた老人は、
ついで、『太平記』でも、ふかい喜びを味わった。

本居宣長の『古事記伝』から、
かれの「もののあわれ」を確かめようと、源氏通読になった。

すでに書いたが、もののあわれは、本居個人の心意で、
式部は、時代の規範として仏教をあつかうが、作品は
力強いリアリズムで、好色な男たちはすこしも、あわれではない。
肉食動物マッチョだ。
11/10 1:45

▼世話係
読書 肆
雑駁な読書だった。わたしのことです。
ちいさいころから、カストリ雑誌を見たり、野球の雑誌、乱歩に綺堂、漱石に芥川、
なんでも読んだ。活字中毒症だった。ついで、キケロやセルバンテス、
アラビアンナイト、ボッカチオ。
読んだけど、読んだだけだ。それでいい。

老いて、ひまになり、『平家物語』を原文で全巻完読した。
半分ほどは知っている。
小学生のとき屋島へ行った。那須与一の話はそのときから知っていたが、
こんど原文で読むと、いかにうまく描写されているかを知った。
あきれるばかりだ。
琵琶法師は力をこめ、胸いっぱいの感情を吐きだした。
いまの電子メディアが伝えるのではない。
ナマとナマだ。
11/10 1:32

▼世話係
読書 肆
ちいさいころから、
雑駁な読書だった。わたしのことです。
カストリ雑誌を見たり、野球の雑誌、乱歩に綺堂、漱石に芥川、
なんでも読んだ。活字中毒症だった。ついで、キケロやセルバンテス、
アラビアンナイト、ボッカチオも読んだ。
読んだけど、読んだだけだ。それでいい。

老いて、ひまになり、『平家物語』を原文で全巻完読した。
内容は、半分ほども知っている話だ。
小学校のときの旅行で、屋島に行った。那須与一の話はそのときから知っていたが、
こんど原文で読むと、いかにうまく描写されているかを知った。
あきれるばかりだ。
この話をしながら、琵琶法師は力を籠め、感情をこめた。
11/10 1:25

▼世話係
読書 参
『源氏物語』の初期の数冊は、ちゃんとわかる人に読んでもらえて、
喝采を受け、のちの巻を書くことができた。ときの最高権力者の
藤原道長もその才を認めて、当時では、すごく高価だった紙を
式部に与えた。

作者は源氏をこれといった直截な言葉で批判はしてない。
むしろ、高貴な女性が没落していれば、援助の手をさしのべた。

しかし、式部が書きたかったのは、光源氏によって反射された女たちのことだ。
源氏はそこに居ればいいので、さまざまなかかわり方をした女たち、
ひとりひとりの運命だった。前世からの因縁とは、
なんどもいうが、
男の付属品でしかなかった姫たちの苦悩と薄幸を書いた。
11/10 1:00

▼世話係
読書 弐
あまりにうまいから、女ひとりで書けるはずがない。
という男性優位主義者の悪罵が文献として残っている。
かれらは、複数作家説をばらまきつづけたが、
これは、ひとりの作家の手になる。
このような文才が同時代に二人もいるはずがない。

宮中から見れば、いやしい身分の「受領(ずりょう)」の娘だろう。
越前の県知事の子であっても、天皇の親族や大臣から見れば、
付き合うはずもない。
式部が書きたかったのは、自分よりもはるかに上にいながらも、
屈折している姫たちの姿だった。
11/10 0:50

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