塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ3218 2017/10/14 1:58

▼世話係
読書F
死の間際の大君の言葉も、
そのこわばった精神をあらわして素直でない。
(式部はていねいに言葉を選んでいる)

つきそっている薫に、あなたのお情けをこばみつづけたのを、
なんという女だと思われるのだけが心残りです。
初め、わたしが望んだとおりに中の君といっしょになっていてくだされたらよかったのですが」

そして、「枯れゆくようにて消え果てたまひぬる」

妹の嘆き、薫の落胆が言葉をかさねて記され、
死別の悲しみのひとしおなのを、読者に想起させる。
10/14 1:58

▼世話係
読書E
匂宮と中君(なかのきみ)については、山荘の人には歓迎されたが、
天皇や母の明石の宮(源氏の娘)は反対した。
やがて皇太子になり、天皇になろうとしている青年には許されない恋だ。

匂宮が宇治にくるのが間遠になると、中君はなげき、姉の大君も心配だ。
自分に責任がないとは言えない。それに、まじめな薫はいつまでも言い寄り、
いっしょになれないのなら死にたいとまで言い出した。

男性への不信、自己懲罰、自己嫌悪など、まるで近代的な煩悶の末、
姉は重篤(じゅうとく)な病におちいった。
10/14 0:39

▼恵比寿墓場
稲田討伐?
越前出陣とお聞きし、「なぜこの大事な時期に?」と首をかしげたのですが、そこは先生ならではの深慮がおありなのでしょう。

まずは選挙中の稲田朋美を成敗なさり(弱ったところを叩くのは戦の鉄則)、
返す刀で一乗谷に突入し、朝倉敏景十七箇条を現地で朗読なさって、安倍撃滅の秘策を立案なさるものと拝察します。

私も北陸人の端くれとして、一乗谷くらいは行ったことがございますが
「この本拠は守りに向いとるな〜」と感心したものです。
資料室?には義景期の行政文書を本にしたものが置いてありましたが、かなりの分厚さで驚きました。
「あの人も一応仕事していたんだな」としんみりしました。
10/14 0:24

▼世話係
読書C
女の部屋にふみこむことはしない男と
結婚しない女の関係。
こんな困難な設定をして、作者はどんなふうな着地点を見つけるのか。

ある夜、たまたま薫(かおる)は、
しみじみと亡くなった姉妹の父の話などをしていて、
とうとう御簾(みす)をかきわけて寝所に入りこむが、
大君は妹を身代わりに残して逃げた。
薫はかたわらにいるのが中君と気づくと、
そっと添い寝するだけだ。

たとえ大君が、妹と薫の結婚を考えていたにしても、
妹を男への人身御供にしたことになる。
大君の辛さはいやまさるばかりだ。

薫は大君の魂胆を見抜くと、中君を好いていた匂宮(におうみや)をけしかけて、
宇治へ連れ出し、妹の寝所に送りこんだ。
10/14 0:23

▼世話係
読書B
視点は自由に移り、匂宮が中君(なかのきみ)をどう思っているか、
大君(おおいきみ)が妹をどう理解しているか、かなりこまかく描かれる。
が、薫の視点がいちばん多い。なんとなく彼が主人公になる。

姉妹の保護者の父が死んだあとからの物語だ。
モンク僧のような薫は誠実に宇治の山荘に通い、面倒を見ていたが、
しだいに姉の大君と結婚を望むようになる。
相手は父の遺言もあって、結婚しないと決めている。
父は教えたのだ。結婚すれば、女はいつ夫がきてくれるのか、
じりじりと待つ夜を送らねばならなくなる。
嫉妬の炎に身を焦がすことになる。
フェミニズムの考えにちかい。
10/13 17:38

▼世話係
読書A
47巻「総角(あげまき)」 了。
薫(かおる)と次期天皇候補の匂宮(におうみや)の青年ふたりと、
宇治山荘に住む美人姉妹の交流の記。
2対2のからみは、近代でも多用されている。
うまく書くとおもしろくなるが、失敗するとコミックで終わる。

総角とは、この場合は、蝶結びのような紐の結い方。
かなり長い巻で、これ一巻でも中編小説をなしている。
描写は宇治の四季、嵐の日も、紅葉に染まる日もある。
各人物の心理描写もていねいで適格である。
淡々と描いているようで、濃厚な香りがする。
美男子は、薫と匂。
10/10 0:09

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