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過去ログ504 2016/11/1 15:42

☆関西人
イケてる3バックA
続きね。

せっかくだから、フォーメーションの話をもう少し。
じゃ、↓に改めて343を示してみる。

・・・H
J・・E・・F
・G・・・I
・・・C
B・・D・・A
・・・@

この布陣の優れた点は、上記図形を見てお分かりの通り、既に数多くのトライアングルを作ってる点だ。
三角形はポゼッションの基本。
343とは、ポゼッションありきの布陣ともいえる。

一方、弱点は何か?
私は守備だと思う。
↑を見て、「プレスかかりにくそう…」と感じる人も多いかと。
実際、私もそうだと思う。
やはりプレスをかけやすいのは、トライアングルでなくスクエア、2ラインの方陣だから。
三角形でそれをやろうとすると陣形に歪みが出て、中盤に思いっきり隙間ができてしまうよね。
つまり、343というのは「奪う布陣」ではなく「奪われない布陣」だということ。
「攻撃は最大の防御なり」というコンセプトのフォーメーションだね。

あと不安なのは、最終ラインに3人しかいないという点だ。
一応、守りとしては上記図でいうC、フォアリベロが最終ラインに下りてカバーすることになっている。

・・・H
J・・E・・F
・G・・・I
・・・・↓↓
B・D・C・A
・・・@

はい、4231の出来上がり(笑)。
私は、343と4231は兄弟みたいなもんだと思う。
343を考案したのはオランダのリヌスミケルス(クライフの師匠)と言われてて、また4231を考案したのは同じくオランダのヒディンクだという説が濃厚である。

じゃ、343のアイデアは元々どこから始まったのかというと、それは元からオランダにあった433だと言われている。

・・・H
J・・・・・F
・G・・・I
・・・E
B・D・C・A
・・・@

343にせよ433にせよ、中盤の底は常1枚(ピボーテ)。
433ではEがそのピボーテを務めているが、ミケルスは攻撃を目的としてEの位置を上げる為、敢えてCを一列上げて代替のピボーテにしたんだね。

クライフは、よく「ピボーテは1枚でなくてはならない」と主張していた。
そのロジックは、「ピボーテを2枚にすると中盤全員がピボーテになってしまう」とのことで、おそらく↓の形かと。

・・・H
・・・I
J・E・G・F
B・D・C・A
・・・@

仮にEとGを2枚のピボーテにすると、その両脇スペースを埋める為に他の中盤選手がどうしても後ろに下がってしまう。
早い話が、中盤フラットラインの442(アリゴサッキ型)となる。
これはこれで悪くないんじゃねーか?と思うが、クライフはこの形を良しとしない。
これだとフィジカル重視の走り回るサッカーになってしまう、創造性のないサッカーになってしまう、とのこと。

なるほど。
彼の言わんとすることは、分からんでもない。
確かに、この布陣はトライアングルがなくて、スクエアだけの構成となる方陣だもんな?
ちなみにこの形、今の日本代表に見る守備の基本陣形なんですけど…(笑)。
そう、4231と4411は兄弟みたいなものなんだ。
4231のWGが後ろに下がれば、それだけで簡単に4411(442)の出来上がりなんだから。
…あれ?4231と343は兄弟で、4231と4411も兄弟?
343⇔4231⇔4411?
実は4231って、案外奥深いフォーメーションなのかも…。
2016/11/1(火)15:42

☆関西人
イケてる3バック
現在Jリーグでは、浦和と川崎が年間1位の座を争っている。
その浦和はもちろんのこと、川崎も今は3バックなんだね?
振り返れば2015年、2013年、2012年を優勝した広島も含めて、近年のJリーグは3バックの方が明らかに結果を出してるようだ。

しかし代表に目を移せば、ここ何年もずっと一貫して4バック。
みんな4231に慣れてるみたいだからそれはそれでイイんだけど、ちょっと困るのがクラブで3バックに慣れてるCBたちだ。
3バックのCBは、どうしても4バックだと扱いが宙ぶらりんになるんだよね。
分かりやすくいえば、槙野と塩谷。
槙野は浦和で3バックの左、塩谷は広島で3バックの右をやっている。
浦和も広島も3バックの両脇というのは半CB・半SBという特殊な役回りになってて、槙野にしても塩谷にしても、4バックの代表だと「CBか?SBか?」と監督が扱いに迷ってるように見えるんだ。
実際、二人とも今まで中途半端にSB起用されたりしてたわ。
このポイント、一度ちゃんとハッキリさせたいよね。

かつて日本代表が3バックだった時代を思い出せば、まずは98年フランス大会だろうか。
(左から)相馬・秋田・中西・名良橋という4バックの後ろに、リベロの井原を配置した3バック(というか実質5バック)。
案外、鉄壁だったと記憶している。
その次はトルシエ時代。
これは同じ3バックにしても前代表のストッパーの後ろにリベロを置くような形ではなく、CBが3人フラットに並んでラインDFをするという機能。
そういう意味じゃ、現在に見る3バックとかなり近い。
ただし、今にして思うと「スライド」はあまりしてなかったよな?
サイドのスペースは、どっちかというとWBがカバーしてたように記憶する。

その点、イマドキの3バックは少し違う。
よくあるパターンは、ボランチの一角が最終ラインに入ってCBがワイドに開く形だ。
それまでセンターにいた選手が、スライドしてサイドを守る。
一見すると画期的な機能に見えて、実はさほど新しい戦術ってワケでもない(笑)。
90年代、クライフが散々やってたやつだし…。

じゃ、昔懐かしいクライフの343を久しぶりに書いてみよう。

WG・・FW・・WG
・・・・MF
・・MF・・MF
・・・・CB
SB・・CB・・SB
・・・・GK

あぁ、何と美しいフォーメーションだろう…(勃起)。
私は、この343だけでゴハンを確実に2杯はおかわりできますね〜。
そういう人間は私だけじゃない。
90年代サッカーを知る世代は当時みんなこれに魅せられており、そういう人間たちにとってクライフは今なおモダンサッカーの最重要テキストになっている。
なんつーかな、たとえるなら、ボブ・ディラン?
私はその世代じゃないから彼の音楽に何も感じないけど、でも60〜70年代を知る人たちにとってのボブ・ディランは、まさに人生の師なんだろう。
だからこそ、彼は今になってノーベル賞貰うワケよね?
クライフも、それと全く同じこと。
彼こそ、サッカー界のボブ・ディラン、とでも言うべきか。

で、90年代クライフからサッカーの啓示をモロに受けた世代が、今ちょうど脂の乗った指導者になってきてる時期。
だから近年になり、日本でも欧州でもジワジワと3バック復権があるのは非常によく理解できるんだわ。
師のクライフは今年亡くなってしまったが、いや〜、ボブ・ディランにノーベル文学賞あげるぐらいなら、私はクライフもまたノーベル文学賞受賞の資格があったと思うぞ?
だってさ、↑の343フォーメーションをみてよ!
どう考えたって、これはスポーツじゃなくて文学の領域でしょ!?
…あぁ、いかんいかん。
あまりに興奮して、少し尿漏れしてしまった。

ところで最近、長谷部がブンデスで3バックの真ん中をやってるという話を聞いた。
うん、分かる分かる。
確か長谷部って、代表の4バックでもよく最終ラインに下がって変則3バックの真ん中をやってたもんな?
じゃ、次はモダンサッカー究極のテキスト、343を日本代表でシミュレーションしてみようか。

原口・・本田・・岡崎
・・・・清武
・柏木・・・・香川
・・・・長谷部
・槙野・遠藤航・塩谷
・・・・西川

かなりテキトーだけど、こんな感じにしてみた。

Jの3バックの代表格として浦和と広島を見てると、司令塔のボランチとして目立つのは柏木と青山である一方、「じゃない方」のボランチ、ベテランの阿部や森崎が実は司令塔以上に戦術のキーマンとなってるようにも見える。
実際に試合の流れの中で、彼らが最終ラインに落ちてCBになってるんだよね。
いわゆる、フォアリベロってやつ。
クライフバルサでいえば、C番グアルディオラである。

なんか知らんけど、浦和も広島も若手が台頭してるチームながら、この役割だけは老練なベテランに託してるワケね?
フォアリベロこそ、試合を読めるだけの経験値が絶対必要なポジションなのかもしれない。
じゃ代表でなら、そこは長谷部か。
長谷部がグアルディオラ?
う〜ん、ちょっとイメージ違うけど…。
かといって、今さら阿部や森崎を呼ぶワケにもいかんだろ。
よって、今後の日本代表にグアルディオラばりのC番出現を新たに求めたいところだ。

…あら、そういや今の日本代表、C番は本田だったわ(笑)。
2016/10/31(月)22:03

☆関西人
浦和第二次黄金期A
続きね。

10年前の浦和にはオランダから凱旋帰国した小野伸二がいたんだが、当時は堅守戦術のせいか、正直あまり重用されていなかったように思う。
モッタイナイな〜、と思いながら見ていた記憶がある。
小野は、フェイエノールトで主にボランチで先発していた。
しかし浦和は鈴木+長谷部、後には鈴木+阿部というボランチの構想。
せっかく古巣に帰ってきたというのに、ちょっと可哀想な扱いである。

今の選手でいうなら、柏木も昔の浦和ならレギュラーをとれてないかも。
攻撃的MFとしてならまだしも、ボランチはまずないね。
こういう選手は、扱いが難しいところだ。
アタッキングゾーンでは敵の圧が強くてなかなか能力を発揮しづらいし、かといってボランチに下がれば守備力が不安だと言われる。
じゃサイドにいこうかとすれば、今度はスピードがないと言われる。
困ったもんだ。
だから、こういう選手を使うには、その選手の能力を使うことを前提にして周りの選手を決めるぐらいの特別扱いがなきゃ無理。
柏木の場合は、ペトロが特別な選手と認めてるからイイんだけどね。

さて、皆さんは「ワンピース」が好きだろうか?
私は好きだ。
たまに深夜、こっそりと一人で着て楽しんでいる。
…というのは冗談で、漫画「ワンピース」の話だ。
「ワンピース」ファンなら誰しも一度や二度、麦わらの一味の最強布陣というのを考えたことがあるはずだ。
メンバーは、以下の通り。

*ルフィ
*ゾロ
*サンジ
*ウソップ
*ナミ
*チョッパー
*ロビン
*フランキー
*ブルック
*ジンベエ(助っ人枠)
*サボ(助っ人枠)

以上、11名。
11名にする為の便宜上、麦わらの一味以外から2名追加しました。

で、この11名でフォーメーションを組む際、配置に困るのがナミとウソップとチョッパーの3人である。
この3人以外は皆、攻撃も防御もできて計算できる駒だけど。
それを踏まえ、↓のようにフォーメーションを組んでみようと思う。

・・・・ルフィ
・・サボ・ジンベエ
ゾロ・・・・・・ブルック
・・ナミ・サンジ
チョッパー・ロビン・ウソップ
・・・フランキー将軍

まず配置で、ルフィの1TOPは考えるまでもない。
誰よりも前に行く奴だから。
そんな彼の理解者でもある、サボとジンベエで後ろからサポートする。
サイドハーフは、ゾロとブルックというW剣士を起用する。
ここは、斬り込まなきゃならないポジションだからね。
で、問題のナミは、やはり中盤底に置こうかと。
彼女を援護するのは、同じくボランチのサンジ。
彼の役割は、極めて重要だ。
ナミに危機があれば「ナミすわぁ〜ん!」と叫んでカバーに行き、ゴール前に危機があれば「ロビンちゅわ〜ん!」と叫んで最終的ラインに入る。
つまり、浦和でいう阿部勇樹の役回りだね。
そして、チョッパーとウソップはDFの左右に使う。
彼らの攻撃力は高くないが、そのぶん危機察知能力は人一倍にある。
危なくなれば、まず騒ぐ。
「そこ来た!」とか「後ろ危ない!」とかコーチングを大声でするだろう。
両脇がギャーギャー騒いでる真ん中で、ロビンが1人静かに両手を交差させてる光景は妙に癒されるでしょ?
チョッパーとウソップの役回りは、もちろん浦和でいうと槙野と森脇だね。

付け加えると、ナミは柏木である。
チームの航海士で、実質船を動かしているのは彼女だ。
ボランチとは「舵」であり、すなわち航海士である。
↓の【10年ほど前】の浦和には、この航海士がいなかった。
ただ前線に四皇クラスの能力者がいて、ただ強い、それだけだ。
そういう意味で、やはり私が好きなのは【現在】の浦和である。

私は、麦わらの一味が好きなんだ。
2016/10/30(日)22:11

☆関西人
浦和第二次黄金期
浦和、2nd優勝おめでとうございます。

今までの浦和には終盤失速のイメージしかなかったが、遂にそうじゃなくなったみたいだね。
いよいよ、本格的な黄金期到来かもしれない。

じゃ、今までは終盤になるほど脆くなってたのは一体何だったんだ?ということだが、ぶっちゃけ浦和の戦術は結構消耗する
、ということだろう。
あれは守備に数的優位を作り、攻撃にも数的優位を作ってるんだから、そりゃ必ずどこかに過剰な負担が生じる。
故障も出てくるだろう。
よって、もともとこのチームには層の厚さが求められていた。

しかしひと口に層の厚さと言っても、技術や身体能力以前に「戦術理解」がないことには戦力にならないのがこういう特殊戦術チームの難しいところ。
ゆえに今までの浦和は、誰か一人でもキーマンが抜けるとズルズルと落ちていくようなイメージがあった。
その点、今はそこがだいぶマシだよね。
特に、遠藤航や関根など若いリオ世代がキチンと戦術理解してるのが大きい。
やっぱ若い人たちは疲労に耐性あるし、彼らなくして今見る終盤の粘りはあり得なかった話である。
特に遠藤はホントに主軸となってるし、浦和で特に「替えがきかない」と言われてる阿部勇樹の後継者にもいずれなれる逸材だと思う。
このへんは広島もそうなんだが、ボランチとCBの両方をできる選手、SBとCBの両方をできる選手、SBとWGの両方をできる選手、ボランチと攻撃的MFの両方をできる選手、各選手がそういう「両方」をどっちも高いクオリティでこなせないと、この可変フォーメーションはなかなか機能しない。

じゃ今の浦和と、今から約10年ほど前の黄金期浦和とを少し比較してみよう。

【現在】
・・・・興梠
・・高木・・武藤
宇賀神・・・・・関根
・・柏木・・阿部
・槙野・遠藤・森脇
・・・・西川

【10年ほど前】
・・・・ワシントン
・・山田・・ポンテ
三都主・・・・・平川
・・鈴木・長谷部
・ネネ・トゥーリオ・内舘
・・・・山岸

形だけ見ると、似てますな。
しかし、機能は全く違う。
つーか、10年前の浦和って、やたら外国人多い。
一方、今は外国人が少ない。
あと、生え抜きも昔の方が多かったね。
よくもまぁ、10年でここまで変わるもんだわ…。

ただ、今も昔もドリブラーの多さは伝統としてある気がする。
10年前には上記以外にも田中達也がいて、永井雄一郎がいて、相馬がいて、少し遡ればエメルソンがいて、ドリブラーが足りなかったことは今まで一度もないだろう。
長谷部ですら、今じゃ全くイメージないけどドリブラーだったもんね。

昔の浦和は、奪ったら細かく繋ぐよりもガーッと前にドリブルで進んでいくイメージで、そういう意味じゃタテに速いサッカーだった。
ハリル風?
しなやかさには欠けるが、国際仕様。
事実、浦和は当時のACLに優勝したし、クラブW杯でミランに0ー1で敗れるも大会3位だったし。
あの時のミランは、カカ、、ピルロ、セードルフ、ジラルディーノ、ガットゥーゾ、ネスタ、ジーダという豪華なスタメンだったのよ。
監督はアンチェロッティ。
途中投入は、インザーギ、マルディーニ。
タメ息が出るわ…。
一方、浦和のスタメンは↓の通り。

・・ワシントン・永井
・・・長谷部
相馬・・・・・細貝
・・鈴木・阿部
・ネネ・トゥーリオ・坪井
・・・・都築

笑えないほどガチガチの布陣である。
クリテイティブという点で、私は今の浦和の方が好き。
しかし、好き嫌いは別として、上記【現在】チームと【10年ほど前】チームが対戦したらどちらが強いか?と問われりゃ、私は言葉に詰まる。
そりゃ10年という歳月を経てるんだから、その分【現在】チームの方がレベル上がってるでしょ、と言いたい。
しかし、言えない…。
だって、本音ではワシントンを抑えられる気が全くしないから。
正直言っちゃうと、両チームが対戦すりゃ【10年ほど前】チームが1-0で勝つ気がしてならない。
2016/10/30(日)17:27

☆関西人
日本の特徴A
続きね。
基本、私は日本がショートパスをベースにしていくのはそれほど間違いじゃないと思うのよ。
もともと、体躯の大きさとパスレンジは比例するとも聞くし。
そして何より、パス→ラン→パス→ランという連鎖は日本人に適してると思う。
そんな細切れにせず、一発でドーンと行った方が効率イイじゃないかとも言えるが、それが最初からデキれば苦労しないさ…。

私が日本人に希望を見たのは、リオ五輪陸上4×100mリレーの銀メダル獲得だ。
100mで9秒台が一人もいない日本が、あの米国に勝ったという信じられない快挙。
なぜ、そんなことができたかって、バトンの受け渡しという繋ぎのディテールを極限まで研究したからである。
ただ走るだけなら、勝てるはずがない。
あれは、日本ならではのテクノロジーの勝利だったんだ。

ということで、サッカーでも我々が世界と対峙するにも、行き着くところは繋ぎのテクノロジーしかないと思うんだよね。
ただの繋ぎの技術だけを問うなら、日本よりもっと上手い国はナンボでもある。
だから我々は、パス→ラン→パス→ランというコーディネイト部分に特化して、いかに世界でも特異な軌道の曲線を描けるのか、いかに速く曲線を描けるのか、その軌道のテクノロジー開発で勝負するんだよ。
それこそ、陸上選手たちがバトンの渡し方で勝負したみたいに。
肉体で勝負するんじゃない。
むしろ、頭脳と熱意で勝負するんだ。

あと、課題の守備について。
守備というのは攻撃よりもロジックで体系化されており(攻撃ほどワケ分からんファンタジー要素がない)、その点では生真面目に勉強する日本人にとって実は適さない分野ではない。
世界ではO型の血液型がシェア最多だというが、日本はA型が多いのがひとつの特徴。
で、このA型(几帳面)はDFに適してるという説もある。
「向こうがこう動いたら、こっちはこう動く」みたいな机上ロジックって、日本人はむしろ得意とする分野。
岡田さんも、「リッピやアンチェロッティとも戦術のディベートしたことあるが、負けなかった」と言ってたし。
じゃ、なぜ日本人のDFはダメなのか?
それはやはり、サイズと身体能力が最大の要因と思われる。
こういうのはもう、劣る側とすりゃ人数をかけてカバーするしかしようがないんだよね。

たとえば世界規格の4+4ブロックが身の丈に合わないなら、5+4ブロックや4+5ブロックにするしかしようがないワケで、そういう意味じゃ、今のJ最強・浦和がやってるサッカーは機能としてホントよくできてると思う。
守備時に541、攻撃時に415。
かなり約束事があって、【個>組織】の外国人には難しい戦術だろう。
だから逆に、日本人の良さが出るのよ。
我々が世界に誇るべきは、むしろそこじゃない?
やたら難しいことを、持ち前の勤勉さと向学心で何とかマスターしようとする。
たとえばの話、日本人のノーベル賞受賞者数の多さを考えてみてくれ。
アジアで唯一世界のベスト10入りしてて、中国の何倍だという話だ。
韓国なんて、いまだゼロだし…。
日本人の研究することの熱意、その学究肌、ナメんじゃねーぞ!

私は、50年かかるか100年かかるかは別として、きっといつの日か、日本がW杯で優勝することを信じてる数少ない1人です。
2016/10/28(金)19:53

☆関西人
日本の特徴
じゃ、今度は日本のサッカーについて。

日本のサッカーの特徴は何かというと、それはショートパスだと思う。
パスのレンジが短い。
欧州サッカーを見てると、もう少しレンジが長くて強いパスをズバッと通す場面がたびたびある。
日本では、あまりそれがないね。

これ、日本人にキック力が欠けていて、短い距離のキックしか蹴れないから?
そんなことはないだろ(笑)。
思うに、日本には「より成功率の高いプレーを選択すべし」という文化があるんじゃないかな。
ショートパスとロングパスとでは、もちろん後者の方がロストの可能性が高いワケで。

特にザック代表の時は、ショートパス偏向が顕著だったよね。
何しろ一時期まで「サイドチェンジ禁止」というルールをチームに課していたので、右なら右、左なら左という片方のサイドに皆が固まってショートパスを連鎖させていた。
なぜ、ああいうことになったのかというと、それはザックの哲学だ。
彼は若い頃にクライフバルサで指導者研修を受けており、クライフの影響を受けたんだと思う。
当時クライフの練習は「ロンドに始まりロンドに終わる」と言われてて、選手たちはず〜っとロンドをしてた。
その「ロンド」とは何かというと、皆さんも練習でよくやっていたであろう「鳥カゴ」である。
8人の選手で直径10mぐらいの円陣を組み、その円の中に2名の「プレス役」の選手を置く。
8人は、2人のプレスをかわしながら2タッチ以内でパスを出していく。
これは、敵のプレスを無力化させるポゼッションのトレーニングだね。

おそらく、ザックはこの練習を多くやっていたと思う。
実際、ヤットや香川や本田など、いかにも「ロンド」が上手そうな選手たちばかり起用してたワケで(特に左サイド)。
というか、日本人って意外とこの「ロンド」が上手い方だと思うのよ。
狭い所をワンタッチでパスを通すのはかなり難易度高いはずなのに、意外とヤットあたりが易々とやってのける。
これを見て、ザックは「イケる」と思ったんだろう。
選手たちもこの「ロンド」型サッカーを気に入ったのか、チームはどんどん密集の中でのショートパスに傾倒してくことになった。
長いパスを通すことなど、そのうち眼中になくなった感じだね。
試合でも、本田と香川とヤットと柿谷で敵陣に直径10mの円陣を作り、「ロンド」のような球回しをしてたっけ…。

でも代表に限らず、たとえばJクラブ、高校などでも「ロンド」のトレーニングをしてるところは多いんじゃないだろうか?
必然として、ショートパスに傾倒してしまう。
その「ロンド」に、ショートパスを使わず「15m以内のパスは禁止」という練習をやってるところはある?
あるワケないよね(笑)。
そんなに円陣を大きくしちゃったら、中にいる「プレス役」がプレスをできなくなって、ただのロングパス練習になっちゃうから。
いやいや、私はロングパスやミドルレンジパスの練習も大事だと思うけどなぁ…。

欧州サッカーを見てると、これが意外と「ロンド」っぽくないというか、ボールホルダーの傍に味方がいないんだよね。
日本サッカーを見慣れてる立場からすると、「え?誰もフォローにいかないの?」と組織の雑なニュアンスを感じてしまうんだが、彼らはそれでも平然とプレーしている。
日本なら、まずボールホルダーを追い越していく動きをするとか、背後からボランチが寄っていくとか、必ず何らかの気遣いがあるでしょ?
でも向こうでは、放置がしばしば。
「そこはお前一人でやりなさいよ」的文化?
日本ほど選手間の距離が近くなくて、ワイドに開いてるイメージ。
だから選手はフォローをあまりアテにせず、基本は自分で何とかしようとする。
また味方が遠いので、パスをするにしてもミドルレンジだから結構強いキックになる。
日本人なら相手がトラップしやすいパススピードを考えたりするところだが、向こうの人たちは案外そこに無頓着。
たまにシュートみたいなスピードのパスしてるもんね(笑)。
それをトラップできてる選手も凄いけど。

よくモダンサッカーの基本は「守備はコンパクトに、攻撃はワイドに」というから、この欧州のワイドな距離間は割と正解なのよ。
むしろ日本は「守備はコンパクトに、攻撃もコンパクトに」になっており、ワイドな攻撃が超ヘタクソになってるのが問題。
…誤解してもらっては困るんだが、「ロンド」を奨励したクライフはコンパクトなポゼッションなんて志向してないからね?
彼の哲学は「ピッチの横幅全部を使うサッカー」、どっちかいうとワイド志向である。
2016/10/27(木)20:23

☆関西人
欧州と南米A
ゾーンDFの開祖は、欧州でなく南米、ブラジルだという説が有力である。
これ、不思議だよね。
フットボール発祥の地である欧州から遠く離れて、なんでブラジルなんかでフットボールは独自の進化を遂げたのか?

まず、卵が先かニワトリが先かという話になるが、おそらくブラジルに超絶なドリブラーが湧いたことに全ては始まるだろう。
この意味は、分からないでもない。
フットボールが伝来するより以前からブラジルには既にダンスのサンバがあり、また格闘技カポエイラから派生してジンガがあったから。
つまり最初から素地として、ああいう変則的な足さばきの文化があったんだな。
当然の流れとして、彼らは欧州人にはできないフェイントの数々を独自に開発させていった。

で、フェイントがどんどん進化していくと困るのはDFだ。
完全に【攻撃>守備】の構図ができ上がってしまい、それまで守備の基本とされた一対一のマーツーマンDFでは対応できなくなった。
たとえ屈強でデカくてパワーあるDFでも、変則的なドリブラーにはなかなか対応できるもんじゃない。
で、必要は発明の母、そういうドリブラー封じのニーズから組織的DFが開発されていったんだ。

一方、そのゾーンDFをさらに一段階発展させていったのは欧州である。
70年代オランダが見せた「ボール狩り」を発展させ、80年代アリゴサッキがミランで「ゾーンプレス」を完成させた。
これもブラジル同様、必要は発明の母。
当時のセリエにはマラドーナというバケモノがいて、普通にやっていてはとてもじゃないが、守りきれない現実があったらしい。

やがてこのプレッシングがひとつのスタンダードとなり、アタッカー泣かせの時代が到来。
ただ、攻撃的サッカー側も黙ってはいなかった。
そのうち各チームは、このプレッシング無力化の技術を進化させていくことになる。
中盤で球を長く持たず、少ないタッチでどんどん球を動かしていくやり方だ。
方法論は、主にふたつ。
ひとつめは、プレスを食らうより前に、奪ってから10秒以内にシュートまで持ち込むタテへの速攻サッカー。
もうひとつは真逆の考え方で、プレスが4+4のブロックであることを逆手にとり、「4ではピッチの横幅全部をカバーできないでしょ?」という理屈から左右ヨコに揺さぶり、ブロックそのものを綻ばせるポゼッションサッカー。
世界は、やがて二極化するようになってきた。
で、現在に至る。

という今日に至るまでの流れを考えると、全てはブラジルから始まった、という風に考えられなくはない。

@ブラジルに超絶な攻撃のタレントが現れた(ガリンシャ?)。

A南米にゾーンDF発祥・発展。

Bそれをも破るマラドーナ誕生。

Cイタリアでゾーンプレス発祥・発展。

Dスペインでゾーンプレスを無力化するクライフバルサ誕生。

Eポゼッションサッカー開花。

Fそれを破るハイプレス&ショートカウンターサッカーも開花。

G混沌

Hザックジャパン、ポゼッションサッカー。

IW杯で惨敗。

Jハリルジャパン、ショートカウンターサッカー。

KW杯出場ピンチ←イマココ

なんつーかさ、世界は長い長い歴史と紆余曲折を経た末にポゼッションサッカーやハイプレス&カウンターに辿り着いてるワケで、それをプロ化してまだ二十余年の日本がイイトコ取りで自分のモノにしようたって、やっぱサッカーはそんな甘くないんじゃないかな、と思うよね。
あるいは、日本も順序通り↑の@からスタートすべきなのかもしれない。
【@日本に超絶な攻撃の才能が現れた】
ってところからね。
2016/10/26(水)18:12

☆関西人
欧州と南米
続きね。

サッカーには欧州式と南米式の2種類があるとして、近年はその境目が分かりにくくなってきている。
南米→テクニカル
欧州→パワフル
というイメージが仮にあったとしても、実際は南米にもパワフルは多いし、欧州にもテクニカルは多い。
戦術的にも、今はそれほど大きな差異はないんじゃないかな?

ただ、ざくっとしたイメージを言えば、
【南米】
・・◯・◯
・◯・・・◯
・・◯・◯
◯・◯・◯・◯
【欧州】
・・◯・◯
◯・◯・◯・◯
◯・◯・◯・◯
という感じになる。
いまどき、こんな分かりやすい形はお互いにしてないけどね(笑)。

思うに、守備の効率が良いのは【欧州】の方である。
◯の距離間隔が均等で、ちゃんと隙がないブロックになってるから。
で、【欧州】はこの均等な距離間隔を維持しながらプレスをするやり方(アリゴサッキ風)を基礎とするので、それはヨコ四人が息を合わせた「スライド」となる。
↓↓
▼←◯←◯←◯←◯
◯←◯←◯←◯
・・・・GK

という連動したプレスのイメージ。
これをやると何が問題になるかというと、ゴール前である。
CBがヨコにスライドする為、ゴール前に逆サイドのSBが入って守ることになる。
それ、大丈夫か?と。
よって、【欧州】ではSBにもゴール前を守れるだけの、高さや強さを求めるチームが多くある。
CBっぽい選手をサイドに置いてるチームがあるが、それはそういうことである。

一方、【南米】はそういうチームが少ない。
SBはヨコにスライドすることより、上下動に重きを置く。
仮にスライドがあまりないとなると、隙間が自陣のどこにできるかも読みづらく、ちょっと不安じゃない?
そうなんだ。
だからこそ、そこを担保するのがボランチの存在である。
ボランチはあくまで【南米】の概念であり、【欧州】にはそれがない。
【南米】のボランチは、「プリメイロ」と「セグンド」という2枚の組み合わせが基本。
「セグンド」はどんどん前へ上がっていき、「プリメイロ」はあまり頻繁には上がらない。
ここが、【欧州】の中盤とは少し違うところだ。

私は、日本サッカーって実は【南米】の色の方が強いんじゃないかな、と思う。
たとえば、SBはヨコへのスライドよりタテへの上下動が重要視されてて、CBっぽい屈強なSBってあまり多くないでしょ?
あと、ボランチも「プリメイロ」と「セグンド」の組み合わせが多いように思う。
前にいく奴と後ろに残る奴の役割分担が割とハッキリしてる。

攻撃的MFは【欧州】だと
↑↑
◯・◯・◯・◯
とタテにいくけど、【南米】だと
←◯→・←◯→
・・◯・◯
ヨコに動きがち。
割と日本って、ヨコ(センター)が好きな攻撃的MFが多いように見えるので、そういう意味でもやや【南米】寄りなのかな、と。
MFはヨコに動いて、その空けたところをSBがタテ、って感じね。
ヨコの動きとタテの動きを組み合わせ、その交差で奥行きを使うサッカー。
空けたところがサイドならSBが上がり、センターなら「セグンド」が上がる。

一方、【欧州】の方はもっと効率の良さ、合理性を求める。
攻める時は、可能ならばまず一発でラインの裏を狙い、それが無理ならばサイドに展開する。
なぜって、センターで球を持てば敵に360度の全方位で狙われるが、サイドなら180度の対処で済むからね。
できるだけ、その180度の対処で済むままで球をゴールに近づけたい。
ならばサイドをそのまま手数かけず、連携よりもむしろ単独で前進していくのが最も効率良いだろう。
よって【欧州】のセオリーは、サイドに個で突破できるMF(WG)、特にスピードある選手を主に配置する。

もし日本代表を【欧州】っぽくするなら、

・・・大迫・・・岡崎
原口・小林祐・長谷部・武藤
槙野・森重・・吉田・遠藤航

みたいなイメージじゃないかと思う。
左右の原口と武藤は単独でサイドをエグるイメージで、スピードあるし、いちいちSBのオーバーラップという援護を前提としない。
それなら、両SBは↑の「スライド」機能のニーズからして、高さと強さのある槙野・遠藤にしておこう。
中盤の小林祐希と長谷部は、「ボランチ」というより「セントラルMF」のイメージに近いのは誰かな、と考えて選んだ。
前線の大迫+岡崎は、相互補完を考えてのベストコンビである。

じゃ、次は【南米】で考えてみようか。

・・・大迫・・岡崎
・香川・・・・・・本田
・・遠藤保・・山口蛍
長友・森重・・吉田・内田

ちなみにだけど、これはブラジルW杯のコートジボワール戦、後半のメンバーそのままである。
なんか【南米】のイメージにピッタリだったので、敢えてそのまま使ってみました。

さて、皆さんはどっちが好き?
2016/10/26(水)1:20

☆関西人
デュエルB
続きね。

ザックはさすがイタリア人だけあって、かなり緻密に線と線を繋いで面を作るサッカーをしてたと思う。
キレイにゾーンを作っていた。
彼に限らず、欧州人は選手と選手の距離を常に等間隔にすることを大切にしていて、よく選手同士の体をロープで縛って、ヨコの四人の連動した動き方を叩き込んだりしている。
いわゆる、スライドってやつだ。

今となってはそれも常識なんだけど、思えばジーコ時代には、このスライドを巡ってチーム内で大喧嘩になったりしていた。
皆さんも多分覚えているだろう。中田英vs福西の対立である。

中田は欧州クラブでずっとやっていたので、このスライド、要するに中盤の四人がお互いの等間隔を保ったまま、一気にヨコにズレてプレスをかける守り方をイメージしていたんだ。
ところが、2ボランチの相棒・福西がその動きについてこない。
中田がサイドへプレスをかけにいっても、福西はそれに連動して動くことなく、センターにじっとしている。
中田とすりゃ、「はぁ?」である。
テメエ、何で俺との距離を開けるんだよ、これじゃゾーンプレスにならないじゃねーか、と怒ったんだろう。
しかし、福西は福西で考えた上での動きだった。
俺までお前と一緒になってサイドにズレたら、一番危険なバイタルがガラ空きになるじゃねーか、と応戦。
お互い譲らず、チームはかなり険悪な空気になったらしい。

今になって思えば、これはどちらかが正しくて、どちらかが間違ってるという問題ではなかった。
要は中田が欧州式の考え方をしていて、一方でドゥンガに育てられた福西は南米式ゾーンDFの考え方をしてた、ということ。
もし、この時の監督がザックなら、
「この場合は中田が正しい。福西は中田と一緒にヨコにズレるべきだ。空いたバイタルは、右サイドの選手が連動してヨコにズレて埋めるべきだ」
と即座に明確な答えを示しただろう。
しかし、ジーコは選手たちの自主性を重んじた人だったから、とりあえず「みんなで話し合いなさい」という裁定をした。
実際、それを受けて選手たちは深夜までミーティングをしたらしいよ(ジーコ抜きで)。
でもそこで結論は出ず、最後の最後でジーコは福西(南米式)支持を表明したワケです。

こういうの、難しいよね〜。
ちなみにハリルは、欧州人ゆえジーコよりもザック的な守備を志向する人だと思う。
しかし彼にもひとつ落とし穴があって、それは他でもなく「デュエル」なんだ。
このデュエルは、割と「個で詰める」要素が強い。
前に出てガッと奪う動きを奨励していて、これは時に選手間の等距離を保つ、安定したブロックを崩すことにも繋がりかねない。
事実、チャレンジをして奪えなかった結果、逆にピンチに陥るシーンを私は何度か見ている。

たとえば、ハリルの信頼を得ている山口蛍。
彼は動く範囲の広さが持ち味だけど、あの縦横無尽な動きは時に守備ブロックの綻びを作る両刃の剣でもある。
今は長谷部による経験値に裏付けされたカバーリングがあるからまだイイけど、逆に長谷部がいなくなった時はとても怖いな、と思うのね。
それは、いずれ代表に入ってくるだろう井手口もまた同じである。
彼はボールを奪取できるし、小さいけどフィジカル強いし、足下も上手いし、ミドルシュートもあるし、ボランチとして素晴らしい逸材なんだけど、しかし山口の代わりにはなっても長谷部の代わりにはならないかな、と。

仮に将来的に(年齢的に)長谷部がボランチから去るとして、皆さんは【山口+井手口】とかイメージできる?
私は、ないなぁ…。
点の強さで守る彼らは、二人揃うとブロックの線と面をかなり歪めてしまいそうである。
ボランチって時に最終ラインのカバーも必要だろうが、山口・井手口じゃ何とも高さが不安だし。
…そうそう、話は変わるが、オランダにいる小林祐希がインサイドハーフで頑張ってるね。
433のサイドじゃなくインサイドでやってるってことは、代表ではボランチ起用も視野に入るワケだ。
上背あるし、ヘーレンフェーンの試合を見るとデカイ奴らの中で見劣りしないプレーをしている。
あまりにも違和感がなくて、どの選手が小林か分からなくなることもしばしば(笑)。
意外と、ポスト長谷部になれるかも?
あと、やはり私としては遠藤航に期待したいなぁ。
クラブではボランチでなく、CBというのがハンデだけど。
でも、リオ五輪はボランチで頑張ってたよ。
あと、FC東京でSB起用等されてるが橋本拳人。
あと、川崎でCB起用されてるが谷口彰悟。
このへんの上背と体躯の強さがある人材、私はポスト長谷部を見込んで召集していくべきだと思うけど。

あれ、ボランチというなら柏木は?
大島は?
柴崎は?
そうなんだ。
このへんの司令塔型ボランチ、今後どうなるんだろう?
それは私も知りたい。
先日の試合では結局、柏木も大島も出番がなかった。
柴崎にいたっては、召集すらされてない。
もはや彼らは攻撃的MFとしてならともかく、守備的MFとしては構想外?
あるいはジョーカー?
う〜ん、モッタイナイね〜。

ちなみに今、Jリーグの年間順位は
@浦和
A川崎
B鹿島
となっている。
これって、
@柏木
A大島
B柴崎
ってことでもある。
つくづく、Jリーグとは「司令塔のサッカー」なんだと思うよ。
2016/10/24(月)21:30

☆関西人
デュエルA
続きね。

日本人は、そんなにもデュエルできないんだろうか?
まるで民族性のように考えている人もいるみたいだが、私は違うと思う。

変な話、昔の日本サッカーは結構デュエルしてたんだよ。
何なら、YouTube等で昔の日本サッカーをチェックしてみてほしい。
高校サッカー等で十分だよ。
「うわっ、詰めるの早っ!」と驚く試合がいくつかあるはずだ。
なぜ、昔は詰めるのが早かったのか?
簡単である。
それは、マンツーマンDFだったからさ。

昔は日本もレベルが低かったので、今みたいにキレイなブロックを作るゾーンDFなんてできてなかった。
ラインもバラバラ。
だから、あくまで対人が守備の基礎だったんだよ。
一人一殺のすっぽんマンマーク。
よって、そこは必然としてデュエルとなる。
むしろレベルの低いチームほど、必死で食らいついてデュエルしてたかもしれん。

実をいうと、私も学生時代にそういうサッカーをしてきた一人。
そんな私から見りゃ、今のDFはレベル高いとしか言いようがない。
あんなキレイなDF、我々はやりたくてもできなかったもん。
で、そのキレイなブロックは、Jリーグができてから年を経るごとに緻密になってると思う。

ところが、だ。
今のJリーグOBが、たとえば秋田みたいなマンマーク系で育ったDFは今の過剰なキレイさに苦言を呈してるよね。
私みたいなオッサン世代は、それに「わかるわかる」と言って激しく頷いている。
でも今の現役の人たちにとっては、そんなの年寄りの懐古主義にしか聞こえてないかもしれない。
誰だったかは忘れたけど、テレビで代表OBの人が
「今の選手たちは、俺たちが現役だった頃より圧倒的に上手い。
だけど、あの頃の俺たちが今の選手たちと試合したら、俺たちが絶対勝つと思う。
精神面で負ける気がしない」
と語っていたのを見たことがある。
あぁ〜、これぞデュエルやな〜、と思う。

いやね、別にマンツーマンDFを今さらやれというワケじゃないのよ。
DFにはブロック作ってディレイも時に必要だし、コースを切ることも時に必要だし、全てガムシャラにやればイイってもんでもないんだから。
でもさ、みんなの気持ちの中で秋田とか古いDFってイメージあるでしょ?
秋田が出てたフランスW杯の4年後、全く違うタイプとして宮本が出てきて、日韓W杯に「ラインコントロール」とかやったワケよ。
秋田と宮本を比較するのは間違ってるかもしれんが、実際【秋田→クラシック】【宮本→モダン】ってイメージでしょ?
宮本はラインを揃えて上げて、敵FWを置き去りにするようなクレバーでコンタクトのないエレガントなDFをしていた。

結構、みんなあれに好意的だったと思うんだよね。
なぜって、ああいうのにはロジックがあって、科学的かつ理知的だから。
そういうの、A型が多くて生真面目な日本人は好きなんだわ。
あ、ちなみに秋田はB型ね(笑)。
日本人は、メカニズムを全部ロジックで理解するのが好き。
ほら、今でも解説者で戸田和幸とか人気あるじゃん?
彼の人気の理由は、ひとつひとつのプレーを全部ロジックで説明できるところにある。
いちいちVTRを止めて、カギとなるスペースと選手の動きを全部ロジックで紐解いてくれる解説スタイルにワクワクするんだろ?
それこそ、チェスや将棋と同じカテゴリーの盤上のゲームとして楽しんでるファンはかなり多いかと。
で、そういう盤上ゲームの延長線上に、今のJリーグに見る緻密なブロック、ディレイしてコースを切る守備のスタイルがあると思う。
点が点として守るより、点と点を結んだ線、あるいは線と線を結んだ面で守る方がゲームとして上級、って感じかな?
そしてロジックを担保する為にも、できるだけ面と線を崩さず、イビツに点が飛び出ないサッカーを志向してる気さえする。

かつてジーコ代表のサッカーに多くの日本人がアレルギー反応を示したのは、そこにロジックを感じることができなかったからだと思う。
ファルカン代表もそうかな。
彼らのサッカーは、線とか面よりも点が点として自分の軌道を描きなさい、ってサッカーでしょ?
それはそれで恐ろしくクリエイティブな話なんだが、当時の日本人は「うわっ、レベル低っ!」って馬鹿にしちゃったのよ。
今から考えると、逆に恥ずかしい。
当時の日本人は、いや、今でもそうかな、サッカーをロジックありきの科学と捉えたんだな。
だからちゃんと方程式を示さない先生を、「レベル低っ!」って捉えたのよ。
いやいや、仮にも向こうはウチらよりステージが10ぐらい上の神様ですよ(笑)。
でも、そこはしようがない。
日本人は、神より科学を崇拝する民族なんだから…。

で、神様から直接啓示を受けた秋田なんて、イマドキの子たちから見たら頭の古いハゲにしか見えてないと思う。
いやね、鹿島のワケ分からん勝負強さを皆さんはロジックで説明できるかい?
あれは、点の強さだよ。
点の強さは、半分はロジックにしても半分はロジックじゃないんだ。

一方、ハリル代表はどうか?
ハリルはロジックある人ですよ。
それも、かなりのレベルでね。
ただ、一部の人たちがアレルギー反応を示してるのは、彼のサッカーが線と線を結んだ面というよりは、点と点を結んだ線だからだと思う。
2016/10/23(日)19:11

☆関西人
デュエル
Jリーグも残すところ、あと僅か。
2ndは、浦和でほぼ決まりだね。

ハリルは、昨日川崎vs広島を視察していたらしい。
最後までを見ることなく、途中で帰ったみたいだけど。
彼は「Jリーグはレベルが低い」と公言しつつ、一応見にきてくれるのはせめてもの救いだ。

しかし、Jリーグってそんなにもレベル低いのかね?
いや、欧州や南米の先進国に比べりゃ低いのは理解するが、それでもそこそこだと思うんだけど。
確かIFFHS発表の世界リーグランキングでは、Jリーグは世界32位。
FIFAランキングより順位はだいぶ上だね。
一応、デンマークやスウェーデンよりも上である。
でもアジア勢に目を向けると、韓国22位、豪州25位、サウジ27位だから、アジアで4番目。
最近ACLで勝ててないから、どうしても統計上こうなるんだろう。

まぁ、ビミョーですな。
強いリーグじゃないけど、弱いリーグでもない。
先日の会見で、ある記者が敢えて「Jリーグの良い点は何ですか?」は質問していた。
明らかにハリルはその質問に困惑し、アタフタしてて面白かったね(笑)。
これ、米国大統領選挙クリントンvsトランプの討論会の会場で、二人に「お互いの良い点を言って下さい」と発言した人がいたけど、あれと同じである。
ふだん悪口ばかり言ってると、いざ褒めてみて、と言われると妙にパニクるんだよ。
ちなみに、ハリルが感じるJリーグの良い点は、「足下の技術がある」と「スピードが少しある」の2点らしい。
「スピードが少し」って…(笑)。

で、不満なのは主に、デュエルがないこと。
特に守備面を言っている。
彼の言わんとしてること、私は分かる気がするんだわ。
確かに、Jリーグの守備はブロックをきっちり作ってまずはディレイ、積極的に当たりにいくことは少ない気がする。
中盤でプレスはちゃんとしてるんだけど、それは球を奪いにいくというよりはコースを切りにいってるニュアンスの方が強い。
どっちかというと、詰めてパスコースを限定して出させたところをインターセプト、みたいなのを理想としてる感じ。
賢いといえば賢い。
さすがはテクノロジーの国、日本っぽく効率化した機械のような守備さ。
接触が少ない分ファウルが生じないし、スタミナの消費も最小限に抑えられる。
ただでさえ日本は蒸し暑くて消耗しやすい環境なんだから、そこを研究した結果として、多くのクラブにこういう形が定着したんだろう。

ただ、これを見た外国人が「なんと消極的な…」と愕然とするのは理解できる。
プレスを見て、「何であともう一歩詰めない?」と感じるんだろう。
でもさ、そこは審判の問題もあるよ。
日本では倒れりゃ大体は笛が吹かれるし、自陣ではできるだけファウルをしたくない。
そこは、選手や監督だけではどうにもならない課題もある。

そんな中、ハリルの目から見てマシな動きをできてる例外的国内選手が山口蛍のようだ。
彼は、他のMFと違って「あと一歩」を詰めることができる。
ディレイするのではなく、前に出て球を奪える。
彼だけJ2なのにコンスタントに召集されるのは、そういう意味っぽい。
似たところでは、ザック時代の今野もそうだろう。
彼はザックに「一人だけイタリアに連れて帰るなら今野しかいない」とまで言わしめた選手。
代表では戦術上CB起用だったが、彼に求めたのは後ろで構える守備でなく、前に出て球を奪う守備だったと思う。
ザック代表は2ボランチが一方は上がることが多いので、どうしてもバイタルが空いてしまう。
そのフォアを詰められる才能が、今野だったということ。

蛇足だが、ザックは右SBの酒井宏樹を育てたかったみたいだね。
これも今野と因果関係のある話で、今野が前に出ると必然としてゴール前が空く。
そこにスライドしてケアするのが、主に右SBの役割(左の長友は上がっている前提…笑)。
つまり、吉田と酒井というコンビで高さを担保したかったんだな。
でも残念ながら酒井の戦術理解はイマイチだったみたいで、ザックはW杯後「酒井を完成させられなかったのが無念」と語っていた。

ちょっと脱線した。話を元に戻そう。
で、そのザックもまた山口を高く評価し、司令塔のヤットをベンチにしてまで山口を先発起用したりしていた。
山口は2試合フル出場、3試合目も途中投入。

【コートジボワール戦】
山口フル出場
長谷部(54分遠藤)

【ギリシャ戦】
山口フル出場
遠藤(46分長谷部)

【コロンビア戦】
長谷部フル出場
青山(62分山口)

忘れてたけど、実は山口が一番出てたのか…。
これ、ホントにポゼッション志向のチームだったのか?
ポゼッションの象徴、ヤットがあまりにも出てないんですけど。
どっちかというと、カウンター志向のチームに見えてならない。
ビミョーに今のハリル代表と似てる気がするよ。
というか、ハードは堅守速攻でソフトはポゼッション、というチグハグだったのかもしれん。
その点、今の代表はまだハードとソフトの整合性だけはあるよな?
2016/10/23(日)13:36

☆関西人
老害
続きね。

仮にハリル解任を田嶋さんが決断したとして、会長の独断だけでコトがうまく運ばないのが日本式の組織である。
協会の組織図を見てもらえば分かることだが、会長の上に名誉総裁、名誉会長、最高顧問というのが存在している。

名誉総裁は高円宮妃殿下で、ここは決して口を挟んでくる人ではないので問題ない。
名誉会長は前会長の大仁さんで、この人はことなかれ主義なので特に実害なし。
さて問題は、最高顧問だよな。
川淵さんと小倉さん。
この二人は古河閥の大御所で、その閥に所属する田嶋さんにとっては絶対に頭の上がらない存在だろう。

皆さんは、こういうのを「老害」と解釈すると思う。
おそらく皆さんの勤める会社でも、たとえば社長や会長の上に名誉会長とか名誉顧問とかいたりして、「何でこんなムダな機構があるんだ?」と考えたことは一度や二度あるはず。
確かに要らんといえば要らん気もするが、でもどの組織にも大体こういうのがあるってことは、何かしらの役割があるのかもね。

古い言葉を使うと、こういうのは「元老」という。
日本史の話。
明治〜昭和初期まで、政府の上に君臨する機構として、のべ人数9名の元老が存在していた。
有名なところでは、伊藤博文、山縣有朋、井上馨、大山巌など。
いわば維新志士の生き残りであり、新国家の基礎を作った人たちである。
長州4名、薩摩4名、公家1名。

こんなOB組織なんて要らんやろ、現役の総理大臣らがやりにくいだけじゃないか、と皆さんは思うかもしれない。
いやね、私も最初はそう思ってたんだが、詳しく歴史を勉強すると意外にそうでもないことが分かるのよ。
ってのは、この元老たちも高齢で次々に亡くなっていき、やがて元老機関は昭和に消滅したのね。
で、そこからなんだ。
軍部が暴走を始めて、日本が暗黒時代に突入していったのは…。

つまり、元老というのは現役たちに睨みをきかせる重しになっていたんだ。
伊藤博文は大日本帝国憲法を作った張本人で、例の統帥権独立のリスクは理解していたという。
軍の創設者・山縣有朋も同じく。
普通「三権分立」はあるけど、大日本帝国憲法は「四権分立」という特殊な形にしてたのね。
それは軍を強くして欧米(特にロシア)に対抗しなくちゃならない明治時代ならでは特殊事情だったんだが、同時にリスクもあるから必ず睨みをきかせる上部機関が必要だった。
で、行政・立法・司法・統帥(軍)の「四権」の上に君臨する上部機関として、やはり元老たちの存在が必要だったということ。

元老には、誰でもなれるというワケではなかった。
それこそ、国家を創った張本人たちじゃなきゃいけなかったのよ。
張本人たちが一番全てを分かってるんだし。
だからこそ、伊藤が亡くなり山縣が亡くなり、どんどん人数が減っていっても元老の補充はできなかった。
結果的に、消滅したことが不幸だったね。
もし山縣が生きてれば満州事変や日中戦争は起きてなかったと思うし、ひいては太平洋戦争も起きてなかったと思う。
あと、伊藤は晩年に憲法改正して統帥権独立をやめる草案を作ってたというし、彼だけが日韓併合にも反対してたというし、もし彼が朝鮮人の安重根に暗殺されなければ時代は違ってきていたはずだ。

ちょっと話が脱線したね。
で、私は今の日本サッカーの基礎を作ったのは川淵さん、小倉さんだと思ってるんだ。
いわば、JFAの伊藤博文と山縣有朋だよ。
さしずめ、長沼さんは大久保利通ってところかな?
皆さんにとっては、川淵さんも小倉さんもただの老害だろう。
きっと、伊藤も山縣も当時老害と揶揄されてたはずなのよ。
元老のありがたみを理解するのは、彼らが亡くなってからず〜っと後の話。
多分、川淵さんと小倉さんも同じことだろう。
きっと我々は、今後もず〜っと彼らのことをウザく思っていく。
いうなれば、薩摩・長州=古河・三菱ですわ。

川淵さんも、今年で80歳だからね〜。
あと10年、生きてるかどうか。
彼はクラマーさんの教え子であり、それこそ松下村塾門下生、伊藤や山縣とイメージがカブるわ。
彼の作った「百年構想」も、伊藤が作った大日本帝国憲法と同じ。
もし川淵さんが亡くなったら、JFAは変わるだろうな〜、と思う。
明治日本のように、悪い方へ変わらなければイイけど…。
2016/10/23(日)7:32

☆関西人
解任劇A
続きね。

加茂さんは、90年代当時として日本人No.1の名将とされていた。
80年代の時点から既に代表監督候補になっていたので、「満を持して」という登板だっただろう。

加茂さんといえば、フリューゲルスの「ゾーンプレス」。
しかし、この戦術は加茂さんのモノというより、彼の下でコーチをやっていたベルデニックの功績っぽい。
加茂さん自身は、それほど戦術に優れた指導者じゃなかったと思う。
どっちかというと彼の持ち味は、選手を選ぶ目である。
そこは、かなり確かなモノだったんじゃないだろうか。
それこそ山口素、名波、中田英という中盤メンバーをはじめ、フランスW杯行きのメンバーのほとんどは彼にチョイスされた人材だ。
何より、コーチに岡田さんを大抜擢したのも彼だし。
ホント、眼力だけは一流である。

それでも采配を含め、監督の能力としては疑問符。
いち早くそこに気づいたのが、他でもなく技術委員長の加藤久だった。
「加茂ではW杯に行けない」として、水面下で新監督探しに奔走していた。
白羽の矢を立てたのが、当時ヴェルディを率いていたネルシーニョだ。
加藤さんは彼と交渉を重ね、内定にまで漕ぎ着けた。
しかし最後の最後に急転直下、長沼会長が加茂続投を宣言。
全部、話は水に流れた。
ネルシーニョは「協会に腐ったミカンがいる」と名言を残し、激怒してブラジルに帰っていった。

「腐ったミカン」とは誰のことか?
長沼会長、および川淵さんのことを指していたらしい。
それにしても、なぜネルシーニョの話が流れて加茂続投になったのか?
当時は長沼会長と加茂さんの癒着(学閥)と言われていたが、果たしてそんな単純な話かな。
長沼会長はオフトの時も反対してたというし、基本は日本人監督でいくべきと考えていたようだ。
攘夷派か?
いやいや、彼はクラマーさんの愛弟子だぞ。
外国人指導者の価値は、誰より分かってるはずだ。
ただ、日本が五輪でメダルを獲ったのはクラマーさんがいてくれた東京五輪ではなく、彼が去った後のメキシコ五輪でようやく成し遂げた快挙。
その時の監督は、他でもなく長沼さんだった。
彼は経験者として、たとえ苦労してでも日本人で成し遂げることにこそ意味がある、と考えていたのかも。

また、別の説もある。
ネルシーニョが当時ヴェルディの監督だったことがひとつのポイントで、読売、ナベツネの介入が噂されていたのは事実。
ナベツネvs川淵の対立は有名な話だったし、何かそこで話がこじれたんじゃないかと。
川淵さんは、長沼さんと違って外国人登用派である。
本来なら、ネルシーニョを阻む理由はないはずなんだ。

おそらく、川淵さんは最初のうちこそネルシーニョを容認していて、でも最後に翻意した形だと思う。
それは、長沼さんに従った、と考えるのが自然だろう。
しかし川淵さんも、長沼さんの忠犬というほどの小物ではない。
それでも彼が引いたのは、長沼会長が「加茂でダメなら私が責任をとる」とまで言ったからに他ならない。
穿った見方をすれば、「これで長沼辞めれば協会は俺のモノだな」という腹もあったかもね(笑)。
長沼さんは、自分の進退を懸けてまで加茂続投に動いた。
事実、彼は最後加茂更迭の際に責任をとって会長職を辞めている。

この騒ぎでひとつハッキリしたのは、「技術委員長の一存で監督人事は決められない」ということ。
技術委員会にできるのは査定と解任の発議、あくまで発議である。
このシステムは後にトルシエ解任騒動でさらにクローズアップされるんだが、その時は「全て私が決める」と岡野会長が言い、理事会はトルシエ解任派が多かったと聞くが、最後の最後は岡野会長が独断して続投を宣言。
要は、代表監督の解任は唯一会長にしか決められない事項、ってことになったワケね。

それは、今でもシステムとして変わっていないだろう。
ハリルを仮に切るとして、それは田嶋さんにしか決められない。
西野さんにできるのは、あくまで査定である。
最後の最後は、会長個人の判断に委ねられる。
その判断を間違えれば、長沼さんじゃないが自ら職を辞すことにもなりかねない。
あの騒動が、今なお尾を引いていると思う。
さて、田嶋さんとはそういう腹をくくった判断をできる人なんだろうか?
私は、意外とこの人のキャラクターを知らない。
2016/10/22(土)22:34

☆関西人
解任劇
世間では、相変わらずハリル解任論が囁かれている。
果たして、それが実現可能なのかどうかを今回は考えてみよう。

オフト以降、監督が解任となった例は4度。
ファルカン、加茂、オシム、アギーレだ。
しかしオシムは急病、アギーレは八百長疑惑という各々に特殊なケースであり、成績不振を理由として解任されたのはファルカン、加茂の二人だけ。
いずれも長沼会長時代の話であり、それ以降の体制では更迭がほぼない。

私が凄いなと思うのは、ファルカンの解任劇である。
彼は、わずか半年足らずで更迭されたんだから。
指揮をとったのは9試合のみ。
3勝2敗4分け。
確かに勝率は低いものの、その2敗の相手というのはフランスと韓国である。
ちょっと更迭のタイミングが早すぎたんじゃないかな、と思う。

まず、なぜ当初ファルカンに決まったのか、という流れから話さなければなるまい。
当時の技術委員長(強化委員長)は川淵さんだったんだが、じゃ彼がファルカンにオファーしたのかといえば、実はそうじゃないみたいなんだ。
後に彼はインタビューで、「僕はオフト続投でイイと思ってたんだよね」と語っている。
もともと、オフトは川淵さんが協会の反対を押しきって決めた経緯がある。
その当時、協会上層部は加茂さんにオファーするつもりだったらしい。
それを川淵さんが「外国人にすべきだ」と制した。
結果的に「ドーハの悲劇」で日本はW杯出場切符を逃すんだが、まぁまぁの成果ではあったと思う。
世論的にも続投は許容だったと思うけど、なぜか協会は「世界の修羅場をくぐった人物が良い」という新たな方針を出したワケよ。
で、まずはブラジルのテレサンターナにオファーする流れに。

今の若い人はテレサンターナといっても分からんだろうが、今でいうならグアルディオラぐらいの格だろう。
W杯に一度も出たことのないサッカー後進国が、いきなり世界一の監督にオファーという暴挙(?)。
サンターナは「黄金のカルテット」擁するブラジル代表でW杯に旋風を巻き起こした名将中の名将。
当時として、ヨハンクライフ率いるバルサ「ドリームチーム」がトップモードだったとはいえ、そのクライフバルサですらサンターナにはトヨタカップで粉砕されている。
正真正銘、サンターナは世界一の監督だった。

そこで、いきなり表舞台に出てきたのがセルジオ越後である。
なぜか、その頃に彼は協会にいたのよ。
今から考えると、ブラジル人の彼が協会の中枢にいたというのも凄いけどね。
彼は単身ブラジルに行き、サンターナと交渉をすることに。
すると、サンターナからは「ギャラ10億なら考える」というメチャクチャな返答(笑)。
これは断念せざるを得ない…。

長沼会長は「しようがないね、じゃとりあえず加茂に…」という流れに持っていこうとしたんだろう。
これは私の想像だが、長沼会長もアホじゃないんだから、サンターナは無理だということぐらい最初から分かってたはずだ。
じゃ、なぜわざわざオファーしたかというと、まずは川淵さんのオフト続投案を潰したかったんだろう。
このへんの駆け引きは絶対あったはず。

ところが、ここから急に話がややこしくなる。
ブラジルにいるセルジオが、まだ動きをやめていなかったんだ。
「サンターナは無理だが、ファルカンは空いている」とか言って来た。
ファルカン?
あぁ、ビッグネームだな。
選手として「世界の修羅場をくぐった人物」に違いない。
彼は確か、ブラジル代表監督経験もある。
どうやらギャラも安いみたい。
…ということで、協会では長沼会長と川淵さんの間で駆け引きがある中、その間をとる「両者痛み分け」みたいな形でファルカン案がすっぽりとハマってしまったんだな。

しかし、あるいは両者ともに最初からファルカンを切る気マンマンだったのかもしれない。
それを知らないのが、当のファルカンとセルジオである。
ファルカンは98年大会、つまり4年後に照準を合わせたチーム作りに着手した。
ラモス、都並、堀池、松波など以前の中心メンバーを切り、代わりに前園や小倉など若手(当時まだ20歳)を召集、イチからチームを再構築し始めたんだ。
前園は、やがて不動のトップ下起用になった。
当然、ファルカンは時間をかけて強化していくつもりだったはず。
ところが、なんと5ヵ月後の9試合目にして解任!
…はぁ?である。
当然、ファルカンのみならずセルジオもキレた。
今に見る彼の協会に対する辛口キャラクターは、ここから始まったと言ってイイ(笑)。

で、そこからはおそらく長沼会長の思惑通りだろうが、後任には加茂さんが就いた。
あれ?「世界の修羅場をくぐった人物」という条件は?
いやいや、それはファルカンで懲りましたよ、皆さんも見たでしょ、外国人ではアジア大会ですら勝てない、やはり日本人とコミュニケーションとれる日本人がイイですよ、というロジックなんだろう。
なんつーか、このへんは「政治」だよね。
ある意味、代表監督人事ですら協会内の主導権争いである。

当然の話だが、「監督を連れてきた人間」は監督を守ろうとする。
普通それは技術委員長なんだが、↑のファルカンの例で不幸だったのは、交渉して連れてきたのが委員長ではないセルジオだったということ。
よって、切りやすかった。

さて、ハリルを連れてきたのは誰だ?
霜田さんである。
間接的には、原さんも噛んでたのかな?
とりあえず原さんはもう協会にいないし、霜田さんも委員長の職は外れている。
田嶋さん、岡田さん、西野さん、そのいずれもがハリルを連れてきたことには全く噛んでいない。

う〜む、切る環境としては、全く申し分ない(笑)。
2016/10/22(土)14:24

☆関西人
柔よく剛を制すA
続きね。

柔道とよく似た格闘技として、グレイシー柔術というのがある。
ブラジルで開発された格闘技だ。
もともとは前田光世(コンデコマ)という日本人がブラジルで柔術を広めたとされていて、それが弟子のエリオグレイシーが体系化し完成させたという。
そもそも柔術とはスポーツ化した柔道のルーツともいうべき原型で、どっちかというと殺人術に近い。
そんなガチなやつがなぜか日本ではなくブラジルで生き残り、さらに発展を遂げたというのが面白いね。
ブラジルがフットボールの発祥国でもないのに、いまや最強の王国になってることの意味も少し理解できる気がするわ。

で、私が初めてグレイシー柔術を知ったのは今から20年ほど前、90年代のことである。
エリオグレイシーの息子、ホイスグレイシーが米国の「UFC」という総合格闘技の大会で優勝して話題になったんだ。
そこで初めて、グレイシー柔術なるものが世間の脚光を浴びた。
何なの、この格闘技は?と。
つーか、何でセコンドがみんな兄弟なの?
つーか、このお爺ちゃん(エリオ)って誰?
全てが謎だった。
中でも最も謎だったのが、なぜホイスのようにさほどマッチョでもない男が大会に優勝できたのか?である。
普通「何でもあり」のバーリトゥードなら、もっと筋肉隆々のプロレスラーみたいな巨漢がパワーと打撃で圧倒するもんだろう。
ところが、ホイスはそうじゃない。
そして、戦い方が独特だった。
立ち技でなく寝技に持ち込むところまでは理解できるとしても、彼は寝技で「上」じゃなく「下」になるワケよ。
つまり、馬乗りになる方じゃなく、馬乗りされる方に回る。
普通、そんなの圧倒的に不利な体勢でしょ?
だけど、彼はその体勢で膠着し、たっぷり時間をかけた末、最後は絞め技をキメたり関節技をキメたりして勝つワケよ。
見てる側は、「はぁ?」である。
こんな戦法、それまで見たことなかった。
そうか、これがグレイシー柔術ってやつか…。

後に、このホイスの「下」に回る寝技が「ガードポジション」というものだということを我々は知る。
基本、これを使われると馬乗りになってる側は有利に見えて、実は攻撃力をかなり封じられてしまう。
スタミナも奪われる。
よって強引に体勢を変えようとするんだが、その動きを「下」からホイスはジ〜ッと見て、隙を伺っている。
ちょっとでも隙を見せれば、ホイスは一瞬で三角絞めに移行する。
怖いわ〜。
この「ガードポジション」って守備的な体勢に見えて、実は「攻撃の為の守備」なワケよ。
つまり攻撃の為に、ホイスは敢えて守備する時間を長くとってるワケね。

で、今のハリルジャパンは、このグレイシー柔術に近いコンセプトがあると思う。
先日の豪州戦、日本は30%台のボール支配率だった。
これをもって「日本も弱くなったな…」「FIFAランキングがアジアで5〜6番目というのも納得だわ」という人もいるだろうが、実態としてはどうやら意図して支配率を下げてたっぽい。
つまり柔術でいうガードポジション、ワザと敵に馬乗りをさせていた。
で、「下」から一瞬で三角絞めに移行するチャンスを虎視眈々と狙っていた。

こういう戦法は、歴代日本代表はやってこなかったと思う。
少なくともアジアでは、支配率60%台だったでしょ?
欧州南米など相手には支配率30%台になることもあったが、それは意図してというより結果論としてそうなった感じ。
日本は、あくまで支配率の高いサッカーを目指してきたんだと思う。

さて、それはなぜか?
かつて、誰かが言っていた。
「ボールを支配する時間が長ければ、その分守備をする時間が短くなる。
ボール支配率100%なら、確実に失点はゼロだ」と。
なるほど、ポゼッションというのは「守備の為の攻撃」という意味もあり、ガチの守備が苦手な日本にとっては、できるだけ球を長く持つことは攻守両面で効率良かったワケか。

だから、日本がポゼッション志向だったのは理にかなっている。
しかし問題は、それを欧州南米相手にやろうとしても、なかなかうまくいかないという点だ。
いや、頑張ればできるよ、というのがザック代表のサッカーだった。
一方ハリルは、そんなことするより、カウンター磨いた方が話が早いだろ、という。
じゃ、まずはガードポジションを磨こうよ、と。

もちろん、アジア相手にはガードポジションをとらずとも(というか、とらない方が)勝てることは分かっている。
しかし、今からやっておかないと本番(欧州南米)に通用するガードポジションは完成しないぞ、ということなんだろう。
望もうと望むまいと、本番は「下」にならざるを得ない。
だから、「下」からの攻撃を今からやるべきなんだ。
アジア予選を終え、本番直前になってから習得する付け焼き刃の三角絞めなんて、W杯はそんなの通用するほど甘くないぞ、というのがハリルの言い分。
この主張が正しいかどうかの判断は、私にはまだつかない。
しかし、グレイシー柔術が強かったことは今でもハッキリ覚えている。
後に、グレイシー一族は「グレイシーハンター」桜庭和志に負けたりもしたけど。
あの当時、桜庭カッコ良かったなぁ…。
最近、彼がCMでアレグラ星人になり、「アレ〜グラ〜」と言ってるのを見た時は少し泣いたね。

しかしこういう「ガードポジション」は、なかなか一般ウケしない。
当時としても、華麗にハイキックしたりカカト落としをしたりするK-1の方が人気あったと記憶する。
みんなグレイシー柔術が実戦で強いのは理解しつつ、どっちかというと玄人ウケしかしないジャンルだったかと思う。
問題は、そこなんだよね〜。
ハリルもアジア相手に「ガードポジション」やってると、そのうち一般ウケしなくなるんじゃないか…?
2016/10/21(金)14:12

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