
滝川
魂の花道
A
今からMRI内で観る映画は、死ぬ前ではないので予告編といえるかもしれません。
走馬灯の主人公は、まず母がでてきました。泣き笑いしているようで、周りと調和しない、全てが2秒くらいずつズレる表情は、紛れもなく母でした。心に残る、存在が現実とズレ、観る者に残像を刻む魅力的な笑顔。怯えながらも、ママごめんね、私はやっと言葉が出ます。胸がかき氷みたく砕け落ちそう。
母とは、DNAレベルの支配者か。命を産む最終的なジャッジをしたのは彼女の罪。その罪にありがとうと祈るように伝えます。
やがて、母の背後にスーツを着てネクタイを締め気取ったバーバーの像が浮かび上がってきます。ついに涙のまん幕が両目尻から流れおちてきました。
魂の重さは21gという説があります。死ぬ前と後で肉体の重さを測り、心臓が止まる際の発汗の量がそれではないかと専門家の間で話題になったそうです。