
世話人
いいです
とこたえた。いやいいです、か、いいですね
の区別が曖昧だ。
それでも、ふたりは「さぼうる」のようなサテンに入った。
下駄履きで着流しでも、ま、無理がない。
「米屋ですか」と、首をもっとふかくかしげた。
「はい。テレビでやってます」とこたえた。
備蓄米のことか、米国在住の孫娘のことか、自分でもはっきりしない。
「古古古ですか」
「はい。コメという字です。十の四隅に米粒を書きます。
米粒なしを口でかこむと田です。米屋の青色ののれんを見に行きます」
「お茶さめますよ」という。
話に合わせて紅茶を頼んだ。
「猫舌なので」と言わない。書きすぎるのはサイテー。