塩見 鮮一郎公式 掲示板
過去ログ4732
2025/10/8 2:41
▼世話人読書G『伯耆から隠岐へ』と同じころ書かれた『英語教師の日記から』という、すこし枚数のかさむ作品があります。ほんとの日記ではなく、日記の体裁を借りた松江の中学校の微細な記録と言っていいでしょう。
のちに反省するのですが、若き語学教師は初めて体験する東洋島国の
あれこれに、なんでも興奮して書き留めたい。
維新後の日本人にとっては貧しく汚く見えていた日々の習俗が、
貴重なユートピアになったのです。
学校。始まったばかりの学校。
先生が歌い、そのあと生徒が歌う。歌いながら行列して家に帰ってくる着物の子たち。
みんなうれしくて、うれしくてたまらない。
教育は天皇制を幼児のやわらかい頭にたたきこんだが、
一方では、江戸時代の農家では考えられない集団の楽しさ。
先生と生徒がほんとに仲が良かった明治初年が、
八雲によって書き留められています。
戦争末期なのに、わたしは幼稚園に行きたかった。
HP
▼世話人読書H『伯耆から隠岐へ』と同じころ書かれた『英語教師の日記』からというすこし枚数のかさむ作品があります。ほんとの日記ではなく、日記の体裁を借りた松江の中学校の微細な記録と言って、でしょう。
のちに反省するのですが、若き語学教師は、初めて体験する東洋島国の
あれこれに、なんでも興奮して書き留めたい。
維新後の日本人にとっては貧しく汚く見えていた日々の習俗が、
貴重なみのになったのです。
学校。始まったばかりの学校。
先生が歌い、そのあと生徒が歌う。歌いながら行列して家に帰ってくる幼年の着物の子たち。
みんなうれしくて、うれしくてたまらない。
教育は天皇制を幼児にたたきこんだが、
一方では、江戸時代の農家では考えられない
集団の楽しさ。先生と生徒がほんとに仲が良かった明治初年が、
八雲によって書き留められています。
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▼世話人読書G行儀正しい野次馬はともかく、八雲が心底おどろいたのは、
ここ何十年も島に泥棒がいないことでした。
明けっぴろげで、施錠などしたことがない。
わたしも戦前をすこしだけ見てきましたが、
農村ではすこしも警戒しない。
悪人のいない国だったのです。
戦後になって、すさんだ戦地帰りの日本兵と征服民が、
こそ泥になり、婦女暴行におよんだ。
セツと結婚して帰化した八雲は当然のように、
天皇を尊崇し、国歌・国旗、兵隊に敬意を払います。
日清日露が始まる10年ほど前です。
さらに八雲は警官と学校をほめます。イギリスと比較して、
こんなに優れているヒトがいるニホンを不思議がります。
警官は禄をうしなった士族です。
武士の儒教精神は、詩人の尊敬するところです。
HP
▼世話人読書Fハーンは行く前に、
隠岐に上陸する最初の白人、最初のキリスト教徒と、
興奮してつぶやいています。
そして、自分は当時日本に職をもとめた「お雇い外国人」とはちがう。日本人の素朴なインテリゼンスに魅せられた詩人だ。
でも、隠岐いちばん乗りの白人。
そして、これまた興奮した隠岐の島人は白人を一目見ようと昼夜おそってきました。
それを書き留めるハーンは、やはり外人になっています。
集まってきた島人は、静かだった。
しーっ。
音も話し声もない。客人の邪魔をしないように音を立てない。
瓦屋根によじのぼり、じっと待つ。
あ、わたしが隠岐の子だったら、同じようにしていたでしょう。
人間とはなにかと問う前に、日本人。
列島孤立鎖国日本人。その思考形式は。
欧米を物差しにしない。独善でもない。
威張らない卑下しない。
HP
▼SYUPO慧眼です世話人さんの仰る、「英語読者のため」の説明が、今や日本人にとっての新鮮な発見なのでしょう。
昔、東洋の島国のエキゾチシズムとして欧米人が受容したものは、すでに跡形もなく失われています。
それを現代の日本人が、「初めて日本にやってきたYOU(外国人)」のような驚嘆の目で、見つめているのです。
とても奇妙なことです。
*読了しました。
家屋の描き方と共に、島前・島後の崖の色などの自然描写も細密であり、烏賊の臓物の臭さの表現も印象深かったです。
また浦郷の町で、八雲をひと目見んとして押しかける人々の様子も傑作でした。
HP
▼世話人読書Eそのおもしろさは、ディテールにあることは確かです。
八雲は英語で、英語がすらすら読める読者を前提にして
書いています。
なんでもない襖とか障子、畳と間数などもていねいに説明します。
それが現代の日本の読者には、スーパーリアリズムになります。
明治中期の日本の田舎を知る日本人はいません。
研究して知っていても、それを丁寧に書いてくれる歴史家はいません。
八雲が日本を知らない英語読者のために書いた説明のくどくどしさが、
いまや新鮮な刺激なのです。
ちなみに、大方の日本人が読んでいる八雲の本は、
日本人語学教師が訳したもので、下手な日本語です。
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