塩見 鮮一郎公式 掲示板

過去ログ4700 2025/7/28 15:33

▼世話人
読書D
中絶手術で「子宮内膜症」になり、ホルモン剤を飲んでいる。
10年が過ぎ、誠はもう忘れているだろう。
全5章のうち、最後の章の視点は紗江子に移る。
女だけが傷ついている。フェミニズム的な意見に彼女はかたむきかける。
しかし誠は研究員の由香に指摘されて気がついていた。
手紙で、「なぜ、僕自身の体に傷をつけて
妊娠の可能性を断つ選択を思いつかなかったんだろう」とつづっていた。
パイプカットすればいい。

レクイエムの楽曲が鳴り、評者も筆を置く。
思弁のレトリックを思弁のレトリックで解決したくない。
ある論理にはだれかの配慮とトラップがある。

HP

▼世話人
読書D
中絶手術で「子宮内膜症」になり、ホルモン剤を飲んでいる。
10年が過ぎ、誠はもう忘れているだろう。
全5章のうち、最後の章の視点は紗江子に移る。
女だけが傷ついている。フェミニズム的な意見に彼女はかたむきかける。
誠は気づいていて、自分がパイプカットすればいい。

レクイエムの楽曲が鳴り、評者も筆を置く。
思弁のレトリックを思弁で解決したくない。
ある論理にはだれかの配慮とトラップがある。

HP

▼世話人
読書C
断種というと、刑罰の一種も例として入ってくる。
生き延びることを観念の操作で禁止する。
ていねいに考えなければならない概念だが、
ここではパイプカットを意味する。
この手術は女性にもおこなわれるが、
ここでは男性の精管を切除する意味だ。

女性の堕胎と対比している。

紗江子はいちどだけ妊娠し、
その子をおろした。
ほしくなかったのか。
誠の選択とその理由は、(黙って選択を彼女にまかせたが)、
契約婚で子どもを持つことへの疑問があった。

いまになって、彼は自分が正面から考えてこなかったことを反省する。

HP

▼世話人
読書B
契約は更新されなかった。
誠も紗江子も、そしてふたりに接触した青年男女も痛手を負った。
理想が現実によってしりぞけられたとするか。
レジュメの表題「ノン・モノガミーとポリアモリー」も、
同じ軌跡の末、破綻しそうだ。
モノガミー(一夫一婦制)に反対する。そして
ポリアモリー(複数の性関係の同時性)を可能にする集団。

現行モノガミーが、国家が国民を管理するための制度であるのは、100年前から指摘されていた。日本特有の戸籍制度もそれだ。そして国民は抵抗する一方で、その制度に守られる憧憬を抱いた。あるいは抵抗する生活に国家がつきつけた不利益に負けた。

婚姻と出産の関係があらわれる。
作者はそれを、断種として捉え、
この小説のもうひとつのストーリーにした。

HP

▼世話人
読書A
篠原和子『契約』(続き)
性へのアプローチはいか様にもできるが、
作者は現社会の仕組みに対象をしぼっている。
つまり制度的な問題、婚姻の形態などで、それは大戦後、若い世代(いまは年齢をかさねているが)のおおいに論じてきたことでもある。

主人公・誠も、女主人公・紗江子も40代後半だ。
しばりのない共同生活をつづけ、2年毎に「契約」をかわす。
オープン・マリッジと名付けている。
わかりやすい設定だ。9回目の更新が、これまでどおり交わされるかどうか。それがゆらいだ。男女双方に原因がある。
どうなるのか。ストーリーが生まれます。

ノン・モノガミーとポリアモリー。
レジュメのタイトルですが、
この小説の要約になっています。

HP

▼世話人
読書@
篠原和子『契約』読了。
この作者の作品をどれほど読んだのか、
全体がわからないので、ごく一部しか知らないのかも。
小説でしかない仕事がおおいのですが、
いちばん印象に残っているのは、
死についての考察です。
メメント・モリと題していましたか。
ちょっと息、つまる密度でしたが、刺激的でした。

死は生の中心にあるので、そのアプローチは千差万別ですが、
性も同じです。
死と性は切っても切り離せません。
死なくて性なし。
性なくて死なし。

篠原和子が、こんどは性について書きました。

HP

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