塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2495 2014/8/18 11:08

▼岡坊
うまいのは、
先生ですね。
8/18 11:08

▼世話係
自虐
私観か。
うまいこといいますね。
8/18 10:14

▼岡坊
プチマリ
飽かずに読んでますから、最後までお願いします。
「老後の楽しみ」でも思ったのですが、
先生の自虐ネタはくすっと笑わせてくれますね。
私も自分のことをこう書きたいものだと、お手本にしています。

水前さん。
受賞おめでとうございます。
エッセイは読んでませんが、受賞の言葉を読んで、きっと力作だったのだろうと、想像できます。

田舎に帰っていたのですが、
ここ数年、田螺が増えている。
なぜだろう?
農薬で虫が減り、鳥が来なくなったのですが、
また、増えるかなあ・・・。
8/18 7:58

▼世話係
中醉
長いですね、プチマリ、
ここに載せたのが失敗か。
ヒロシマからずるずると。
わたしは政治に弱いのが弱点です。
関係なく一生を送れたはずなのに。
時代の枠につかまったままの一生でした。
ブログが普及すれば、ブログをちゃんとやっている。
つまらないです。
8/18 3:13

▼世話係
プチマリ 13
 私はおじを見た。疲れて青いはだを見た。頭の大部分がはげていた。残った髪がていねいにくしけずられていた。おじが何かいうたびに唇がまくれた。
 十五万円かかるというんだ。そんなお金が、どこの家でも、おいそれとあるものか。それを聞いたあれがいうんだ。私のようなものに十万円もかける必要はないと。わしが若ければその位の金はどうにかしてくるんだが。
 親類じゃあ、かしてくれないんですか。
 くれない。かしたい気持はあっても金がないんだ。だめなんだ。あれが入っていた教会に今日行ったんだ。すると高利貸じゃあないから一文もかせないとぬかすんだ。さんざん金をしぼりとっていながら、人が死のうとしているのを平気で見ているんだ。なんというひどい世の中だ。
 おじは立ちあがった。部屋のすみに歩いてゆき、そこの柱をたたいた。
 なんという世の中だ!
 それから、私のほうにふりむいた。
 ねえ、お願いだ。わしはマリエッタから聞いたんだ。お前が、お前が五万円貯金してることを!
 おじは五本の指を開いて、私の方につきつけた。
 私は本能的に体をうしろに引いた。そして知らぬまに、おじと向かいあって立っていた。
 待ってください。
 五万円、お前が貯金してるなんて。五万円も!
 おじは叫んだ。私の目の前にひろげられた五本の指はぶるぶるとふるえた。その指は、今にも私の目をさしつらぬきそうだ。
 あなた。あなた、何をいってんの。部屋のすみからおばの声がした。
 あれほどいったのに、あんたって人はまだ分からないの。私のようなものに、そんな大金を使ってまで病気をなおす事はないってコトが。どうせおいぼれているんだし、私、死ぬのなんて、屁とも思ってない。ちっとも、こわくないのさ。
 だまれ。だまれ、このわからず屋め。おじはおばの枕元に跳んだいった。
 私、手術なんて、しませんよ。
 うるさい。
 おじは手をつきだしたまま私の方に一歩、一歩、つめよった。私は壁ぎわに押しつけられた。おじの手が私のシャツをとらえた。
 さあ、おれに五万円かしてくれ。五万円あれば、あれに手術をさせる。後の十万円はわしがどうにかしてくる。お願いだ。五万円かしてくれ。一人の命がすくえるんだ。それも、お前の育ての親じゃあないか。お願いだ。わしの一生のお願いだ。
8/18 0:31

▼世話係
プチマリ 12
 広島。そこで私はひきちぎられた皮膚を見た。はがされた爪を見た。そのそばにあどけない小学生の写真を見た。彼は放射線に焼けただれ、苦しみのあまり、はだをかきむしり、自ら爪をはいだ。彼は数日間くるしみぬいて、死んだ。それは十四年前の私の姿であり、明日の私の子供の姿なのだ。
 お兄ちゃん、おじさんが話があるんですって。
 家に帰った私にマリエッタがいった。
 戦争をまぬがれた古い長屋だった。玄関には黒ずんだ格子戸がはまっていた。私と妹が表の四畳半の間、おじとおばが奥の六畳の間を使った。
 話って。一体何だろう。
 多分、おばさんの入院費のことよ。
 そうか。お前すまんが、ごはんの用意をしてくれ。
 まあ、まだ食べてないの。
 そうさ。食費は払ってるんだからね。
 外で食べてくるといいのに。またお膳だすのめんどうだわ。
 妹は台所に行った。彼女の短いスカートから長くて細いしなやかな脚。妹の担任から来た安っぽい封筒。細くて長い文字。……妹さんのことでお話があります。私がおうかがいすればよろしいのですが、実力考査の採点が忙しいので、すみませんが、学校まで御足労下さい。一体どうしたというのだろう。妹が何か悪いことでもしたのだろうか。マリエッタの担任の血色の悪い顔。彼女はまだ三十になっていないだろう。明日は学校に行こう。彼女は私に何をいうのか。
 おじは待っていた。部屋のすみに寝ているおばは静かだ。
 わしがお前をひきとった時、お前はまだ小学校二年だったな。お前の妹のマリエッタは生まれたばかりだったからね。あれからはや十四年になる。いろいろな事があったよ。お前が橋から落ちてけがをしたり、マリエッタが病気したりね。わしとおばさんはお前たちをわが子のようにしてそだててきた。お前には大学まで行かせてやった。もちろん、わしが年をとったため、お前にアルバイトなどさせはしたが。
 おじさんは、おばさんの病気の事がいいたいのでしょう。
 そうだ。そうなのだ。だがどうしたらよいのだ。
 おじはひざの上の手をにぎりしめた。その手はけいれんした。おじは酔ってはいなかった。
 あれは死んでしまう。このままほっておいたら死んでしまう。手術しなきゃあいけないんだ。医者がいうんだ。畜生。早く入院させろというんだ。
 私はおじを見た。疲れて青いはだを見た。
8/17 0:28

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