塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板
過去ログ2493
2014/8/15 14:22
▼水前エッセイ賞文芸思潮より私のエッセイ「タイヤ検死官」に社会批評賞を与えるとの連絡がありました。そして受賞の言葉を書け、との事でしたので、以下を提出しました。
「別に社会を敵にまわしている訳ではありませんが、今回社会批評賞という重い名前の賞を頂戴し大変ありがたく思っております。前回は入選でしたので今回は何とかそれ以上をと思い、神田の文藝学校に通って、八覚先生、塩見先生のご指導を仰ぎながら、自分としては渾身の力を込めた作品を提出しました。長年自分の生業としてきたタイヤをテーマにしたエッセイですので、その時々に訪れた国や出会った人達を懐かしく思い出しながら書きました」
以上ですが、世話人様どうもご指導ありがとうございました。今度は小説で……
8/15 14:22
▼わかけんやまおじさんのブログ田中優子氏のカムイ伝講義などを紹介してますね。
世話人さんのことも。
8/15 9:59
▼世話係はいありがとう。
舟はあと一週間もすれば、
海に出るでしょう。
8/15 7:45
▼SYUPOいえいえ、ますます面白くなってきました。
作者の意図に合うかどうか分かりませんが、当時の学生の働く様子が生き生きと伝わり、興味深いです。
また、深刻ななかにもどこか「青春映画」ふうの向日性が感じられて、雰囲気として好きです(もし軽薄な言い回しに聞こえたら、もうしわけありませんが)。
8/15 4:00
▼世話係贅言すこし飽きましたね。
全5章です。
やめるわけには行かないので、
しばし我慢を。
8/15 3:23
▼世話係プチマリ 10 山をのぼりこえてから、私たちは雑木の中にわけいった。
妹の担任から呼び出し状が来た。何だろう。私は目の先を飛ぶ虫をたたきながらいった。
妹さん、何て名前?
マリエッタ。中学の三年だ。高校にイカセテやりたいが、だめだろう。本人も早く働きたがっている。
大きな岩かげに平たい場所があった。じめじめしていた。
新聞でも買ってくればよかった。
落ち葉を集めない?
静かだった。鳥が遠くで鳴いていた。体をよこたえると、私たちの上に木々の梢がそびえたち、私たちを丸くかこみ、青い空を小さく区切り、光は頂上近くで粉々にくだけちっていた。
私のくるおしい欲情はおさえられ、私は彼女の上にかがみこんで静かな接吻を与えた。彼女の手が私をひきよせ、ブラウスのえり元からのぞいた乳房が美しい。乳房とちぶさの間はぬけるように白い色をしていた。
私たちは平和だったろうか。私たちは不安だったろうか。
私は彼女を愛していたろうか。彼女は私を愛していたろうか。
ぼくをもっとしっかり抱きしめておくれ。
私はいった。もっと。もっと。
私は目をとじた。私は彼女に私の凡てをゆだねてもよいと思った。それは私が長いこと忘れていた快い感動だった。それは私が母の胸に抱かれて思ったことだった。
プチマリは私の胸の上に頭をのせた。
今日のデモどうだったの。
分からない。学生は勉強していればいいんだ。労働組合のマネなんぞするな。といわれた。
心臓の音が聞こえるわ。
風が吹いて梢がゆれた。上を見あげていた彼女が顔をふせていった。
上を見てると、目がまわりそう。私の体が地の底に落ちて行ってるみたいだわ。
第四章
私は、秋とはいえまだ強い陽射しの中を、真黒になって駆けずりまわっていた。お金がほしかった。妹と自分の生活費より余分の金だ。金をためるんだ。
ごめんください。
はあい、いらっしゃいませ。何をさしあげましょうか。
いや、ぼくはミジンコキャラメル会社の調査員でして。
あら、そうなの。だったら後にしてもらえない。今とても忙しいの。
私は小さい菓子屋を一軒一軒まわることになっていた。それは骨が折れたし、相手にはめんどうがられた。午前中かかって六軒しかまわれなかった。一軒につき十五円だ。暑かったので、昼食をたべるお金でかき氷をたべた。
8/14 23:56