塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板
過去ログ2102
2013/6/13 23:52
▼世話係15−1十五、直助のいた屋敷
つやは一番鶏が鳴くまえにおきた。
へっついのまえには、左に母のお七、右に次女のまつが寝ていた。そっとおきだしたが、ころがっていた徳利をふんでよろけ、まつの足首につまずいた。
「ごめん」
と、つぶやいた。
「ねえちゃん、もう行くのか」
まつのねむそうな声がかえってきた。
「ああ、きゅうな用を思いだした。万年町のお屋敷にもどるから、みなにはよろしゅうにいっておくれ」
「ねえちゃん、またいっしょにあそびてえな」
半分、寝ごとのようだ。
「ははは」
笑ってごまかして長屋のそとへでた。ねえちゃんは結婚するから、もうおめえとあそぶことはあるめえ。こんなせまくるしい長屋はごめんだ、と歩きだしてつぶやいた。
三十三間堂のまえをすぎ、富岡八幡さまにきた。おおきな朱塗りの鳥居に朝日の一条がさしていた。朝焼けが始まり、青い光のすじと桃色のすじが、よこにながくたなびいていた。寺町のほうから明け六つの鐘がいくつもかさなりあってひびいてくる。この時刻、だれよりもいそがしくうごきまわっているのは、さかな屋と漁師だ。夜釣りであがった新鮮なさかなを河岸で売り買いしていた。魚問屋の若者もいたし、棒手振(ぼてふり)もいた。しりからげにして、ふんどしから二本の足をむきだしたまま、かけまわっている。
「おねえさん、お早いね」
と、すれちがいざまに声をかけられた。
「おはよう」
と、返事をくれてやった。
春とはいえ朝はまだつめたい。つやはちいさく身ぶるいして走った。三日まえにふった雪がまだとけずに、道のわきにあった。それに朝日があたって、いっそうまぶしい。永代寺門前仲町をぬけ、えんま堂橋の橋板に下駄を鳴らした。寺町にくると、むなさわぎがした。昨晩の不安がよみがえってくる。母に、「その直助とかいう下男にかつがれたのさ」と笑いとばされた。お袖がきているというより、討入りがないともいえない。そういう気分が濃厚になる。
海辺橋まできて、仙台堀の河岸にかけこんだ。
仕舞屋(しもたや)のさきの屋敷が先生の医院だ。仕舞屋とのあいだの路地を通ってうら口にまわり、外流しのそばへ出た。からすが一羽、庭の上空でやかましく鳴いた。なんだか不吉な予感がして、つやの胸はしめあげられる。
「直助」
と、声にださずに呼んで、必死にすがたをさがした。
6/13 23:52
▼世話係14-8十五、直助のいた屋敷
つやは一番鶏が鳴くまえにおきた。
へっついのまえには、左に母のお七、右に次女のまつが寝ていた。そっとおきだしたが、ころがっていた徳利をふんでよろけ、まつの足首につまずいた。
「ごめん」
と、つぶやいた。
「ねえちゃん、もう行くのか」
まつのねむそうな声がかえってきた。
「ああ、きゅうな用を思いだした。万年町のお屋敷にもどるから、みなにはよろしゅうにいっておくれ」
「ねえちゃん、またいっしょにあそびてえな」
半分、寝ごとのようだ。
「ははは」
笑ってごまかして長屋のそとへでた。ねえちゃんは結婚するから、もうおめえとあそぶことはあるめえ。こんなせまくるしい長屋はごめんだ、と歩きだしてつぶやいた。
三十三間堂のまえをすぎ、富岡八幡さまにきた。おおきな朱塗りの鳥居に朝日の一条がさしていた。朝焼けが始まり、青い光のすじと桃色のすじが、よこにながくなびいていた。寺町のほうから明け六つの鐘がいくつもかさなりあってひびいてくる。この時刻、だれよりもいそがしくうごきまわっているのは、さかな屋と漁師だ。夜釣りであがった新鮮なさかなを河岸で売り買いしていた。魚問屋の若者もいたし、棒手振(ぼてふり)もいた。しりからげにして、ふんどしから二本の足をむきだしたまま、かけまわっている。
「おねえさん、お早いね」
と、すれちがいざまに声をかけられた。
「おはよう」
と、返事をくれてやった。
春とはいえ朝はまだつめたい。つやはちいさく身ぶるいして走った。三日まえにふった雪がまだとけずに、道のわきにあった。それに朝日があたって、いっそうまぶしい。永代寺門前仲町をぬけ、えんま堂橋の橋板に下駄を鳴らした。寺町にくると、むなさわぎがした。昨晩の不安がよみがえってくる。母に、「その直助とかいう下男にかつがれたのさ」と笑いとばされた。お袖がきているというより、討入りがないともいえない。そういう気分が濃厚になる。
海辺橋まできて、仙台堀の河岸にかけこんだ。
仕舞屋(しもたや)のさきの屋敷が先生の医院だ。仕舞屋とのあいだの路地を通ってうら口にまわり、外流しのそばへ出た。からすが一羽、庭の上空でやかましく鳴いた。なんだか不吉な予感がして、つやの胸はしめあげられる。
「直助」
と、声にださずに呼んで、必死にすがたをさがした。
6/13 23:46
▼世話係まだです、20年熟成。あと20年うちに置いていたら、
40年熟成になるのかな。
それはそうと、聞きたかったのは
匂いの強い高い酒と、
あまり匂わない普通の酒、どっちが好きですか。
日暮里からゴールデン街まで梯子するの、
もうやめようね。
6/13 23:34
▼なゆ湯豆腐に鰻夏は噛まなくても飲めますね。
6/13 21:35
▼世話係ありがとう食べるときだけ
不便で、
呑む時は平気です。
6/13 19:40
▼蜘蛛痛みますか大丈夫ですか。
明日医者に、ですね。
6/13 18:32