塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板
過去ログ2077
2013/5/21 11:29
▼咲流れる奪い、奪われ。そうして流れていくものなのでしょうか。流れる。小説が書きたくなりました。7月に出したいです、短くても。
その前に、第2稿アップせんと……ううー。
5/21 11:29
▼世話係11-9「じゃあ、よほど信頼していたのでしょうな」
庄左衛門はちらりと直助の顔を思いだした。
「油断大敵ですな。その下男、ほかに行くところはないでしょうから、きっと紀州に逃げ帰ったにちがいありません。いずれ御用になるでしょう。中島先生、やとい人にゃ気はゆるさねえほうがよいようだ」
「なるほど、じつは万年町の名主が年始にまいりまして」
といいかけると、
「水野吉太郎さまが、ひくっ、お宅でなにかもうしましたか」
と、さきまわりした。
「ええ、直助がわたしのことで万屋さんにあれこれたずねていたといわれました。いってえ、うちの直助は、わたしのなにを知りたがっておったのか、なんだか得心の行かない話でした」
庄左衛門は崖からえいと跳びおるくらいの勇気をだしてうちあけた。さかずきをもつ手をとめて、じっと相手を見た。
「いや、なんですか、そのことですか。なに、荒唐無稽なことでございました、ひくっ。お宅の直助さんがいうには、赤穂の浪士に小山田一閑という者がおったろうかというのでございます」
「はあ」
顔がさっとこわばるのをどうしようもない。万屋幸助になにか気取られはしまいかとあわてた。
「なんでそのようなことが知りてえのかと直助さんにききましたところ、ひくっ、中島先生の家の仏壇に、その者の位牌があるというのです」
「は、はあ」
「その仏壇を売ったのはこのわたしだから、なにか知っておろうというわけですが、ひくっ、そんなこたあ坊主が知っておることで、仏具屋が知ることではないといってやりました」
「はっはっ……ごほんごほん」
笑い声がかすれたので、あわてて咳きこんだ。
「それでも直助さんは、なお、しつこくたずねて、吉良さまの屋敷に討ち入りしたなかにゃ、小山田一閑というのはいなかったのですねと、念をおしやがる」
「それで」
直助がおのれを四十七士のひとりの息子でないかと勘ぐっているのがわかった。
「小山田一閑は知らねえが、ひくっ、小山田庄左衛門というのは知ってるとこたえてやりました」
「は、あああ」
さり気なく勝栗を箸で取ったつもりが、指の力がぬけて、金色のむき身がたたみにころがった。
5/21 9:20
▼世話係311推敲をつづけています。
どうして中央政界・経済界は
責任があるのに、
あんなにはしゃげるのでしょう。
15万の人がいまだに
目途が立たないでいるというのに。
5/21 0:47
▼世話係酔わずには渡れぬ老の
辛さかな。
わたしはこんな感じ。
酔って喚いて、眠れ。
良い子。
5/20 12:45
▼水前酔いどれて……先日は国分寺から東中野へと流れて飲んで飲みつぶれ、不覚にも寝てしもうて失礼ばしました。たまには良かろもん。
5/20 10:29
▼世話係11-8菊が燗をした徳利をもち、女中をしたがえて食積(くいつみ)を運んできた。三方(さんぼう)に熨斗鮑(のしあわび)や伊勢えび、勝栗(かちぐり)、それに、田作り、数の子、黒豆の三つ肴(ざかな)がのっている。
「お宅のようにおいしくはまいりませんが」
などと、菊はけんそんした。
「いえ、お内儀のごちそうは、むかし、お花見のおりに賞味させていただいておりまする。とてもおいしかったのを、いまだにわすれておりません」
庄左衛門はお世辞を口にした。
「ほほほ、中島先生はいつから、お口がそんなにじょうずになられましたか。ほほほ」
と、菊はお歯黒の口を手でおおってちいさく笑った。娘の伊予がしずかに寝てくれるだけでもうれしいのだ。ひさしぶりにきく、菊のひかえめな笑い声であった。
「おお、そうそう、もう二か月もすれば桜が咲く。伊予がよくなればみなで出かけてみたいものよな。ひくっ。やはり墨堤(ぼくてい)がよろしかろうか。それとも、柳原(やなぎはら)の土手に桜を植えたとか。そいつを見にまいるか。王子の飛鳥山も力を入れて桜をふやしたというし、こいつはおおいそがしだ」
「ほんと、そのようなことになれば夢のよう」
菊は女中をうながして台所へもどった。
「その者、権兵衛というのはつかまりましたか」
庄左衛門はすこし気になった。
「ひくっ、中島先生。そのように真顔になられると話しにくい。ま、おひとつどうぞ」
と、徳利をさしだした。
「あ、これは、かたじけねえ。おっと、こぼしちゃもったいねえ」
と、わざと陽気にいい、盃(はい)をうけた。ぐいとあけると、歩いているうちにさめかけていた酔いがよみがえった。
「いやまだつかまっていません。ひくっ、金子をうばってにげたままだそうです」
「その下男、どこの口入れでやといましたのか」
「なに、紀州からつれてきたそうです。じつはその経師屋の旦那はひとり者で、身のまわりの世話をいっさい、その権兵衛にまかせていたそうです。ふふふ」
万屋幸助の声に小馬鹿にした調子がこもった。
「じゃあ、よほど信頼していたのでしょうな」
庄左衛門はちらりと直助の顔を思いだした。
5/20 3:00