塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2076 2013/5/19 9:34

▼世話係
11-7
菊は恐縮してちいさく足ぶみした。下駄が土間でかちかちと鳴った。
 「きょうは、伊予さん、いかがなされておりますかな」
 「はい、伊予はよくねむっております。ありがとうございます。これも先生のおくすりがきいたからでございます。それでこうして、わたくしたちも、お正月気分をすこしだけでも味わうことができました。どうぞ、こちらへ」
 なんどかお辞儀があったのち、いつも一服する座敷に通された。すぐに、小兵(こひょう)だが肉のついた万屋幸助が体をゆすってあらわれ、下座に平伏して、
 「初春の御慶もうしいれます」
と、あいさつした。
 「伊予さんはねむっておられるとか、あとでのぞいてみましょうか。くすりは直助にとどけさせることにしまして」
 「はい、おかげで、暮れからすこしおちついております。それはそうと、ひくっ、ひくっ。おそろしいことがございました。ごぞんじですか、ほれ、日本橋の経師屋(きょうじや)の主人が下男に斬り殺されました」
と、万屋幸助はまちかまえていたようにいった。娘がおちついているので、ほかのことにも関心がわいたらしい。
 「いや、初耳でございますが」
 いきなりいやな話をきかされた。
「まだ、ごぞんじでなかったか、お正月に話すことではないかもしれませんな。ひくっ」
「はあ、主殺(しゅうごろ)しですか。そいつはまた」
庄左衛門と万屋は同い年だし、医師と患家だ。名主の水野吉太郎に対したときのように格式ばらなくてすむ。気持をおちつけようとキセルをとりだした。
 「なんですか、ひくっ。あるじの又四郎ともうすおかたは、紀州和歌山で、お城のご用をうけたまわっていたそうですが、将軍さまにつきしたがわれて江戸へまいられた」
 「なるほど」
吉宗公について江戸にきて、日本橋で経師屋をひらいた。城の屏風やふすまの張りかえなどを引きうけるわけで、うんともうかるだろう。
「それで、紀伊の国を出発時に、御用達金(ごようたっしきん)として百両をくだされたそうで、ひくっ、なんともうらやましいかぎりですな。そいつをだいじにたんすにいれていた。下男の権兵衛(ごんべえ)というのが、魔がさしたのか、そのカネを見て欲心がわいた。ひくっ、そんなところでしょう」
菊が燗をした徳利をもち、女中をしたがえて食積(くいつみ)を運んできた。
5/19 9:34

▼世話係
すぐ
連合するね。
5/19 1:05

▼咲
はい!
さささん、はい、油断しません!(あれ、なにをだっけ……?)
5/18 23:40

▼ささ
アホな私です
売買といえば、
冷凍のものが投資対象になっている世界を考えたことがあります。
株のように相場が立ち、上がった下がったと熱狂する。
金持ちを目指し、血統の良い芸能人やスポーツ選手を育てるママたちの話としても、
短編か、ショートショートのネタにならないものかと。
5/18 18:11

▼世話係
あれって、
人身売買にならないのかなあ。
5/18 16:29

▼ささ
遅まきながら。先生こそ
○○を迫られ
売るやいかにと悩ましげに。

咲さん、お互いに油断しないよう、気をつけましょう(意味不明)。
5/18 15:35

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