塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2075 2013/5/18 1:53

▼世話係
11−6
「おれと早蕨も、ああであったか」
と、思った。
寺町まで行かずに、三河西尾藩の下屋敷の門前をすぎた。おおきな松飾りが長屋門の左右に立っていた。竹の先端が、ななめにすぱっと切ってある。根もとにはわらがまきつけてあった。赤穂ではふしに水平に輪切りにし、下の鉢を割り竹をたてにならべて巻いた。所かわれば品がかわるのか。いつだったか、七つか八つの庄左衛門は父に手を引かれて、松かざりのならぶ武家屋敷の通りを行った。おだやかに晴れていて、あたたかい正月であった。父の一閑はきげんがよく、千種川(ちくさがわ)の木橋をわたり、とおく御崎(みさき)まで歩いた。
眼前に瀬戸の海がまぶしくきらめいた。帆掛け舟が点々と浮いて、緑の島影から出たり入ったりした。父がしゃがむと、庄左衛門もまたそばにしゃがんだ。ふと父が母のことをなつかしく思いだしているのだと気がついた。ふたりでここまできたことが、しばしばあるのだ。なにもおぼえてないが、五歳までの自分もそこにいるのかもしれない。庄左衛門はつらくなってうなだれた。股(また)のあいだを蟻が列をつくって草むらへとつづいていた。あのころは、来年も再来年も、正月のたびにおなじようなことがくりかえされると信じていた。すこしたいくつしながら、いつもいつも父のそばにしゃがむのだ。
西尾藩の大名屋敷のながい土塀をすぎながら、庄左衛門は、
「門松は冥土の旅の一里塚」
と、一休禅師(いっきゅうぜんじ)の狂歌を思わず口ずさんでいだ。庄左衛門は四十五番目の一里塚に到着していた。とうのむかしに父はいないし、もはや二度と御崎から瀬戸をながめることはない。
せまい間口の町家になる。なにをやっているのかわからない、うすぎたない仕舞屋(しもうたや)がつづいた。冨久町と平野町のあいだのほそい路地を右に入ると深川三角屋敷で、もっときたなくなる。なまぐさい、いやなにおいまでたちこめている。
「初春の御慶(ぎょけい)もうしいれます」
仏具屋の表戸をあけて顔をつっこんだ。数珠をまさぐりながら辰がでてくるのをまっていると、
 「これはこれは、中島隆碩(りゅうせき)先生」
と、お内儀があらわれた。正月だから、白い髪も結いなおしたばかりで、髪油のにおいが線香のけむりにまじって鼻をくすぐった。
 「初春の御慶、わざわざおそれいります」
 菊は恐縮してちいさく足ぶみした。下駄が土間でかちかちと鳴った。
5/18 1:53

▼ボート
観賞
観客はわずか5人。
スクリーンの探偵のオレはがんばっていた
けれど。
こんな私でも仲間に入れますか。
5/17 22:48

▼世話係
11-5
数えて見ると四十六名だ。のちになって、寺坂吉右衛門(てらさかきちえもん)は討ち入りには参加したが、引き上げの途次、内蔵助に命じられてひそかに列を離れたとわかった。それよりも、吉良邸の探索を熱心につづけていた毛利小平太の名がないのがいぶかしかった。
庄左衛門はおのれとおなじ道をえらんだ毛利に親近を感じるかと思ったが、そうではなくて、いやな気分になった。深川の波勝楼ですぐそばにすわっていた毛利の気ばった顔を思いだし、それをきたない絵のように破りすてた。あとは酒でおのれの顔をわすれるしかなかった。
「お多可、万屋さんに年始にまいる。お年玉の扇子をくれねえか」
いらついた声をだした。
 「はい、はい。すこし酔っておいでですよ。お供に直助を」
「いや、ひとりでまいる」
といい、小声で、
「やつのことで行くのだ。いっしょだと話ができめえ」
とつづけた。万屋に新年のあいさつにでかけて、それとなく直助がなにを知りたがったのかをききだしたい。
「これ、つや。扇子の箱、ひとつもってきてくれねえか」
お多可はつやに指図した。
「へい」
つやのねぼけたような返事がおくでした。
 玄関口で見送られた。
直助も秤(はかり)のまえからおりてきが、以前のように、「あっしもお供を」とはいわない。目があうと、さりげなくそらしてうつむいた。
 「あいさつだけだ。すぐにもどってくる」
と、お多可にいった。
 「はい、お気をつけてくださいな。お屠蘇はほどほどに」
 「がきの使いじゃあるめいし、そうまでいわなくてもよかろうに」
と、お多可をにらんだ。
 雲がいちめんに空をおおっていた。ぐるりと首をまわして青い部分をさがしたがどこにもない。風もなく、もやっとしたあたたかさだ。河岸にそった道を派手ななりの男女がすぎた。女がまえを行く男の背に丸まげの髪をくっつけるほどに顔を寄せ、たかい声で、くっくっと笑った。ついさきほどまで肌をあわせていたのだろう、ほてりがのこっている。
「おれと早蕨も、ああであったか」
と、思った。
5/17 10:53

▼世話係
さささんが
のろけたり。
5/17 10:17

▼咲

カッパがまじめに迫ったからでしょうか???
今度から、ササさんに習って? ふまじめに迫ります。
5/17 9:31

▼世話係
じじいの帰宅
ふう、ふう。
ボケているので、
あまりちゃんとしたことがいえなかった。
ブーイングが起こるかと思っていたら、
みんな優しい。
マジメな飲み会で、
あまり酔えなかった。
帰宅して、
冷酒をがっぷりと呑んで寝る。
みんな幸せに。
5/17 1:20

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