塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板
過去ログ2068
2013/5/11 9:47
▼世話係10-16「三両もか、おまえさんの一年ぶんの給金とおなじ額ではないか」
お多可が口をはさんだ。
「それに、先生がいつもおれをからかうのが気にくわねえ」
「ふん」
そうかもしれねえと庄左衛門は思ったが、
「そうではねえだろ。ここ、ここにきて、まだ、いいかげんなことをぬかして、おれをだまくらかそうとしやがるか。ほんとは、賭場に借金ができて、にっちもさっちも行かなくなったのだろうが」
と、あて推量でおどした。
「ああ、そうだ。そんなとこだべえ。三両を元手に、こいつを倍の六両にもして、三両はちゃんとかえすつもりであったものを」
と、直助はうなだれた。
「どこの賭場だ」
「池月(いけづき)という博労(ばくろう)の賭場だべえ」
「わりいとこに、出入りしてやがる」
といい、刀を水平にして直助の肩をひとつ、ふたつ、たたいた。
「どうかそいつを、しまっておくんなせえ」
と、直助が哀願した。
刀を黒いさやにおさめていると、つやがもどってきた。
「これだわ、ちゃんとあった」
と、紙にくるんだ三枚の小判をさしだした。
「大岡越前守なら、ここで一件落着だな」
庄左衛門は三両を受けとって、お多可へわたした。
「番所にゃ、つきださねえのか」
直助がいった。おれを挑発してやがるのかとにがにがしくなり、
「つきだされてえのか、おい」
と、つよい声でいってやった。
「いや」
首をよこにふりながらも、直助は口の端でにやりとした。
5/11 9:46
▼世話係狂騒ブカブカまた、繰り返すのですかね。
一般投資家に株を勧めるのは、
おれおれ詐欺でしょ。
5/10 23:06
▼世話係10-14「ああ、父上」
庄左衛門は仏壇にむけてしゃべった。実際に声をあげたのかどうかは、自分でもわからない。でも、羞恥で顔に血がのぼってきた。
「父上のおおせのとおり、わたしは、あるじの刀をねこばばしました。茶会の延期を逃亡の口実にするなぞ、見ぐるしいとしかもうせません。わたしはこわかったのです。臆病だったのです。五日の茶会が中止にならなかったなら、みなといっしょに討ち入ったでしょうが、中止をいいわけにしてはなりません。五十数人のうちの四十七人はよく耐えたのです。わたしもまた耐えねばならぬときに、その仲間のたつきをうばって行方をくらましたのです。そんなわたしが、この者をしかりつけることができましょうか。『あるじのカネをくすねた下男をほっておくのは沽券にかかわる』などと、どうしてもうせましょうか。わたしが武士であったとしても、いえ、武士であるがゆえに、この男をしかることはできません。この主人にしてこの下男です」
庄左衛門が刀を引いてさやにおさめようとした。
そのとき、とつぜん障子があいて、悲鳴にちかい泣き声が座敷をみたした。
「ああ、おねがいでございます。お、おそろしいことはやめて。先生、直助をゆるしてやってくれ」
と、つやはわめいた。泣きながらきれぎれにいうと、庄左衛門の足にかじりついた。
「つや、もういいだべ。おれがうそをついたのだ。大黒屋の三両、おれが請書(うけしょ)を書いて受けとったべえ」
同時に直助がどなり、首をねじって、
「これでよいか、先生。さ、首をとるなり、番所につきだすなり、すきなようにしやがれ」
と、庄左衛門にいった。右目のしたのあざが、はじけそうに赤くなっている。
「む、む、む」
おかしななりゆきになった。庄左衛門がゆるそうと思ったとたん、つやが飛びこんで来て、同時に直助が自白した。
「よくぞもうした」
庄左衛門はあえぎながら、必死にいった。どうにか沽券をたもった。仏心のはからいでこうなったのか。あわてて直助のえり首をはなした。真冬なのに全身が汗みずくである。左の手でひたいの汗をぬぐい、そのついでに仏壇を見た。
べつにとびらはしまってない。灯明のそばに父の位牌は無言のまま立っていた。
5/10 10:01
▼世話係だんだん、どうでもよくなる法華の太鼓ですね。
5/10 3:51
▼世話係大河評論と、いうのもアリですかね。
まだ、飲々悶々。
5/10 3:11