塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2048 2013/4/19 11:46

▼わかけん
スマホ
カキコは難しい。。
4/19 11:46

▼わかけんわか
失敗
したものを、文学は切り捨ててしまった。
この話、いま興味しんしん。
4/19 11:45

▼わかけん
円朝が
すくい取ろうとしたま
4/19 11:42

▼小梅村
咲さんへ『生田川』
鴎外全集は新しい1986年版の第6巻みたいです。
「日本戯曲全集第20巻」・国民図書・1926年というのもありました。
最近のだと『鴎外女性論集』不二出版・2006年というのもあります。
4/19 10:24

▼世話係
ずっと12・14です。
お袖が海辺橋から飛込んだ日が
まだつづいています。
大工のたー坊、泉岳寺へ。
帰宅した先生と師匠がつやを呼んでいます。
4/19 7:48

▼世話係
9-1
九、くすり代

 「つや、ちょっとおいで」
お師匠が呼んだ。
 「へえ」
 いろりのそばを通って、女中べやに入ろうとしていた。もうかなり夜もふけている。
 「そとの流しに、ずいぶんとながくいたが、なにをしていた。雨もふり始めただろうに」
と、障子のむこうからいう。
 「へえ」
 一日の仕事はおえたあとぐらい、なにをしようとかまうまい。いちいち耳をそばだててもらいたくない。不満をつのらせたが、奉公人のつらさだ。桟の影が格子状にくっきりとついた障子に手をかけた。
「なにか用か」
と、首だけ座敷につっこんだ。あたたかい空気に酒のにおいがこもっている。いつもの火鉢ではなく、長火鉢を隣室からもちこんで、燗をしながらふたりして飲んでいた。
「ああ、用があるから呼んだ」
と、お師匠はいった。ひざには先生の坊主頭がのっている。ながくのびた体には師匠の花がらの着物がかけてあり、なまめいたふんいきだ。
 「おい、戸をしめねえか。つめてえ風が入ってくる」
先生が十日ほどまえの晩とおなじいいかたで、寝たままいった。
 「へえ、ここにすわってもええのか」
 つやは障子をしめて正座した。いつもとは勝手がちがう。山岡頭巾をかぶった先生がでかけたのを、お師匠があわてふためいて追いかけたあと、なにがあったのか。
 「あのな、つや。留守のあいだにきた者はだれとだれか。それをききてえのさ」
と、お師匠がいった。夜化粧をしていて、くちびるに紅をつけていた。酔いでほんのりとほおが赤くなり、女が見ても色っぽい。
「へえ、米屋の大介がまいりました」
「それは米びつがいっぱいになっていたから、すぐにわかった。ほかには」
「石屋の甚兵衛さんが赤子のくすりを取りに」
「われらが駕籠で帰り着くちょっとまえのことだな、甚兵衛さんがきたのは」
 「へえ、そうです」
「ほかには」
「あの、あの、あのう」
つやは考えた。米屋の大介が帰ったあと、いろりのそばにしゃがんで指さきをあぶっているうちにねむくなった。つかれていたのか、夢も見ないで前後不覚になった。直助におこされて、
「おい、米をまだ洗ってねえのだろう。はえいとこ、やってしまうべえ。そろそろ帰(け)えってくるころだ」
と、いわれた。
あわててはねおき、
「もうそんな時か」
つやはよだれを手の甲でふいて着物になすりつけた。
4/19 6:57

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