塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2032 2013/3/30 8:49

▼世話係
人生は
酒の海を渡ること
だそうです。
3/30 8:49

▼岡坊
今日は、
八海山の日かしら。
春は命の泉に溺れる日々が続きますね。
3/30 7:41

▼世話係
少し前は
一句できたのに、いまは浮かびません。
変なものですね。
流れてるのです。
意識がずっと、死ぬまで。
(あっ、死とカネとアレはタブーだったか)
3/30 1:31

▼お城大好き
用事が出来て行けません
楽しみにしていた講座と公演。
明日も緊急な雑用を処理するため、中野に向かえそうにありません。
お許しください。
3/29 18:37

▼世話係
寺子屋の場
を書いてみたかったようで。
3/29 10:12

▼世話係
7
「さ、みんな、わすれ物がないように」
と、お師匠の声が座敷にひびいた。
「さようなら」
「はい、お菊ちゃん、さようなら」
「久松ちゃん、おっかさんに、『鯵(あじ)のひらき、ありがとう』といっておいてね」
この子はとなりの干物屋の子だ。
「はい、お師匠さま、さようなら」
さっきまでのさわぎが、潮が引くように店のほうにむかい、お師匠の声もいっしょに遠ざかった。いつもはつやも見送るのだが、きょうはたたみの墨のあとをふきつづけていた。お習字の紙をまるめ、爪がめりこむほどにつよくにぎりしめた。
「もういいさ、つや」
いつのまにもどってきたのか、お師匠がかたわらにしゃがんだ。
「どうせ、年の瀬にゃ、たたみの張り替えをしなきゃなるまい。すっかり黄ばんでいる」
お師匠は座敷を見まわした。
「あのう、わしがおおきな声をあげたばかりに、とんださわぎになってしまった。どうか、かんにんしてくだされ」
胸のうちの憤懣とはまるでちがう言葉が口をつき、島田髷に結った頭をなんどもさげた。弟や妹を泣かせたときとおなじで、さきにあやまるのが得だ。口が調法なもの、というのも母の口ぐせだった。
「もういいさ、それより、おまえのほっぺの墨をふいてあげよう」
と、お師匠は布ぎれで指をくるみ、つばをつけてつやのほおをこすった。
「すみません」
と、あわてたが、お師匠のにおい袋のよいにおいをかぎながら、されるにまかせた。しなびたごぼうのようなうちのおっかさんと師匠がおなじ年なのが信じられない。
「くすぐったくないかい」
「へえ、へいきです」
「なんだか、お昼すぎてからひえこんできたね。風もでてきた。雪にでもなるか」
と、お師匠はおもてを走る風の音に耳をかたむけた。
「ほれ、もうとれた。つや、すまねえが火鉢をひとつ、もってきてくれ」
「へえ」
つやは中腰で机のあいだを歩き、三つあるうち、いちばんこぶりな火鉢をはこんできた。
「すまないね」
手をあぶるのかと見ていると、お師匠はながいキセルをくわえ、火皿(ひざら)を炭火におしつけた。
「つや、おまえが書いたのはどれだい。ひとつ見せてごらん」
と、お師匠は鼻から煙をだしながらいう。片ひざを立てた婀娜(あで)なすがただ。
「へえ、これです」
 「ふん、なかなか、じょうずになった。いい筋の字だ。この調子じゃ、すぐに直助を追いこすだろう」
3/29 9:35

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