塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2031 2013/3/28 8:56

▼世話係
6
これこれ、お登紀ちゃん、そんなに義坊(よしぼう)をいじめない」
お師匠はすぐそばの子をしかりながらも、鉄漿(かね)つけをした歯をくちびるのすきまにのぞかせて笑っている。いまは医者の女房で堅気だが、わかいころはそうではなかろうと、近所ではうわさしていた。
「だって、義坊のやつ、あたいの書いた字に、チョンをつけた。見てちょうだい。これじゃあ、おっかさんに見せられねえ」
 「へただからチョンつけたのさ。へたな字にゃチョンしていいだろ。お師匠さまなんかいつもやってるでねえか」
 義坊もまけてはいない。やっちゃ場のおやじの口ぐせをまねてえらそうだ。お師匠がなんとこたえるのか、つやが背筋をのばしたとき、三助が立ちはだかった。
手には筆をにぎっている。
 「つや、おめえもチョンだ。よくもけちつけてくれた」
ほおに、べたっとつめたくいやな感じがした。とたん、つやは、
 「こやつ」
と手ではらった。
 「わあっ」
 筆がころがった。たたみに墨がついたのがわかると、三助は声をはりあげて泣きだした。
 「まあ、まあ、きょうはどうしたことか」
お師匠が机と火鉢のあいだをやってきて、三助をだきおこして、
「泣かない。ね、つよい子は泣かないの」
と、ねこなで声でやさしくいい、つやには、
 「これ、三助ちゃんに、あやまるがいい」
と、きびしい声になった。
「だって、三助がさきに」
「なにがあったにしろ、年端(としは)も行かぬ子に手をあげたおまえがわるい。これ、つや」
 「おい、三助。わしがわるかった」
つやは頭をさげたが、目のうちが熱くなった。女中奉公でなにがつらいかといえば、冬の水もつめたくてたてへんだが、こうして有無をいわさずにしかられるのがたまらない。近所で評判がよいお内儀でも、下働きの者には小言ばかりだ。入船町の実家にもどって、おっかさんに不満をいうと、「それはな、おめえに行儀作法をおしえてくだされていなさるのだ。つや、わけえうちの苦労は買ってでもやるがいいというではねえか。いいから、じっとがまんして、女の仕事をひととおりおぼえておいで。そうすりゃ、どこへだって、いばって嫁にだせるというものさ」と相手にしてくれない。なに、母の本心は、つやがやめると給金をあてにできない。おまけに口がひとつふえる。それがこまるのだ。
3/28 8:56

▼世話係
ナベか
一年ほど無沙汰してるか。
ここへ行くと
鬼籍に入った人ばかり、
思い出す。
みんな、おれは偉いと信じていた、
そんな奴ばかりか。
3/28 1:48

▼SYUPO
お城大好きさま
お疲れ様でした。
一人の遭難者もなく、四十M峰に登頂できてよかったです。
若干名、アルコールの池に足を取られてしまったようですが……。
3/27 18:40

▼世話係
よかったです。
パソコン、
それに箱根山、思っていたよりずっといい。
3/27 13:52

▼お城大好き
やっとパソコン復旧しました
新機種についていけなくて四苦八苦しています。
箱根山-言いだしっぺの一人として心配でしたが、上野のようなばか騒ぎなく、静かでちょっと物足りなかったようですが、桜も山頂からの眺め最高でした。二次会もよかったです。幹事さんありがとうでした。
3/27 11:54

▼世話係
ピンクサイバー
の攻撃を受けていますが、
仕事をつづけましょう。
第一章備後三原で、
庄左衛門、お多可、つや、(直助)と
主要人物を紹介しました。
二章はこの医家の状態です。
3/27 7:47

20322030

掲示板に戻る