塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板
過去ログ2011
2013/3/8 10:37
▼蜘蛛美味しそう早速作ってみます。
3/8 10:37
▼世話係菜の花を入れるの、忘れていました。
3/8 9:23
▼世話係ただいま帰宅しました。
きょうの収穫。
ニンニクをいっぱい刻む。
オリーブオイルで炒め、
パスタを。
3/8 0:29
▼世話係38「そうか、そりゃよかった」
お多可は徳利をもってばたばたとかけこんでくるや、
「お袖、目がさめたか。あたしだわ。ほれ、わかるか」
と、肩をかかえてだきおこし、徳利をお袖の口にあてがった。
「あのう、お師匠、もう死なねえか」
つやはおずおずとたずねたが、鉢のくすりを指につけてなめさせたことは内緒にした。じわじわと効いて、そのうち悶絶するのではなかろうか。
「ああ、もうでえじょうぶだ。顔に血の気がもどってきた。お袖、これ、お袖。どこがいてえ。脚か、脛か、腰か、腹か、胸か、腕か、指か、首か、顎か、頭はどうだ」
とやさしくいう。
「ああ、なんだ、お師匠さまでねえか」
と、お袖が口をきき、舌でなにかをおしだした。
「あれ、泥をはきだした」
とつやはいいながら、くすりでなくて泥がでてきたのでおどろいた。
「わかるか、あたしが」
と、師匠がどろをふいてやった。
「あれ、ここはどこか。海辺橋から『えいやっ』と飛びこんだところ、あいにく川にはちょきが浮いていて、そのうえにおちた。船頭がたすけてくれた。そこまではおぼえておるが」
と、ちいさく顔を左右にふりながらいう。
「お袖、まわりにいた者が、おめえを戸板にのせて、ここへ運んでくれたのだ。医者じゃ、うちがいちばんちかかった」
「なんだ、ここは万年町の中島先生のうちか」
まわりを見まわしてうなずいた。
「どこがいたむ」
「腰のいたみもおさまったわ。そりゃそうと直助はどこだ。もう、もどってきたか」
といいかけて、、つやと目があった。
「こやつが、その、おさんどんか」
お袖は上半身をおこそうとした。
「なにさ、おさんどんとは」
つやは中腰になり身がまえた。
「見るからにおさんどんというつらではねえか。まるい顔にちいせえ目、まんなかに獅子っ鼻、耳までさけた大口とくりゃ、すぐにわからあ。そんな面体(めんてい)に直助をとられてたまるか」
と、お袖はいい、つやのほうに爪をのばしてきた。
「おめえこそ、なんだ。法乗院の花売りだというけれど、そいつはおもての顔、ほんとはだれとでも寝る地獄でねえか」
つやもまけてはいられない。声をつよめていいかえした。
「これ。つやはもう台所へ行ってなさい」
と、お師匠がきつくいい、おくへ行くように目でうながした。そのときちょうど、
「ただいま帰りましたべえ」
と、おもての戸があいた。
3/7 13:59
▼世話係ひらがな多すぎます。
3/7 9:11
▼世話係37「まだ生きてるのだろうか」
と、うしろのほうの女がきいた。
「ああ、息はしてる、生きはしている」
と、浪人がどなった。だしゃれのつもりかと、つやは男の貧相な顔をにらんだ。
「だいじょうぶのようです。ほんに、みなさまがた、ありがとうございました。もう、お引きとりになってくだされ。あの、戸板もどうぞ、おわすれにならねえでくだされ」
と、お師匠はなんども丸髷のあたまをさげた。
「では、おまかせするか」
と、十人前後の者がつやのそばを通って、がやがやとおもてへでた。
「これは、女のだ」
肥(こえ)のにおいのしみついた百姓が、赤い鼻緒の下駄をつやにさしだした。
「ふん、そのあたりに、ほうり投げておいておくれ」
「つや、戸をしめてしまいなさい」
と、お師匠がいった。
「へえ」
戸をしめながらも、つやはぼうとしていた。顔があつい。いったいなにがおきたのか。あんなにおおぜいの者がどっとおしよせ、あっというまにいなくなった。しかも、「お袖」という、いちどきいただけでわすれられなくなった名を耳にした。こいつが直助の女か。
「つや、ここにきて、これで髪とか腕とか、ぬれてるところをふいておやり。あたしは気つけの酒でもとってこよう」
お師匠はかわいた手ぬぐいをつやになげてよこした。
つやはよごれた足のまま、ふきそうじをしたばかりのゆかにあがり、おんなの顔をのぞきこんだ。
うりざねの青白い顔に柳眉(りゅうび)がうつくしく、鼻すじもとおり、口もともちいさくてかわゆい。ほどけた髪がひたいから耳にかけてまきついているのもなまめかしい。つやは髪をつまんで手ぬぐいでふきかけたが、ふいに、にくさがつのり、そばの小鉢に指をいれて七味の色をした粉をつけると、お袖のくちびるのすきまにぐいとさしこんだ。
「ああ、直助のやつも、こんなことをしてたか」
と、指を出し入れした。
「死ね、死ね、このまま死にやがれ」
と、思わず念じた。
しかし皮肉にも、指についたくすりが刺激をあたえたのか、お袖はぱちりと目をひらいた。白目のぜんたいが充血しているが、右の目の端に、ひときわ赤い血のかたまりがあって星のようだ。その赤星がにらみかえしてきたので、つやはきゅうにこわくなり、
「お師匠、てえへんだ。目をあけた」
と、あわてた。
「そうか、そりゃよかった」
お多可は徳利をもってばたばたとかけこんでくるや、
3/6 8:21