塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ2010 2013/3/5 22:31

▼蜘蛛
今日の散歩は仙台堀
お袖ちゃんが戸板で運ばれてきた庄左衛門の家あたりの川岸を歩きました。
それから、元三角屋敷に行き、その周囲と中の路地を行ったり来たりしました。
北西側には医院が3軒かたまってあります。
「もしかして、庄左衛門関係の医者が現在も残っているのかしら、いや庄左衛門は万年町だから違うな」
もはや私の頭の中は、現実と小説が一緒になっています。
三角屋敷の中央には銭湯「三角湯」があったそうです。
3/5 22:31

▼ミラクル大魔神
鎮座
クルクルクルクルクル
クールクル!
おっこらしょ。
3/5 16:10

▼世話係
36
門から一団の男女が押しよせてきた。
おどろきのあまり体がすくんだ。指さきをくちびるにあてかけて、あわててはなした。「つや、ひと粒で虎もころりと死ぬようなくすりがここにはある。けっして口にいれてはならねえ」と、先生からなんどもいわれていた。「ああ、死ぬところだった」と、指を着物になすりつけた。
そのとき、人びとの先頭にいた浪人が、
 「ここが、みなのいう中島隆碩先生のおたくか。うむ、くすりのにおいがしておる。まちがいござらん」
と、おらんだ。
 「じゃまだ。そこを、どけ」
と、右手の男がてんびん棒でつやをおどした。前後にぶらさげていた売り物の炭かたどんは、どこかに置いてきたようだ。
 「お女中。病人だわ」
と、年配のふとった女がつやにいった。
男たちは戸板をかかえていた。ひらたい板には赤い着物の女が寝ていた。つやが格子戸をいっぱいにあけると、あっというまに、戸板が見世の土間にかつぎこまれた。
 「あれ、なんでござりますか」
と、お師匠がいった。
 「おお、お内儀どのか。この者、橋から川に飛びこんで腰の骨を折った」
と、背のひょろりとした浪人がわめいた。
 「ま、川で骨折とは、ほんにめずらしいこと。堀にゃ岩もありますまいに。でも、お武家さま。うちは本道ですから、骨接ぎにつれてったほうがようはございませんか。それにいま、あるじの中島は往診にでかけておりまする」
お師匠は気丈にいいながら戸板にちかづいたが、すぐに、びっくりした声をあげた。
 「こりゃ、まあなんと、お袖ではねえか。お袖、どうかしたのか」
 「なんだ、お内儀どのの知りあいか」
と、浪人者がいい、いっしょにきた連中を見まわした。
 「はい、このむすめは、ちいさいころ、ここではたらいていた者でございます。どうもありがとうございました。あとはあたしがめんどうを見まする。板の間に寝させてやってくだされ」
と、お師匠はあわてた。
 男たちはお袖のまえとうしろをかかえて、
 「よいしょ、へへへ、よかおなごだ」
「そうよな、見れば見るほど色っぽい」
などといいながら、板の間に置いた。
「さっきまでは目をあけてたが、ねむったみたいだ」
と、てんびん棒の男がいった。
「まだ生きてるのだろうか」
と、うしろのほうの女がきいた。
3/5 9:41

▼世話係
35
 七、留守居

 「つや、なんだかそとがそうぞうしい。どうかしたのか、ちょいと見てこい」
という声が台所からきこえた。
 「ちっ、なんてつめてえ……」
つやは見世のふきそうじをしている。こぶりなたらいに井戸の水をくんで、それにぞうきんをつけて洗い、しぼる。このときがつめたい。しもやけがいたくても、力をこめる。
 「きつくしぼらねえと」
と、いいきかせながらしぼる。初めてここへきたころ、入船町のうちでやっていたように、いいかげんにしぼった。すると、お師匠がすかさず、
 「まあ、つや、なんだい、そのふきかたは。ゆかを水でぬらしてるだけではねえか。びしょびしょのぞうきんでふくなぞ、なんとしたことか。さ、かしてごらん。ほれ、このようにぎゅっとしぼる。きつくしぼったぞうきんで、こするようにふく。ゆかをなぞるのではねえ、きゅっきゅっとこするのだ。わかったかい」
と、小言をくれた。
 「つや、きこえたら返事をしたらどうだ。そとでなにかあったみたいだ」
という声が、まえよりおおきくなった。
 「へえ、いま見てくるさ」
と、つやはぞうきんを投げだして立ちあがった。しもやけの足にちいさいすり鉢がぶつかり、なかに入っていた七味とうがらしのようなものがこぼれた。
 「ああ、あ」
 つやは嘆息し、こなを指でつまんでは乳鉢(にゅうばち)にもどした。もしだれかに見られでもしたらたいへんだ。先生はもちろん、直助でもおこって平手打ちをくわすだろう。くすりは貴重で高価なのだと、なんどもいわれていた。
 「ちっ、なんで大声でわしを呼ぶのか。おもてでなにがあろうと、かかわりねえだろ。おかげで、てえへんなことなった」
 お師匠のせいにして、かじかんだ指さきでひろった。いいかげんもとにもどすと、あとはぞうきんでふきとった。残っているのが万一見つかるとめんどうなことになる。板と板のすきまにおちた赤いつぶを爪でほりおこした。
 「つや、つや。もう見に行ったか」
 声が土間をこちらにちかづいてくる。
 「へえ、いますぐ」
といい、たたきに飛びおりた。はだしのままおもての格子戸をがらりとあけた。
「つや、なにが見えるか」
と、通路と見世のあいだののれんからお師匠が顔をつきだした。
「へえ、えれえことだ」
門から一団の男女が、つやめがけて押しよせてきた。
3/4 10:16

▼SYUPO
いえいえそんな……
コッパズカスイです。
3/4 3:08

▼世話係
御大に
ほめられると照れるよ。
ま、ありがとうです。
3/4 0:37

20112009

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