塩見 鮮一郎公式WEB 掲示板

過去ログ1976 2013/2/4 8:28

▼世話係
今回は
食事しながら読まないほうが
いいかも。
2/4 8:28

▼世話係
つづき10
 「くすり箱を」
というと、菊というお内儀がすぐにさしだした。娘がかわいくてあわれなのだろう、顔はこわばらせている。
 「ああ、おしっこがでる」
と、伊予が絶叫した。
 「していいぞ」
と、庄左衛門はこたえた。小水がでるときが、しみていちばんいたい。
 「おっかさん。いてえよ、いてえよ。どうにかして。ああ、死にたいよお」
 全身をふるわせながらさけんだ。ふとんをにぎりしめ爪をたてた。数の子のあいだから、ながいことかかって血のまじる尿がでた。つらいから、したくない。じっとがまんしていたとわかる。医者がきてほっとすると、もうがまんができなくなった。
 「がんばって、ぜんぶだせよ」
と、庄左衛門はいった。暑くもないのに全身が汗ばんでくる。替えたばかりの布をまた取りかえ、股のあいだをたんぱん水で洗った。そうすると、しばらくはかわいて、くさみもとまる。
「先生、いつものくすりをくだされ」
と、父親の幸助が汗となみだでぬれた顔をむけて哀願した。
「ああ、もちろん、ここにおもちしている。さっそく飲ませてやってくれ」
といい、黒塗りの箱から大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんひとう)を取りだしてわたした。
 「ありがとうございます。これを二、三服飲むとしばらくいたみがとまります。ああ、ありがたい」
と、幸助はくすりをおしいただいた。
 血と膿みでよごれ、くさいにおいを発しているぼろきれを女中がはこんで行った。あれを洗って干すのだ。ふと、つやのことを思った。あいつなど、半日もここにはつとまるまい。
伊予はまだしゃくりあげていたが、小水がでたからか、最前ほどではない。このままねむりにおちてくれればいい。あたらしい湯で手をあらい、蔵からでて客座敷のほうにもどった。
茶と菓子をだされたが、鼻のおくにはまだにおいがとどまっている。キセルを取りだしタバコ盆で火をつけた。
下座(しもざ)から万屋幸助が、しもぶくれの顔をつきだすようにして話しだした。父親としてなにかいわずにはいられない気分になっている。
 「先生、家業の性格からおおっぴらにいうことはできねえが、ひくっ。どうも、わが家(や)は仏罰をこうむってるのではなかろうか。ひくっ、ひくっ。ああ、早くしゃべりたいのに、しゃっくりがじゃましやがる。は、は、ひくっ」
2/4 8:25

▼咲

いいお店がありますように……。
岡坊さんも、ありがとうございます!
2/4 0:45

▼蜘蛛
はい 明日
ありがとうございます。
楽しみにしています。
2/3 18:35

▼世話係
蜘蛛さん、Aさん、
明日は必ず。
2/3 18:19

▼世話係
そうしようか
みんなに聞いて
よければそうしますか。
2/3 17:37

19771975

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