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2016/10/20 23:16
☆関西人柔よく剛を制すサッカーを、ひとつの格闘技と解釈してみてほしい。
日本人に合った格闘技とは、一体何か?
日本には昔から「柔よく剛を制す」という言葉がある。
もともとは、中国の老子の言葉らしい。
しかし日本では、柔道でよく使われる言葉だ。
仮にパワーがなくとも、技術でそれに勝つことができるという意味でよく使われる。
体躯のない日本人には、非常に励まされる言葉だと思う。
柔道の精神は、まさにそこにある。
柔道とは、最小の力で相手を倒すことに理想がある。
たとえば相手の体勢を崩し、体重が乗った軸足を払うことで簡単に倒す。
あるいは相手の前に出る力を利用し、そのまま下に潜り込んで簡単に背負い投げをする。
力学として、こういう技はまさに「柔よく剛を制す」だ。
日本サッカーも、この柔道精神が根底にあると思う。
真っ向からパワー勝負を挑むのではなく、柔道と同じくして相手の体勢をまず崩す。
そして軸足を払うようにして、華麗に点を取る。
こういうテクニカルなのをやらせると、日本はまぁまぁ上手い方である。
しかし悲しいかな、サッカーは柔道そのものではない。
いわば、総合格闘技の土俵だ。
それに体重別でもないので、敵にパワーで押してこられると困る。
さらに強烈なパンチ、キックを繰り出されると、その射程距離内には迂闊に詰めることができない。
これは組み技系の辛いところだが、こっちは敵の襟を掴まなきゃ話が始まらないんだよ。
しようがないので、思いきってガッと間合いを詰めてみる。
すると案の定、カウンターで強烈なパンチを顔に食らって失神、そのままノックアウト(笑)。
日本は、そういう負け方が多い。
で、ハリルはその戦い方を改造しようとしている。
早い話が、組み技系をベースとする我々に打撃系の攻撃と防御をレクチャーしようとしてるんだ。
パンチ、キックを仕込もうとしてるワケね。
これ、どうなんだろう?
柔道の選手にパンチとキックを仕込むことは、果たして吉と出るのか凶と出るのか。
皆さんも、想像してみてくれ。
おそらく意見は分かれるだろう。
組み技のベースに打撃技を取り込めば、それこそバランスよくなるじゃないか、という考え方はある。
仮にも総合格闘技という土俵である以上、組み技だけで相手を倒すのは難しいだろ、と。
相手が打撃主体なら、その打撃をかいくぐって組むのは難しいぞ?
一方、技の柔道選手にパワーの打撃を仕込んだところで、そんな付け焼き刃が相手に通用するワケないじゃん、という反対意見もあるはず。
総合格闘技で考えてみても、たとえばヒクソングレイシーがパンチやキックで敵をKOしたことはあるのか?
そりゃ400戦もやってれば何度かあるだろうが、でもほとんどは得意の関節技や絞め技で勝ってきたはずだ。
やはり総合でやる以上、最も自分が得意とする技でしか勝負には勝てないんじゃないのか、という考え方もある。
まぁね、どっちの言い分もゴモットモ。
ただ私の意見としては、前者に近い。
攻撃に打撃を取り込むのは、全然ありだと思う。
今さら組み技を封印してまで打撃に特化するのはさすがに違うと思うが、しかし襟を掴む為にも打撃を習得しなきゃ、どうしても勝ち方のバリエーションが非常に狭くなってしまう。
体躯の劣る日本人だからこそ、やはりバリエーションは広げるべきじゃないかと思うよ。
大事なのは、打撃と組み技のコンビネーション。
今は、苦手の打撃を特に強化してると解釈すればイイだろう。
2016/10/20(木)23:16
☆関西人サーガ代表というのはサーガだ。
ハリルもアギーレもザックも岡田さんも、みんな連続したひとつの物語である。
プロローグは、代表が脱俊輔の舵を切ったタイミングから。
岡田さんは堅守速攻のチームをもって、W杯ベスト16の快挙を成し遂げた。
ところが不思議なもんで、凱旋帰国したら岡田さんも本田もヤットも皆が口を揃えて、「こんな守備的にやっていては上を目指せない」って、意外なことにまず反省を口にしたワケよ。
あぁ、そうか。
我々はベスト16で喜んでたけど、彼らが掲げてた目標はベスト4だっけ…。
この結果、彼らにとってはミッション失敗だったんだな?
で、次こそ攻撃的なサッカーを構築せねば、と彼らは新たなビジョンを掲げた。
日本は、またポゼッションサッカーに回帰した。
チキタカを理想とするサッカー、とでもいうべきか。
結果、それはブラジルW杯で見事に粉砕された。
そこで気付くワケよ。
やっぱアカン、こういうポゼッションに固執するにはウチはあまりにも脆すぎる、と。
その反省の上に立ち、また改めて代表は再構築が必要となった。
ラインを引いて守備的すぎてはダメ、だけどチキタカすぎてもダメ。
じゃ、今度はデュエルだ、ショートカウンターだ、となった。
ラインを引かず、敵を恐れず果敢に当たっていく。
そして高い位置で球を奪い、あとは一気にタテを突く。
今まではビルドアップがノロかったと反省し、ここからは速攻に磨きをかけていく。
…まぁ、右に行ったり左に行ったり、ここ数年だけでも日本はジグザグ走行ですわな(笑)。
トライ→限界を知る→新たなトライ→大失敗→さらに新たなトライ→現在に至る。
今の立ち位置は、あくまで過去からの流れによって到達している場所なんだ。
「なんでハリルってタテに急ぐの?」といっても、これは彼自身の哲学もあるが、そういうスタイルを意図的に取り込みたかった協会技術委員会の思惑もあると思う。
あと、技術委員会は新監督を選ぶポイントとして、「W杯を経験してる人」を第一条件にしたと聞く。
ザックは良い監督だったが、あくまでクラブ土壌の人だった。
短期決戦のW杯では、彼ほど経験ある監督でも逆にこっちがビックリするほどアタフタしてたんだ。
コンディション調整もヘタクソだったし。
これはアカンな、と。
しかし、仮に「W杯を経験してる人」を条件としてアギーレ・ハリルを選んだのだとしたら、最近になって出てきている話だけど、明らかに手倉森昇格案はそこに矛盾するよな?
オフト以降、日本人で代表監督になったのは二人だけである。
加茂さんと岡田さんだ。
どっちも、緊急で就いたような流れである。
加茂さんは、ファルカン監督の急な更迭で決まった流れだ。
その後、コーチから緊急昇格した岡田さんも同じく。
そして第二次岡田代表。
その時の岡田さんは、オシムの急病による緊急登板だった。
つまり日本人監督の起用というのは、いわばストーリーのリセットである。
当初協会が描いたプロットを捨てることに他ならない。
私は個人的に、ハリルのデュエルやショートカウンターは、日本の目指すプロットとして間違いではないと思う。
ただ問題は、今までそういうのをアジアでやってきたことはなかった、という点である。
今までの日本代表を見る限り、アジアではチキタカで揺さぶるサッカーをし、本大会でようやくショートカウンターをするような傾向だったでしょ?
2006年〜2010年とか、特に分かりやすい。
最初はオシムがポゼッションの原型を作り、岡田さんもそれを継いでアジア予選を突破。
しかし本大会では一転、俊輔を外してカウンターサッカーで強豪と対峙した。
1998年〜2002年も、そうである。
トルシエは最初のうちこそ明らかにポゼッションをやっていたが、本大会が近づくにつれ、中盤に戸田を入れたりトップに鈴木隆を入れたり、チームの硬度を上げていった。
最後は俊輔を外して、攻撃のスピードを高めた。
一方、最初から最後まであまりシフトチェンジしなかったのが、ジーコとザックである。
この二人は、ほぼ一貫してポゼッションサッカーを貫いた。
結果として
トルシエ→W杯ベスト16
ジーコ→グループリーグ敗退
岡田→W杯ベスト16
ザック→グループリーグ敗退
となったことを思えば、途中でシフトチェンジした方がむしろうまく回るのかもね。
アジアはチキタカ、本番は速攻。
アジアも本番も同様にしてチキタカをやろうとすりゃ、それはうまくいかない。
さて、ハリルはまたそれとは別のパターンだ。
彼は今までのどの指導者とも異なり、「アジアで速攻、本番も速攻」をやろうとしている。
さあ、これはどうなるか分からない。
事実、早くもアジア時点でコケたりしてるんだから…(笑)。
2016/10/20(木)15:43
☆関西人ゴーストオピニオンA続きね。
↓に書いた、ハリルの敗戦の「言い訳」についてもう少し言及しておきたい。
ハリルが会見で語った敗因は、主に次のふたつだ。
@欧州クラブ在籍の代表主力メンバーが、ここにきて試合に出られなくなってきた。よって実戦勘やコンディションが良くなく、チーム全体のパフォーマンスを低下させた。
A合宿期間が短く、十分なトレーニング時間をとれない。結局、今までの蓄積の範囲の中からしか強化をできない。
これを単なる「言い訳」として論外とするより、プロのジャーナリストならその論旨自体にメスを入れて質問すべきだろ。
記者とは、言葉を扱うプロじゃないのか?
「言い訳にしか聞こえない」じゃ全く実のある論戦に繋がらず、それこそネットでよく見る喧嘩の売り文句だ。
これ、同じ日本人として私は恥ずかしいよ。
まず@に対しては、
「もともと欧州組のサブ落ちは、かなり前から予想できたことじゃないのか?
なぜ、それを想定して事前に準備をしなかったのか?」
「試合勘とコンディションを求めるなら、国内組をもっと起用すべきではないのか?」
「欧州組と国内組に大きな差があるというなら、それは具体的に何か?」
「仮に差があるとしても、国内組なら別途合宿の実施が不可能じゃないだろうし、そこで強化して差を埋めるような考えはないのか?」
という質問をすべきだろう。
そしてAについては、ハリルよりもむしろ隣にいた田嶋会長に質問すべきだ。
「ハリル監督は合宿が短いことで困っているが、このスケジュール問題は監督だけで解決できるはずがない。協会として、もっとスケジュール捻出の協力はできないのか?」
「Jリーグもプレーオフが増えたりして、ますます代表へ選手を出すのが厳しくなっている。
この問題もあり、ハリル監督から以前にJ1クラブ数を減らす具体的提案があったはずだが、協会はそこに応えるつもりはないのか?」
など、田嶋さんに聞きたいことはヤマほどある。
あと、上記の記者とはまた別の人だと思うが、「またUAE戦みたいな結果になったら、あなたはどうケジメをつけるのか?」という発言をした記者もいたらしい。
これも、ハリルに聞くのはおかしな質問だ。
この記者は、「次負けたら私は辞めます」とでもハリルが言うと思ってるのか?
会見でそんな安い約束する監督は、世界中どこを探してもおらんよ。
多分、この記者もそれは分かっている。
分かっていて「答えられない質問」をするのは、単なる意地悪、単なる嫌がらせさ。
だから、この質問はハリルにではなく、せめて田嶋会長に向けるべきなんだ。
「次負けたら、協会としてどう動くのか?
負けてもハリルを信じて、最後まで続投か?」と。
いやもちろん、田嶋さんも「次負けたら更迭ですね」と本人を横にして言えるワケはないが、仮にも協会会長という立場なら、この質問から逃げるワケにもいかんよね。
いやホント、みんな全部をハリルの責任にしたいみたいだけど、実際は彼ひとりでどうこうできる話じゃないんだよな。
特に代表の年間活動日数が昔より少なくなってきてるのは事実であり、国際Aマッチデーも昔より減少傾向は事実であり、今さらみっちりと代表で戦術を仕込むのは難しい時代なのよ。
大体、皆さんも代表を強くするべきと思う一方、ちょくちょく代表召集されてクラブの主力を毎月長い期間抜かれるのはムカつくだろ?
そのジレンマ、全部ハリルに責任転嫁しても全く建設的な話にはならないじゃん。
上記ジャーナリストたちも、多分ホントはそこを理解してるはず。
仮にも専門家だよ?
なのにそこに繋げる質問をせず、敢えて喧嘩腰な質問をした。
それは、なぜか。
多分、彼らなりに「世論」の代弁をしたかったんだと思うよ。
しかし私が彼らをアホだと思うのは、↓に書いた通り彼らが感じてる「世論」ってモノ自体が、ホントは実体の怪しいゴーストオピニオンだということ。
仮にもプロのジャーナリストが、そんなもんに振り回されてどうすんのよ…。
2016/10/19(水)21:32
☆関西人ゴーストオピニオン最近、思うことがあるんだ。
日常ネット上に書き込まれる意見を見てると、あるいはメディアの論調を見てると、世の中は反ハリルが大勢を占めている。
中には強硬な解任論も多い。
で、何となく錯覚をしちゃうワケよ。
ああ、日本サッカー界にとってハリルは諸悪の根源で、彼を解任しない協会も諸悪の根源で、こうしてハリルや協会をディスる「世論」こそが唯一の良心、正義なんだよな、と。
…さて、ホントにそうなんだろうか?
まず、私はそのボンヤリとした「世論」ってやつ自体が、結構怪しい存在だと思うのよ。
たとえば、皆こぞってベッキーをディスったネット界。
怒りモードが結構凄かったよね。
その超絶な怒りが「世論」なんだと、皆が錯覚した。
でも、みんな実は薄々気付いてたはず。
日常に友人や職場の同僚とベッキーを話題にしてて、実は本気で怒ってる奴なんかほぼ存在しない、ってことを。
つーか、実際自分たちには何の実害も生じない芸能人の話、それもたかが不倫報道に対し、特別コアなファンでもないのにヒステリックになることの方がむしろ不自然だろう。
だけど、ネットを見るとヒステリックになってる人たちはワンサカと存在する。
この人たち、誰なの?
たとえ本気で怒ってなくとも、怒って騒ぐことを目的としたゲームなのか?
こういうまるで実体のない幽霊みたいな「世論」が、少なくとも実体のある一人の女性に対して制裁を加えてるワケよね。
怖いな〜、と思う。
じゃ、ハリルに対する「世論」もまた、同じ類いのモノなんだろうか?
私は同じとまでは言わんまでも、根っこは似てると思う。
ネットで「解任!」と叫び、ハリルに怒ってる人は多い。
確かに彼らはムカつき、怒ってるのかもしれん。
それはそれでイイとして、問題はその数だ。
ネットを見てると、大半がその感じである。
じゃ、日本全国のサッカーファンのほとんどが強硬な解任派?
いや、それはちょっと違うだろ。
ネットを離れて生身のサッカーファンと対話する限り、みんなそれほど強硬じゃないじゃん?
もっと冷静な人たちも、実はたくさんいる。
なのにネットの世界じゃ、意外とそうなっていない。
これも、結局はいつも誤解されやすいトリックなんだよね。
ネットというのは特殊な媒体で、一般人の書き込みによって支えられている。
そして書き込みというのは、必ず何らのモチベ、動機がなければ実行されないものである。
で、そのモチベの中で最も強いエネルギーとなるのは何か?
まずは「怒り」だろう。
その次は「悪意」だろう。
よって、モチベある人たちによってのみ構成されるネット社会というのは、どうしても「怒り」と「悪意」の構成比率が実社会よりも高くなってしまうのよ。
媒体の特性上、どうしようもないことだ。
別に激しく怒っていない、特に悪意もない、かと言って激しく支持するワケでもない、といった浮遊層、ライト層なるものは実社会においてかなりの構成比率だと思うが、そういう層はモチベが強くないので書き込みをせず、ネット上では「存在しないこと」になっている。
ここが落とし穴であり、ネットならではのトリックなんだよね。
じゃ、ネットを離れてメディアの方はどうなのか。
あっちでも反ハリルの論調は強いじゃないか、と。
それは確かにそうだ。
しかし、あっちは商売である。
権力になびくかのようなマンセー記事を書いてて売れるワケないし、より刺激的な表現を出した方が売れるだろうし、どうしてもダメ出しの方を軸足にしちゃうもんさ。
それ自体、私は不健全ではないと思う。
やはりメディアは権力側をチェックする機能が求められてると思うし、ダメ出しも大いに結構。
ただ、安易なディスり方をして、ネットと同水準のところまで堕ちてほしくはない。
たとえば、先日の会見でUAE戦の敗因を語ったハリルに対し、ある記者は「言い訳にしか聞こえないんですけど?」みたいな、いかにもネット的な噛み付き方をしていた。
うわっ、記者もここまで堕ちたか、と思わざるを得ない。
「言い訳にしか聞こえない」というのは完全に記者の個人的な感想になっており、まるで質問になっていない。
ただディスっただけで、ハリルの論旨のどの部分を否定したいかの説明すらされていない。
こんなの、高校の新聞部以下の取材スタンスである。
あの記者は後で編集長に「あの素人みたいな質問は何だ?」とこっぴどく叱られてることを期待するが、そうじゃなくて逆に「よく噛み付いた。ハリル怒ってたな(笑)」と誉められてたら悲しいな…。
さて、辛口といえばセルジオ越後。
彼の場合は辛口すぎてクレームがあるのか、テレ朝の露出がどんどん縮小されてる。
やっぱ、紙媒体とテレビは同一のテンションじゃマズイのかもね。
じゃセルジオはもうテレビ無理かなと思ってたら、先日はNHK「サンデースポーツ」に出てたという噂。
私は見てないけど。
いよいよNHKはテレ朝(松木を主体にした甘口)と差別化し、辛口に舵を切る覚悟か?
実をいうと、私はセルジオが嫌いではない。
そりゃ何でもかんでも全部ディスるスタンスにイラッとすることもあるが、でも彼の場合はただの辛口じゃなく、ツンデレですよ。
ちゃんと「デレ」の時があるもん。
例の「ほらりらろ〜」と絶叫した時とか、あ〜、この人は人一倍日本サッカーを応援してくれてるんだな、日本サッカーが大好きなんだな、と胸が熱くなったわ。
以前、セルジオは何か忘れたけどバラエティ番組に出てて、「長く日本にいるのに日本語ヘタすぎ。実は、ちゃんと喋れるんじゃないか?」という質問を受け、「はい、喋れますね」と今の喋り方が「ビジネス訛り」であることを認めていた。
実際、「名波」というフレーズをいつもの訛りでなく、ちゃんと普通に発音してみせたところから見て、どうやらマジっぽい。
あと、「僕は昔から辛口だったワケでなく、辛口になったのはJリーグができてから。僕は、少年サッカーには今でも甘口ですよ」と語ったのが妙に印象に残っている。
2016/10/19(水)14:36
☆関西人ダウンタウン久しぶりに「お笑い」のことについて触れているので、せっかくだから引き続き芸人論を書いておきたい。
やはり関西人として、芸人を語るにはまずダウンタウンである。
なぜなら、関西のお笑いはダウンタウンを基準として、「ダウンタウン以前」と「ダウンタウン以降」というふたつの時代に分けられるから。
キリストの誕生以前と以降に分けた、西暦みたいなもんだな。
まずダウンタウンは、NSCの一期生であることがポイント。
それまでの芸人は大体がタテ社会、師弟制度の中にあり、誰かに弟子入りをして下積みを経てから世に出るのが通常のパターンだった。
ところがNSCはそんなのを時代遅れとし、もっと合理的に芸人を養成することを目的とした新システムである。
しかし今はそれが普通と認知されてるけど、当時としては絶対反対もあったと思うよ。
師匠に付かない芸人なんて絶対ロクなもんに育たない、と。
いわば、相撲取りが相撲部屋に入門しないようなモノなんだから。
親方のいない力士養成センターみたいなところでトレーニングして、それで将来横綱になれるのか?という話である。
ダウンタウンは、そういうところから出てきた。
当時の吉本興業としては、反対もある中で作ったNSCを正当化する為にも、早いうちから一期生を積極的に売り出す必要があった。
そこで白羽の矢が立てられたのが、一期生の中で実力が群を抜いていたダウンタウンである。
彼らには「2丁目劇場」というホームグラウンドが与えられ、いきなりそこの座長という立場を与えられた。
デビューしてから2〜3年という早さで、いきなり関西若手のトップに立ったワケよ。
そんなの、今ではほとんどあり得ない話だろう。
実力があったから売れたというのもあるけど、一方では売れたから実力をつけなきゃならなかった、という後づけのニュアンスもあったかと。
やがて、「2丁目」のライブは「4時ですよ〜だ」という生放送のテレビ番組に発展していく。
この番組は、ダウンタウンを一躍アイドルに押し上げた。
彼らに「アイドル」という言葉は似合わないが、いやいや、ホントにアイドルだったのよ。
ダウンタウンにストイックなお笑いの鬼というイメージを持つ人は多いだろうが、それは彼らが全国区になってからできたイメージだ。
少なくとも「2丁目」に君臨してた頃の彼らは、正真正銘のアイドルだった。
松本がブルーハーツを歌い、その後ろで今田がドラムを叩き、東野がパーカッションを叩き、キム兄がギターを弾いてたのよ。
会場はほぼ100%女子で、皆キャーキャーと黄色い声援を送る。
ダウンタウンをお笑いのカリスマと崇拝する人たちほど、この頃の彼らの姿を見たら呆れるに違いない…(笑)。
しかし、やがてダウンタウンは東京での活動を本格化し、「2丁目」から去っていった。
空席になった「2丁目」のアイドル枠には後に千原兄弟が就いたが、その彼らも東京進出の為に去っていき、以降アイドル枠は長く空席のままに。
そして、「2丁目」は取り壊された…。
でも、NSCは今もしっかりと残っている。
今の最若手は、39期生?
ここまで代が続くと、さすがにタテ社会、ヒエラルキーもできてくるだろう。
何もかも自由奔放なところから出てきた、ヒナ壇も経ずにいきなりMCに抜擢された、ダウンタウンのような存在は今後に出てきようがない。
それは才能の問題じゃなく、システムの問題として、ヒエラルキーの問題として。
それほどにダウンタウンがラッキーだったのは、彼らが一期生だったことにこそあると思う。
そして、そんな彼らの傍に当時いることができた、今田・東野・キム兄・板尾らも同じくラッキーだった。
今の若手は可哀想に、大きなヒエラルキーの最下層からスタートするワケだから、いきなり先輩たちをゴボウ抜きしてスーパースターになるケースがまず無いワケよ。
それに先輩たちがまだまだ元気だし、上が詰まっていて、なかなか若手にまでチャンスが回ってこない。
…あれ?なんかJリーグや代表と妙に似た構図だな(笑)?
つくづくダウンタウンを見て思うのは、たとえ時期尚早といえど若手に全権を与えることの重要性である。
「若手はヒナ壇からだろ」という常識論ではなく、まずMCをやらせてみる。
番組そのものの全権を与えてみる。
ダウンタウンは「ごっつええ感じ」始めた頃だとまだ20代だったと思うが、そんな若僧が番組の全権を握り、制作スタッフの人事にまで口を挟んでいたという。
どんだけ生意気な若僧やねん(笑)。
今の時代なら、逆にホサれてるかも?
でも、それは彼らなりに必死だったのかもしれない。
こういう奴って、実戦で強いと思うわ。
サッカーでいえば、まさに本田じゃん?
もちろん、ダウンタウンは才能あったから早く売れたとも言えるが、でも私から見れば、逆に早く売れたからこそ巨大なレベルにまで才能が磨かれたんだよ。
今後サッカー界にも、生意気な若僧を求めたい。
かつての中田英寿より、かつての本田より生意気な若僧は今の日本に存在するのか?
仮に中田・本田がサッカー界のダウンタウンだとして、正直今の代表には今田・東野・千原Jr.クラスしかいないような気がするんだよね。
全くそういうのとは別のところから、次代のヒエラルキーのトップに立つ若僧が出てこなきゃ、と私は思うんですけど?
2016/10/19(水)1:11
☆関西人ユーモア続きね。
ダウンタウンが国際的には売れず、でもピコ太郎が国際的にバカ売れしてるのはやはり「言葉の壁」があるだろう。
松本人志は天才芸人だと思うが、しかし言葉がなくとも通じる顔芸やリズム芸がメインの芸風ではない。
その点では志村けんや渡辺直美、そしてピコ太郎の方がよっぽど国際仕様である。
国際コミュニケーションにおいて、笑い、ユーモアはとても大事だ。
あの長友が、なぜインテルで多くのサポたちの支持を受けたのか?
それはガッツ溢れるプレーもさることながら、私は彼の「持ちギャグ」がまず効いたんだと思う。
ほら、例のおじぎをするパフォーマンスだよ。
今はイタリア語が堪能な彼だが最初のうちはそうでもなかっただろうし、よって言葉を介さないギャグをもって皆とコミュニケーションを図ったんだ。
彼がおじぎしただけで、なぜか周りが異常にウケてた。
ギャグって偉大だなぁ、と思ったわ。
世界は、ユーモアある人間、面白い人間を愛する。
どんな美男美女でも、どんな偉業を成し遂げた人間でも、中身がユーモアなくつまらないキャラだと好感度は上がらない。
さて、そういう意味でハリルはどうだろう?
ブラジルW杯で偉業を成し遂げた知将だというのは皆理解してるが、でもなんか愛されてない気がしないか?
いつもイライラしてて、発言を見てもJリーグを見下す発言したり、報道陣にイヤミを言ったり、どっちかというと毒あるキャラの印象である。
毒あるキャラ?
じゃ、有吉やマツコみたいなもんか?
いやいや、有吉やマツコは毒を吐いてもなぜかOKとされる彼ら独特のノウハウがあり、そこはハリルと天と地ほどの差がある。
しかし選手たちの話を聞くと、ハリルは結構ギャグを言う人らしい。
かなりお茶目な人だ、と。
一方、そのギャグがクソつまんない、とも言っていた。
例のいかつい顔のままギャグを言うので、それがギャグかマジかの判断をつけるのが難しく、結構ザワザワすることが多い、という話だ。
…これは逆に可哀想だな。
渾身のギャグを言って、皆が笑わずにザワザワし始めたら、私なら心が折れるよ。
もうギャグ挟むのやめようかな、と。
想像だけど、これはハリルが悪いワケじゃない。
責任の半分以上は、通訳にあると思う。
あのスキンヘッドの人、樋渡さんだっけ?
彼、ギャグを訳すのヘタクソなんじゃないか?
だからスベるんだ。
こういうのは、センスの問題である。
ギャグを訳すにはただ事務的に翻訳するのではなく、間と声のトーンを最大限工夫してトライすべきだろう。
想像だが、樋渡さんはそれができてないんじゃないか?
思うに、ハリルの地のキャラクターは、かなり愉快で面白いんじゃないかと。
というのも、先日私は動画サイトで彼のアルジェリア代表監督時代の映像を見てたんだ。
その映像は一体どういうシチュエーションのモノかよく分からないんだけど、光景は代表チームの前で一人シンガーが歌っていて、チーム全員がノリノリになっている。
中でも一番盛り上がってるのが他でもなくハリルで、超ハイテンションに腰を振りながらシンガーの横で変なダンスをしてるんだ(笑)。
選手たちは皆、爆笑しながらそのハリルの姿をケータイで撮っていた。
それを見て、ハリルって実はこういう人なんだな、と思った。
ただ、悲しいかな現在日本にいる彼は、こういう愉快なキャラクターを全く出せていない。
アフリカではノリノリになってた彼が、なぜか日本では窮屈そうにイライラしている…。
彼を見てて思い出すのは、トルシエのことである。
トルシエもハリルと同じくフランス語を喋り、経歴もハリルと同じくアフリカで代表監督をやっていた。
性格的にもイライラしがちな人で、そこはハリルと少しカブっている。
しかし、我々はトルシエに対しては愉快なキャラクター、お茶目なキャラクターという印象も持っている。
このトルシエとハリルとの差は、一体どこから生じたのか?
率直にいうと、私は通訳の差だと思うよ。
トルシエには、当時ダバディが付いていた。
ダバディは樋渡さんと違い、本職の通訳ではない。
また樋渡さんと違い、長年協会に携わっていたワケでもなかった。
しかし、彼はなかなかの拾いモノだったよね。
同じフランス人としてトルシエの意図を誰より理解し、時には「意訳」してトルシエの言ってないことも言っていたという噂がある(笑)。
トルシエが怒ってる時は彼も同じテンションの怒声で訳し、トルシエがお茶目モードの時は彼もお茶目に訳した。
時には汚ない表現とか、「今のは訳さない方がイイな…」という独自判断もあったらしいけど。
あれだけ粗野だったトルシエに対して我々がなぜか親近感を抱けた理由のひとつは、今考えるとダバディのキャラクターにあったんじゃないかと思う。
ダバディ自身にユーモアがあり、お茶目さもあった。
結局、そこに救われたんじゃないかな。
私は、ダバディの通訳復帰を強く希望する。
ハリルはフランス語だし、問題はないでしょ?
聞いたところでは、既にWOWOWでハリルの通訳を担当してるらしいけど。
今はキャスターもやるなどエンターテイメントに造詣の深いダバディなら、現在あまり面白く伝えられてないハリルの言葉も面白くできる気がするのよ。
もちろん、ミーティングで寝る選手も減るだろう。
そして何より、彼はW杯で日本をグループリーグ突破に導いたゲンの良い通訳なんだよ。
ところで、フランスというのはかなり親日の国である。
なぜか日本のガラパゴス化したサブカルチャーをリスペクトしてくれていて、米国ではウケなかった松本人志もフランスでは熱狂的なファンがいるという話だ。
そういや、ビートたけしもフランスでは勲章貰うほどのカリスマだっけ。
ならば感性は、米国ほどのギャップがないと見てイイかと。
じゃ、ほぼフランス人(正確にはボスニアだが)のハリルのギャグに対しても、逆に我々は必ず笑えるはずだ。
要は、伝え方の問題である。
2016/10/18(火)12:20
☆関西人ピコ太郎先月ぐらいからだろうか、ピコ太郎がかなり話題になっている。
♪ペンパイナッポーアッポーペン♪は、確かにクセになるフレーズだよね(笑)。
このピコ太郎は、芸人の古坂大魔王(ボキャブラ時代は底ぬけAIRLINE)扮するキャラクター。
その彼のネタ動画がYouTubeの週間再生回数で世界一になったらしく、日本国内で売れてない芸人がなぜか世界でバカ売れ、という変な現象になっている。
確か古坂大魔王って、少し前に「日本一楽屋で面白い芸人」として話題になった人だよね?
結局、さほどブレイクしなかったけど(笑)。
しかし、こういう時代は一体誰が何のキッカケで売れるか、分からんもんだなぁ。
古坂大魔王自身、営業で使い古したキャラが今さらここまで売れるとは想像してなかっただろう。
一部報道によると、ピコ太郎ネタは15年前の「爆笑オンエアバトル」で立川談志師匠が「面白い」と誉めてたとやら。
まさか、15年も前から存在してたキャラとは…。
問題は、このネタが海外から人気に火が点いたという点だ。
外国人って、こういうのが好きなのか?
確かに「PPAP」はくだらなくて面白いが、そんな再生回数世界一になるレベルのシロモノじゃないだろ。
これはレベルというより、単に笑いのツボの問題かもしれないけど…。
私は以前、日テレで「ダウンタウンの笑いは米国で通用するか?」という企画をやっていたのを思い出した。
その企画で松本人志がわざわざ渡米し、現地の人たちにダウンタウンのコントDVDを見せていた。
すると、米国人たちにはあまりウケない。
たまに笑うとしても、思いっきりベタなやつにしか反応しない。
それを見て松本は、「コイツらアカンわ、レベル低い」と呆れていた。
で、彼は米国人にウケる用の新ネタを作ることに。
ただ、できあがった新作コントはダウンタウンらしくない子供向けみたいな仕上がりになっていて、私としてはちょっとガッカリだったわ。
それでも、一応米国人にウケてたけど。
別に「日本のお笑いはレベル高く、米国はレベル低い」というワケでもないんだろうが、しかし何かツボが違うのは間違いないことである。
特にダウンタウンのネタは、不条理劇だ。
ギャグ漫画でいえば、うすた京介や漫☆画太郎に近いと思う。
こういうのは同じ少年ジャンプでも「ワンピース」や「ドラゴンボール」と違い、「すごいよマサルさん」や「珍遊記」が海外でベストセラーになったという話はあまり聞いたことがない。
案外、そういうもんさ。
日本って妙に文化がガラパゴス化するというか、コンテンツが国際基準とは関係なく内向きに超進化を遂げるものだ、ということ。
しかし、「俺の笑いを理解できないアイツらの方がレベル低い」とする松本人志のスタンスは、逆に凄いなぁと思った。
ガラパゴス化した側の方が、逆にエンターテイメント大国アメリカ側の基準に対して「レベルが低い」とダメ出ししてるんだから…。
そしてサッカーもまた、日本に入るとガラパゴス化して今のJが成立している。
それを見てハリルあたりは、「こんなのフットボールじゃない…」と呆れているんだろう。
それは、かつて松本人志が米国に対して絶望したのと同じこと。
コイツら、ボケばっかりでツッコミすら理解してないのか?
ましてやノリツッコミなんて、もはや未知の領域か?
あぁ〜、レベル低っ!
というのがハリルの率直な感想だったんだろう。
で、ハリルはハリルなりに「日本人なりにもできるサッカー」を作ろうと歩み寄りをしようとした。
しかし、それは松本人志が「米国人向け」に作ったコントと本質が同じである。
松本がその時に作ったコントがダウンタウンらしさに欠けた子供向けのコントだったことと意味が同じで、おそらく今ハリルが日本代表にやらせてるのは、「ハリルらしさに欠けたサッカー」なんだと私は思う。
実際、ハリルがかつてアルジェリア代表にやらせたサッカーと、今日本代表にやらせてるサッカーは似てるようで全く違うもん。
なんつーか、吹っ切れてないんだよね。
全部、中途半端。
私は、逆にハリルには開き直ってほしいなぁ。
ホントに日本に絶望してるなら中途半端に迎合せず、ヘタに媚びず、ハリル100%でやってほしい。
いくら日本のメディアやサポがグダグダ言ったところで、いちいちそれに合わせてたら、あなたのストロングポイントが出ないワケよ。
それが一番最悪だってば。
日本人に合わせるサッカーをやらすなら、あなたじゃなくて日本人指導者にやらせた方がよっぽど話が早いんだから。
つーか、ハリルじゃなくて手倉森さんにやらせた方がマシじゃね?というところまで正直きてるんだから。
ここまできた以上、あなたはあなたらしさを100%出すしかないのよ。
それが吉と出るか凶と出るかは、あなたが考えることじゃない。
それは、我々日本人が考えることだ。
2016/10/17(月)19:27
☆関西人ポジショニング続きね。
ここにきてガンバはヤットをボランチから外し、トップ下にしている。
別にこれは今に始まったことでもなく、昔から結構よくやってきたけどね。
時にはFW起用されたこともあったっけ…。
「でも、ヤットのトップ下はちょっとなぁ…」と思う人も多いだろう。
その気持ちは分かる。
ヤットの持ち味からして、彼みたいなタイプをトップ下に置くのはモダンではなくむしろクラシックなサッカーじゃないか、と。
イマドキのトップ下はもっとスピードがあり、機動力があり、突破力があり、何より得点能力のあるタイプを求めるのが普通だから。
ひとつ、ルヴァン杯決勝のトラッキングデータを見てみようか。
ヤットは120分出場して、走行距離は13.505km。
チームのトップは藤春で16.009km。
2位は井手口で、15.447km。
3位は今野で、14.145km。
やはり2ボランチが多く走っており、こういうハードワークを担保する為に、長谷川監督は敢えてヤットを一列前に出したんだと推測できる。
じゃ、もうひとつ「走り」のデータとして、スプリント回数を見てみよう。
ガンバのトップは藤春で、37回。
2位は井手口で、35回。
3位は米倉で、29回。
さて、ヤットは何回だったのか?
8回である(笑)。
これはCBより少なく、GKを除けばチームでダントツの最少。
ちなみに、スプリントというのは時速24km以上の走りをカウントしており、ヤットが120分で8回しかそれがなかったというのは、つまり全体的にユル〜くジョギングしてたということだ(笑)。
このデータ、ハリルなら激怒するだろう。
ハリルが決してヤットを召集しないことの意味はよく理解できる。
しかし、試合を見てた人は思うはずだ。
ヤットは常に起点になってて、そんな悪い出来ではなかったじゃないか、と。
その通りである。
彼は、一生懸命走らなくともキチンと仕事をしていた。
むしろ、走行距離とスプリント回数ともにトップの藤春の方が、よっぽど試合で印象に残ってないよね(笑)。
ヤットは年齢的なこともあり、今後もこういう傾向は変わらないはず。
むしろ、スプリントはもっと減るかもしれない。
じゃ、どんどん使えなくなる?
いやいや、そうとは限らないのよ。
彼を見てると、サッカーとは必ずしもスプリントありきのスポーツじゃないということを思い知らされるんだ。
事実、決定的な仕事をしてるし。
じゃチームに一人ぐらい、こういう選手はいてもイイんじゃないかと。
ただし、できれば守備ブロックの中に置いておきたくはないけどね。
普通、ヤットみたいなタイプをトップ下に置けば消える、と考えてしまう。
前めのポジションほど当然マークはキツくなるし、少なくともヤットはマークを振り切って突破できるタイプじゃないし。
本田のように、頑強な肉体でキープできるようなタイプでもないし。
しかし不思議なもんで、ヤットは特に潰されることもなく、また孤立してる消えることも少ない。
見てて「浦和は何で彼を徹底的に潰さないんだろう?」と思うぐらいで、でもヤットは長く球を持たないから寄せても無力化されちゃうんだよね。
あとは、ポジショニングの妙である。
ヤットは、色んな所にいる。
色んな所にいると言っても決して走りまくってるワケではなく、なんか気がついたら普通にそこにいる感じ。
いわば名人との将棋みたいなもんで、こっちとすりゃ何でその時に駒をそっち側に動かしたのかよく分からないだけど、後々になってその一手の意味がようやく分かる感じ、かな。
ヤットって、そういうポジショニングだと思うのよ。
目立たず地味なポジショニングなんだけど、何か知らんけど最後はチャンスメイクしてるもんね。
ホント、「妖怪」だわ。
思えば、オシムってヤットをトップ下起用してたでしょ。
俊輔を右サイドにして、憲剛をボランチに。
後に岡田さんは憲剛をトップ下、ヤットをボランチ、と前後を逆転させたんだけど、守備バランスからみて我々も岡田さんの考え方の方がむしろしっくりくる。
じゃ、なぜオシムはその逆を敢えてやったのか。
そこも、オシムはヤットのポジショニングの才能を評価したと思うんだよ。
俊輔も憲剛もヤットも、そのキック技術はいずれも甲乙つけがたい水準。
ランキングとして誰が一番かは人によって様々な解釈があると思うが、ただ「ポジショニングの才能」としてのランキングでならば、それは明らかにヤットが頭ひとつ抜けている。
彼はポジショニングがうまいからこそ、たとえ肉体的に強くなくとも後ろのポジションで守備ができるワケで、その才能はトップ下としても十分に応用がきく話。
その位置でも主役ぶらずに簡単にさばくので、プレスで潰されるシーンは彼だけ少ない。
おそらくオシムの中で、トップ下は王様ポジションでなく従者ポジションだったんだろう。
「中盤を制するのは古いサッカー。現代サッカーはサイドを制する」と何度も繰り返し発言してたっけ。
ヤットは本質として「人を生かす」選手で、トップ下でもそのスタンスは何ら変わらない。
彼は、トップ下の位置から俊輔と憲剛を援護してたんだ。
皆さんには、トップ下に形としての正解はないんだ、ということを理解してもらいたい。
それをまず前提として、今後の香川や清武を見ていってもらいたい。
香川も清武も、スプリント能力としてはヤットと比較にならんポテンシャルだろう。
香川にいたっては突破できるドリブルもあり、得点能力まである。
なのに、試合に出ればボロクソである(笑)。
まぁ、彼らは「ピッチャータイプ」だからね。
ヤットのような「キャッチャータイプ」とは役割が少し違うか…。
2016/10/16(日)14:50
☆関西人ルヴァン杯決勝浦和vsガンバ。
ダービーだね。
赤vs青の象徴。
この大会、今年から旧ヤマザキナビスコが「ナビスコ」ブランドを手放したことで、「ルヴァン杯」と名前を変えた。
「ルヴァン」というのは旧ナビスコの主力商品だった「リッツ」の後継、新商品のこと。
現在、「リッツ」はライセンス本家のモンデリーズ社が販売しており、いまや日本全国の菓子売場には「リッツ」と「ルヴァン」が競うような形で陳列されてるワケね。
ちなみに、「リッツ」のパッケージは赤。
「ルヴァン」のパッケージは青。
はい、ここでも赤vs青なのよ。
もちろん、大会スポンサーのヤマザキビスケット社としては、青オシだろう。
ちなみに、これまでの大会の歴代優勝チームを見てみると、赤(鹿島、浦和)は7回優勝。
対して、青(磐田、ガンバ、FC東、横浜、大分)は8回優勝。
ここまで、ほぼ互角である。
じゃ、試合について。
前評判では、浦和の圧勝になるのでは?という話だった。
というのも、つい先日にもJリーグで浦和vsガンバがあり、その時は4-0で浦和圧勝だったから。
ところが今回フタを開けてみると、予想外にガンバが立て直してきた。
ポイントは、2ボランチ。
Jリーグではヤット+井手口だった組み合わせを、今回は今野+井手口という鋼の組み合わせに変更である。
で、ヤットはトップ下に上がった。
一方、浦和はいつも通りである。
柏木をボランチに据え、彼を起点にして組み立てていく形。
よって構図としては、支配する浦和vs堅守カウンターのガンバ、である。
ペースは、どっちかというとガンバじゃなかっただろうか?
ガンバは今野+井手口の2ボランチが大当たりで、「浦和に球を回させてる」感じが見てとれた。
ややハリルっぽいサッカー。
ハリルは会場視察に来てたので、ほぼ間違いなく次は井手口を召集するだろう。
さらに、私がイイなぁと思ったのはヤットだ。
「ヤットをボランチに置かなければ緩急のない単調なサッカーになってしまうのでは?」と心配していたが、そこはさすがヤットである。
今回、彼は守備ブロック外にいて、いつもと逆にゴールに背を向けてポジショニングすることが多かった。
ガンバの守備ブロックはヤットを抜いたことで硬質になり、球を奪う機能はかなり高い。
で、奪うと前のヤットにタテパスを出す。
ポスト役のヤットは、そのクサビをワンタッチでハタいて一瞬で敵の急所スペースに球を展開するシーンが何度もあった。
ゴールに背を向けた状態で、簡単にそれをやるのよ。
まるで背中に目があるみたい。
もはやヤットは、人間というよりは妖怪に近くなってきたね(笑)。
きっと、ハリル代表も今日のヤットのようなトップ下の機能があれば、たとえカウンターであっても単調な攻撃にならないのに…、と思った。
ただ、浦和も負けてなかったよ。
最初のうちはなかなか崩せなかったガンバの守備ブロックを、しつこくドリブルを仕掛ける形で溶かしていった。
関根がいて、高木がいて、駒井がいて、とにかくガンバ守備陣はウザくてしようがなかっただろう。
やっぱ、ブロック崩しの基本はドリブルだよね。
そのことが、よく分かった試合だった。
で、試合は一進一退。
最後はPK戦で、辛くも浦和が勝利した。
しかし、ガンバもよく頑張ったと思う。
良い勝負だった。
西川vs東口の「代表GK」対決。
柏木vsヤットの「新旧代表F番対決」。
阿部vs今野の「アテネボランチコンビ対決」。
槙野vs丹羽の「おしゃべりCB対決」。
ホント、浦和とガンバは好敵手だよね。
今回は浦和に対しておめでとうと言うより、ペトロに対しておめでとうと言いたい。
この人は優秀な監督なのに、とにかくタイトルに縁がない。
あまりにも勝負弱いんで、なかなか代表監督には推薦しづらいんだよね(笑)。
しかし彼にとって、タイトルはケチャップみたいなモノかもしれないよ?
出ない時は出ないが、出る時はドバドバ出る。
今年は、さすがに「出る年」でしょ。
2016/10/15(土)22:07
☆関西人香川再生案A続きね。
トップ下というのは歴代の代表で色々いるんだが、たとえば中田英、俊輔、小野、小笠原、本田などなど。
ただ、香川というトップ下はそれらのタイプと少し質が違う。
しいて彼に近いタイプのトップ下を挙げるとするなら、やはりセレッソの先輩、森島ということになるんじゃないだろうか?
森島のトップ下は、今考えても素晴らしかった。
山本昌邦いわく、02年にトルシエは本気でトップ下を中田英じゃなく、森島先発で本大会に臨もうとしたらしい(周りが必死で説得したらしいが…)。
森島は、それほどの選手というか、タイプは違うがレジェンド中田とトップ下を互角に渡り合える唯一の選手だったと思う。
で、その森島がセレッソで「後継指名」し、自分のエースナンバーG番を託した相手が香川である。
よって、私のイメージの中では、いまだ香川は「森島二世」、もしくは「森島進化形」、もしくは「森島欧州編」、もしくは「森島電子版」、もしくは「スーパーモリシマ人」、そういう解釈をしている。
さて、森島のトップ下として最も印象深いのが、伝説の2000年アジアカップだ。
この大会、協会は中田英を召集できなかった。
よって、スタメンは↓の感じ。
・・西澤・・・・高原
・・・・・森島
俊輔・名波・稲本・明神
・・服部・森岡・松田
・・・・・川口
これ、良い布陣だよね〜。
なんかさ、トップ下の森島が輝いた意味が布陣だけで理解できる気がするのよ。
だって、前にはポストプレーの鬼才・西澤がいて絶妙の球を落としてくれるし、ヨコにはキックの天才・俊輔がいて絶妙のパスを出してくれるし、後ろにも天才レジスタ・名波がいて絶妙のコントロールをしてくれるし、こういうメンツに囲まれた真ん中で森島がスペースに走りまくるのよ。
こんなチーム、弱いワケないじゃん?
というか、歴代でもこのチームを超えるエレガントは正直ないと思うよ。
で、香川が仮に森島のDNAを継ぐ者だというなら、彼を輝かすのに最もヒントになるのは↑の布陣しかないんだ。
と言っても、今さら「フラット3」の3412を再現したいワケじゃない。
私が再現したいのは、香川を囲む【前・ヨコ・後ろ】のコンセプトである。
2000年アジア杯でいうところの、前→西澤、ヨコ→俊輔、後ろ→名波。
このトライアングルの中心に香川を置くことができれば、まず間違いなく彼は代表で再生することだろう。
で、私が考える「香川再生布陣」は↓の通り。
・・・・本田
原口・・香川・・清武
・・柏木・・長谷部
槙野・森重・吉田・酒井
・・・・西川
はい、【西澤→本田】【俊輔→清武】【名波→柏木】という代替です。
ちょっと脆すぎ?
私は、悪くないと思うけどなぁ…。
岡崎1TOPの後ろに香川を置くより、全然イイと思うけど?
というか、この岡崎というキャラ自体もある意味で森島の後継なんだよね。
(香川+岡崎)÷2=森島
じゃ、理論上は↓もありか?
・・・・本田
原口・・岡崎・・清武
・・柏木・・長谷部
槙野・森重・吉田・酒井
・・・・西川
案外、こっちの方が得点力あるかも…。
2016/10/15(土)0:11
☆関西人香川再生案最近、香川の評判が悪い。
皆のイメージの中で、【香川<清武】というのが定着しつつある。
現時点に限っていえば、特にそこは否定しない。
また岡田さんの話になるが、岡田さんは南アフリカ大会で香川を最終23名リストから外した。
なぜ外したかという点をテレビのインタビューで聞いたけど、岡田さんいわく、香川の本質は「サッカー小僧」だ、と。
だから、あまり戦術でガンジ絡めにしちゃうと彼の良さが出ない。
ある程度の自由を与えてこそ輝く選手、というのが岡田さんの解釈。
でも悲しいかな、南アフリカ大会は戦術ガチガチのチームでいかなきゃならず、敢えて香川を外したんだ、と岡田さんは語っていた。
ちなみに、香川は正規メンバーじゃなくトレーニングパートナーとして南アフリカに行ったんだが、練習の紅白戦では彼が一番キレキレだったらしいね(笑)。
誰も彼のドリブルを止められなかったらしい。
やっぱ、縛らず自由にやらせると凄いのか。
なるほど。
そういうもんかもしれないね。
香川は代表でもクラブでも波のある選手だが、言われてみれば不調の時ほどチーム戦術が厳格だった気もするわ。
ならば、ぶっちゃけハリルジャパンとの相性は良くないかも。
とはいえ、スタメンを諦めてしまうにはあまりにも惜しい才能だ。
仮に使うなら、やはりトップ下だろう。
サイドFWなんかにすると、そこは戦術の縛りがもっと厳しいポジションだし、今よりさらに消えてしまうよ。
彼はトップ下に入ると、やや後方にポジションをとることが多い。
基本は球に多く触りたい選手、そして孤立を嫌う選手。
つまり周囲と近距離を保ちたいプレースタイルゆえ、どうしても後ろに下がってしまうんだろう。
で、パス交換をできる「相棒」を欲するんだよね。
いわば、翼くんが岬くんを欲するようなもんさ。
仮に左サイドは原口だとして、彼は香川の「相棒」となるには独力突破の色が濃い選手ゆえ、ちょっと違うかな….。
じゃ、やっぱり右サイドの本田?
確かに本田との相性は悪くないんだけど、しかし敵にとっては【香川+本田】が近距離で固まってくれると、そこを包囲すりゃイイんだから守備をしやすくて助かる話だろう。
よって、香川は別の誰かと組んだ方がイイんだ。
私は、香川が組むべきは柏木、もしくは大島など攻撃力のあるボランチだと思う。
たとえば、香川と柏木のワンツーなんてイメージしやすいでしょ?
そういう選手と組むことで、香川はエリアに走り込んでいく本来の持ち味を取り戻せると思う。
ただ、ここで問題が生じる。
ボランチは柏木にせよ大島にせよ、一番大事な豪州戦では使われなかったじゃないか?
どうやら、堅い【山口+長谷部】がファーストチョイスになったっぽい。
そして後ろがこれだと、トップ下の香川はイマイチ生きないんだよね(清武なら、そうでもないけど)。
個人的には、【山口+長谷部】より【柏木+長谷部】の方が好きなんだけど。
でも、柏木じゃ守備が不安?
…いやいや、そこをカバーする策はあるよ。
それが豪州戦で見た、槙野左SB起用だ。
・・・岡崎
原口・香川・本田
・柏木・長谷部
槙野・・・・酒井
・森重・・吉田
・・・西川
槙野は、長友のように頻度高くオーバーラップしない。
もともと持ち味は長友と異なり、求められるのは守備力だから。
じゃ、彼が柏木の守備タスクを援護すりゃイイんだよ。
それにより、柏木は香川と組んで攻撃のタクトを振れる。
つまり槙野というパーツを入れることで、柏木が活き、香川も活きる。
インテルで出場機会を失ってる長友の現状を考えても、槙野は意外と今後のキーマンかもしれないな?
2016/10/14(金)0:55
☆関西人ハリルの弱点A続きね。
もうひとつ、ハリルの弱点を挙げておきたい。
それは、彼が日本人ではなくボスニア人だということだ。
ハリルは、言語は主にフランス語を使う。
よってフランスリーグ、コートジボワール代表、アルジェリア代表、いずれのキャリアもフランス語がそのまま選手に通じる環境で、今回のように通訳を介さなければコミュニケーションをとれない経験は今までしてこなかっただろう。
言葉は、大事である。
翻訳を介さなければ理解できない外国語は、我々日本人にどれほど正確に意味が伝わるものだろうか?
怪しいもんさ。
私は外国の映画をよく見るけど、そのセリフ(外国語)が有する真のニュアンスは、字幕だと多分半分ぐらいしか理解できてないと思う。
逆のパターンでいうと、日本映画を外国人に見せても、やはり日本語がもつ細かいニュアンスまではどうしても伝わらないでしょ?
たとえば、私が生涯で最も泣いた映画のひとつ、「フラガール」。
あの映画で、富司純子がリアカーを引きながら「ストーブ、貸してくんちぇ」と村の人たちに頭を下げるシーン。
私はあそこで必ず泣くんだが、あれを英語で「Please lend a stove」と字幕にしたところで、絶対泣けないと思うんだよね。
やっぱ、「ストーブ、貸してくんちぇ」という東北弁のニュアンスがあって、初めてあのシーンに泣けるのさ。
で、今日たまたま私は、岡田武史が出演していた「カンブリア宮殿」を動画サイトで見ていたのよ。
これは南アフリカ大会が終わった後の特集番組だから、今から6年ほど前の放送だろうか。
MCの村上龍はコアなサッカーファンゆえ、かなり興奮しながらゲストの岡田さんに食いついてたのが面白かったね。
番組を見てて、私は改めて岡田さんという監督の偉大さを認識させられた。
彼は、選手に対して使う言葉にとても気をつけていた、と言うのよ。
たとえば、ドリブルかパスかというプレーの選択をしなきゃならないシチュエーションで、明らかにドリブルが良いと岡田さんが思ったシーンでも、敢えて彼は「ドリブルをしろ」という言葉を使わなかったという。
非常に遠回しになるんだけど、ミーティングで使うビデオにわざわざドリブルしてるシーンを挿入して、「あぁ、良いドリブルだな…」と小声でボソッと呟くようにしてたんだそうだ。
そんな遠回しなことせず、「こういう場面ではドリブルの方が有効だ。みんな、分かったか?」とミーティングで言った方がよっぽど話は早い。
普通、そうするよね。
しかし、岡田さんは「それじゃダメだ」と言う。
それだと、選手たちは「ドリブルをしなきゃ」となってしまう。
結局、選手は型にハマってしまう。
しかし「良いドリブルだな…」という呟きなら、選手に伝わるニュアンスは「ドリブルもありなんだな」という感じ。
それなら型にハマらず、プレーの幅を広げることに繋がる。
やたら繊細すぎる話だよね〜(笑)。
でも、岡田さんはそういう細部を大事にしてたらしい。
あまり、伝えすぎないこと。
日本人のクソ真面目な気質を熟知した、岡田さんならではだろう。
さらに番組の中で、岡田さんは面白いエピソードを紹介していた。
本大会直前、岡田さんが主力選手(俊輔など)の不調に頭を悩ませていた時、闘莉王がこう言ってきたんだそうだ。
「岡田さん、W杯の重圧は凄いです。
今チームで不調になってる選手たちは、みんな必死です。
みんな、チームの為に真剣に考えています。
でも、分かったんです。
今、チームで不調じゃない選手は、大久保と松井と長友と俺の四人だけ。
この四人は、あまり考えないタイプなんです(笑)」
おそらく、これは何気ない日常の雑談だったと思う。
しかし岡田さんは闘莉王の言葉にハッとして、反省したんだそうだ。
あぁ、俺が今やらなきゃならないのは選手たちの重圧を取り除くことだ、と。
俺は、逆に重圧の拍車をかけてたんじゃないのか、と。
以降、岡田さんはあまり細かいことをグダグダ言わないようにしたらしい。
ただ大事なことを、「ひと言」伝える。
番組の中のVTRで、松井大輔はこの「ひと言」の重みを絶賛していた。
試合前、たった「ひと言」でモチベが上がったらしい。
こういう話、そのまんま今のハリルに聞かせてあげたいよ。
岡田さんは今、協会の副会長なんだから普通にハリルと話せるはずだし。
別に、監督の能力として【岡田>ハリル】というワケではない。
ただし、日本人を扱うというステージでは確実に【岡田>ハリル】だろう。
逆に、フランスやコートジボワールやアルジェリアを扱うステージでは、きっと【岡田<ハリル】だろうね。
2016/10/13(木)21:58
☆関西人ハリルの弱点今、なぜここまでハリルが追い込まれているのか?
普通、豪州相手にアウェーで引き分けなら、ここまでディスられることもないだろう。
全ては、9月にUAE戦で負けたことから始まる。
最終予選の初戦、しかもホームで負けたという前代未聞の失態。
困ったことにメディアがそのUAE戦を前にして、「初戦で敗れた国は本大会出場確率0%」というデータを出していたんだ。
もちろん、メディアも内心は「勝つでしょ、多分」ぐらいに思ってただろう。
彼らがこういうデータを出すのは、単に危機感を煽って予選を盛り上げたかっただけのこと。
それが、まさかまさかの初戦黒星!
負けて初めて、コトの重大さが分かってきた。
これ、マジでヤバいじゃん、と…。
ひとつ、ハッキリと分かった事実がある。
それは、ハリルが異常なほど初戦に弱い監督だということ。
まず、彼はW杯2次予選の初戦、シンガポール戦をホームで引き分けてたし(まさかのスコアレス)、東アジア杯でも初戦、北朝鮮戦を1-2で負けてたし、そして今回の最終予選でもまた、初戦が1-2でしょ?
それだけじゃなく、彼はアルジェリア代表を率いて臨んだ2014ブラジルW杯でも、グループリーグ初戦を負けていた。
つけ加えると、コートジボワール代表を率いて臨んだ2010南アフリカW杯でも、グループリーグ初戦は引き分け。
ほとんど勝てていない…。
つまり、ハリルはそういうタイプなんだよ。
いわゆるスロースターター?
しかし、これほどにスタートでつまづくとは、おそらく何らかの要因があるんだろう。
ただの偶然の連鎖だとは思えない。
考えられる理由は、↓の通り。
@選手のモチベーションを上げ、初戦に集中させるのが上手くない。
Aコンディション調整して、初戦にピークを合わせるのが上手くない。
B事前に準備・研究をしすぎて、変にチームを硬直化させてしまう。
…最悪じゃん(笑)。
私は、以前に「スポーツジャングル」で、槙野&柏木がハリルの合宿について色々と語ってたのを思い出したわ。
この二人が口を揃えて言ってたのが、ミーティングがキツイということ。
1日に約1時間のミーティングを2〜3回、それが毎日毎日続くという。
暗い部屋で、延々と敵チームのスカウティング映像を見せられるらしい。
「それが苦痛で苦痛で…」と槙野は語っていた。
また、個別ミーティングというのもあるらしく、槙野いわく「ツンデレでいうところのデレがない」「メンタルをやられる」内容とのこと。
「1ヶ月前に良いと言ってたプレーが、その1ヶ月後にはダメと言われるんすよ?ワケわかんね〜!」と彼はボヤいていた。
どうやら、ハリルは選手を混乱させてるらしい(笑)。
いや、こんなことを書いてると、まるでハリルが最悪の監督みたいだな〜。
でも一応フォローしとくと、スタートでコケた後、土壇場になってからの軌道修正は上手い監督なんだと思う。
実際、ブラジル大会のアルジェリア代表は初戦を落としたにも関わらず、見事グループリーグを突破。
それまで「初戦に負けたチームがグループリーグ突破する可能性は0%」というデータがあったというのに、ハリルは見事にその鉄則を打ち破ったワケよ。
で、決勝トーナメントでドイツ(この大会の優勝国)と当たり、延長戦にまで追い込む接戦を演じて世界中の絶賛を浴びたことは皆さんもよく覚えてるだろう。
つまりこの監督、無能ってワケではない。
そもそも、フランスリーグで年間最優秀監督にまで輝いた人なんだし。
有能は有能、しかし何かが欠損してて、そこさえケアできれば、かなり使える監督だと思うよ。
いや、私は別に彼を擁護したいワケじゃない。
今のところ、評価は保留。
全ては、来月のサウジ戦で決まる。
これはホーム試合だし、引き分け以下なら即刻解任で構わない。
しかし彼がラッキーなのは、来月のサウジ戦は「2試合目」だということ。
その4日前に、親善試合としてオマーンとやるワケです。
これは、ラッキーでしょ。
じっくり準備・研究したものをそのままサウジにぶつければ、彼の場合逆にうまくいかないことが多いんだが、まず最初にオマーンと当たることによって、彼の「スロースターター」という弱点は緩和される可能性が高い。
いや、逆にオマーンに負けて、サウジ戦に関係なく解任されたら笑うけどね(笑)。
2016/10/13(木)16:49
☆関西人オーストラリア戦B試合後、ハリルは「勝ち点1を取れたというより、勝ち点2を失った」と語り、これは本来勝てる試合だったと主張している。
皆さんは、どう思うだろうか?
私は、勝てる試合ではなかったと思う。
おそらくハリルは「あの馬鹿なファウルさえしなければ」という思いなんだろうが、じゃあれがなければ、1-0でそのまま逃げ切れたとでも?
…甘いと思うなぁ。
もし1-0のままで終盤近くまでいってたら、その時点で豪州はフットボールを捨てて、放り込み一辺倒できただろう。
実は日本にとってそれが一番怖かったし、それをやられりゃ逆に1失点では済まなかった可能性すらある。
幸い、豪州は最後までフットボールをしてくれた。
それは後半早い時点で同点に追い付き、さらにその後もイイ感じでポゼッションをできてたからだろう。
ある意味、ドローで済んだのはラッキーだったぐらいさ。
いや、一番は選手たちが頑張って守備をしたからこそのドローなんだけどね。
しかし悲しいもんで、メディアの論調、ファンの反応、ほとんどの人たちがこのドローを失態と解釈している。
誰も健闘とは言わない。
日本は強い、アウェーでも豪州に勝って当たり前、という風に考えていたようだ。
まるでハリルが日本を弱体化させたかのような論調。
おいおい、と思う。
みんな、健忘症なのか?
ハリルが就任する前、2015年のアジア杯は準々決勝敗退したんだぞ?
その前年のW杯本大会では3試合を2得点6失点の勝ち点1、ダントツのグループ最下位で敗退したんだぞ?
流れ的には下り坂、というところでチームをハリルに託したワケよ。
なんかさ、みんなの記憶は自分に都合よく、2013年ぐらいで凍結してるんじゃない?
私は↓に書いた通り、この10月の2連戦で勝ち点4はギリギリ及第点クリア、と思っている。
サイコーとは言わんが、最悪でもない。
そりゃ、9月は最悪だったけど。
問題は11月のサウジ戦。
そこで勝てなければ、もちろんハリル更迭で構わない。
その次の試合は3月なので、辛うじて新監督の準備もできるだろう。
ただし、勝てば話はまた別である。
私は、なんかハリルが潰される気がするんだ。
叩かれるのは構わない。
今までだって、歴代監督は皆クソミソに叩かれてきたし。
しかしハリルの場合はそれ以上というか、この調子だといずれメディアに殺されそうな気がする。
ぶっちゃけ、彼はメディア対応が良くない。
皆さんは、イラク戦前の記者会見映像を見た?
殺伐としてたよね。
UAE戦の敗因を説明するハリルに対し、記者は「言い訳にしか聞こえないんですけど?」と噛みついた。
するとハリルは、「あなたはその意見を言えるほど能力があるのか?」と切り返してしまった。
これ、アカンやろ(笑)。
こういうやり取り、私は今まで超サカでも何度か見てきた。
たとえば誰かが特定の選手のプレーをディスる書き込みをした際、その◯◯選手のファンと思われる人が批判を制する意味で「じゃ、お前は◯◯選手より上手いのか?」とか書いちゃうワケよ。
これ、ディベートの基礎中の基礎として、アウトだわ。
「自分ができないことを批判してはならない」ロジックをプロの世界に持ち込むなら、たとえば映画を見て「つまらなかった」と言えば「じゃ、お前が映画作ってみろよ」となるし、ラーメン屋に行って「まずかった」と言えば「じゃ、お前がラーメン作ってみろよ」になる。
そんな理屈、あり得ないだろ?
素人ならまだしも、それで飯食ってるプロである以上は批判もされて当然なワケで、それを「あなたには(私より)能力あるのか?」と切り返すのは、やはりプロとして恥ずかしいことだ。
多分、このやり取りでハリルは思いっきりメディアを敵に回しただろう。
事実、その会見でさらに記者から「負けたら、どうケジメをつけるつもりか?」とミもフタもない質問をされており、まさに一触即発。
また別の日の会見で、ハリルは「サッカーを理解できない記者がいる」と先制攻撃をカマし、ますます空気を悪くしている。
あのさ〜、こうやって記者を敵に回しちゃうと、ぶっちゃけ記者はペンで恨みを晴らすかもよ?
必要以上に、彼を悪く書いた記事が出てくるかも。
ただでさえ、練習を非公開、さらに選手のインタビューを規制するなどしてメディアの評判は悪いんだ。
さらに会見で喧嘩腰になると、もう「俺を悪く書いてくれ」と言ってるようなもんだよ。
過去を遡れば、確かトルシエもメディアとモメてたね。
しかし、彼はムカつくキャラである一方、どこかチャーミングで妙にメディア映えしていた(通訳のダバディ含めて)。
ところが協会からは思いっきり嫌われてて、釜本さんや川淵さんを敵に回したからもはや絶体絶命だったところを、あの時は逆に一部メディアがトルシエ援護に回ったんじゃなかったっけ?
お陰でサポもトルシエ援護に回り、ギリギリで延命できたんだよね。
しかし困ったことに、今のハリルにはチャーミングさが全くない。
通訳もまた、ダバディほどチャーミングじゃないし。
誰か、もっとハリルのコーディネートをうまくできる奴はおらんのか?
このままじゃ、彼はメディア誘導の更迭論によって潰されるよ。
いやね、結果が出なくて更迭されるのは別に構わないんだ。
監督とは、そういう仕事だし。
しかし、今回みたく「勝ち点4」というグレーゾーンになると、それこそメディアのサジ加減が大きな意味を持ってくる。
正直、今回のハリルは△だった。
△とはすなわち、悪いところも良いところもあったということ。
それが、私の見る限りメディアは悪いところは書いてるけど、良いところは完全にスルーしている。
これ、いくら何でもアンフェアだろ、と思うのよ。
そりゃファンの中でも識者はまだ分かってるだろうけど、そうじゃないファン層はメディア頼りだから「ハリルは無能だね」と安易な総括をするかもしれない。
…結局、全てはハリルの自業自得?
2016/10/12(水)23:51
☆関西人オーストラリア戦A個人的には、槙野のSBはありだな、と思った。
サイドだけじゃなく中に絞って敵を潰すシーンもあり、森重と吉田はかなり助けられてた思う。
しかし、長友と比べれば攻撃力が落ちる、という指摘もあるだろう。
それは、その通りだ。
ただSBのオーバーラップというのは、前の選手がタメて時間を作るのが前提のプレーである。
今のコンセプトだと、左の原口が時間をかけずにそのまま前に球を運んでて、昔ほどSBの上がりに依存することはないように見える。
だから、オプションとしてなら槙野も全然ありなんだよ。
で、最近は左サイドのキーマンとなりつつある原口。
ホント、ハリルがボランチ起用を諦めてくれて良かった…。
ハリルがそれまで彼をボランチ起用、あるいはSB起用してたのは、左には宇佐美を優先して使いたかったからだろう。
その気持ちは分かる。
だって、宇佐美のポテンシャルは凄いから。
宇佐美も原口も、二人とも子供の頃から怪童として話題になってきたタレントだ。
「西の宇佐美」「東の原口」という両横綱の扱い。
ダウンタウンvsとんねるずみたいなもんだろう。
個人的には、ポテンシャルでいうと宇佐美が上だと思う。
しかし、宇佐美がどうあっても原口に勝てない要素が今はハッキリしてきた。
それは、馬力と頑丈さと闘争心だ。
今の原口の何が凄いって、あの消耗の激しいポジションで最後の最後まで走っていること。
おそらくあのポジションは全ポジションの中で最も過酷、最もバテる。
宇佐美だと60分ぐらいはもつけど、多分それ以上やると消えるだろう。
しかし、なぜか原口は最後まで消えない。
そして、誰よりも闘争心溢れるプレーをする。
その闘争心が勢いあまって、昨日はPA内のファウルをやっちゃったけどね。
中盤でならOKのプレーも、PA内ではまた別。
しかしあの軽率なプレーも、裏を返せば彼なりにデュエルしてたということだ。
じゃ、左WGの序列1位は原口が当確として、逆サイドの右において序列1位は誰?
今のところ本田が定位置だが、彼も年齢的にあの上下動がキツそうに見える。
最近、どの試合でも彼は最後にバテてないか?
まだ、1TOPの方が彼にとってはマシに見えたよ。
そもそも彼が右サイドで使われるようになったのは、当時ミランでそこをやってたからだろ?
でも今はミランで試合に出てないんだし(笑)、そんな右サイドにこだわる必要ないじゃん。
で、私が右サイドに推すのは岡崎だ。
彼もまたジジイだが、しかしスタミナはまだある。
それに、裏をとるのが上手い。
・・・・本田
原口・・清武・・岡崎
・・山口・・長谷部
槙野・森重・吉田・酒井
・・・・西川
今のところ、これが一番安定すると思う。
つまり、豪州戦では
【香川→清武】
【小林→岡崎】
が交代カードとしてベストだったんじゃないかな、と。
岡崎は怪我してたというが、前日には全体練習に出てたところから見て15〜20分は走れたはず。
【本田→浅野】の交代は、それによって守備(高さ)補完の為にわざわざ【原口→丸山】が必要だったとするなら、ちょっと失策だよね。
そもそも【本田→◯◯】に相応しい、高さのあるFWがベンチにいなかったことが一番の問題じゃん?
そこは、ハリルも猛省すべきところ。
武藤は怪我。
金崎は例の不祥事で、しばらく呼ばれない。
大迫とハーフナーは、理由は分からないが呼ばれてない。
長沢も呼ばれそうで、結局呼ばれなかった。
上記メンバーのうち、最低二人ぐらいは来月に呼んだ方がイイと思う。
「デュエル」というコンセプト的に、まず金崎を許してあげるのが一番手っ取り早いんじゃないかと私は思うんだが…?
2016/10/12(水)15:32