1 ビーチ
男性 34歳 大阪

またも木虎

 「お嬢ちゃん、辛いの好きだって?」
 とある四川料理店。
 「ええ」
 木虎藍が応じた。
 「じゃあおもっきり辛くしてあげるよ」
 店主はそういい、料理に唐辛子をドバドバ入れた。
 「はいどうぞ」
 店主はその料理を木虎に出した。
 「ありがと」
 パクパク。
 そして・・・。
 グギュルルルルルル。
 「うっ・・・!」
 木虎のジャンパースカート制服に覆われた腹から雷鳴がとどろいた。
 「ト、トイレどこ・・・?」
 「そこだよ」
 店主が傍らにあった戸を指差した。
 「借りるわ」
 木虎は闘牛のごとく戸に突進した。
 が・・・。
 ガチャッガチャッ。
 「あ、あかない!」
 「鍵はここだよ」
 店主は鍵をジャラジャラさせた。
 「は、早く貸してっ!」
 「んじゃトイレ使用代はらってね」
 むろんこれを狙って唐辛子をたくさん入れたのだ。
 辛いものは下痢をする。
 使用代を払い、鍵を受け取った木虎はそれで戸をあけようとした。
 ガキッ、ガキッ。
 「は、入らない!」
 「あー、ごめんごめん。トイレの鍵はこっちだった」
 「は、早く!」
 「じゃあ追加料金はらってね」
 追加料金を払い、鍵を受け取れば今度はあいた。
 だが・・・。
 「何よ、ここ。物置じゃない!」
 「あ、トイレあっちだった」
 店主が反対側を指した。
 ダダーッ。
[作者、登場人物、概要]
木虎、四川料理屋の店主