1 ともや
男性 14歳 長崎

クールな智哉の悲劇

「よし!行くぞ!」
智哉は張り切ってグラウンドに出て行った。この日は県大会。小6の智哉はこれが最後の県大会。笑顔でプレーしようと決めていた智哉は元気に声を出していた。試合前はバットスイングを入念にチェック。しかし、一つだけチェックし忘れていたものがあった。
そのことが智哉を大ピンチにさせる。

「絶対打ってやる!」
智哉の腕に力が入る。思いっきりバットを振ったがセカンドゴロ。しかし、ベンチに帰るときにかすかに尿意を感じた。
「まぁ気のせいだろ。試合に集中だ。」
しかし、その尿意は気のせいではなかった。守備中もずっと尿意を感じてしまう。

「どんどんおしっこしたくなってる。でもあと70分も我慢しないと。」
ベンチにいる間もトイレに行きたくてそわそわしている智哉。しかし、県大会は試合終了までベンチから出ることは出来ない。さらに今日は特に寒い。トイレは必然的に近くなってしまう。バッターボックスに入ろうとした時は完全に弱気になっていた。

「やばい。バット振れないや。おしっこが・・・」
結局三振に倒れる。クールな智哉は顔に出さないため、周りは全く智哉のピンチに気づかない。

守備中には思わず股間まで手を持って行きそうになってしまう。しかし、そこはなんとか堪えた。
「ヤバイヤバイヤバイ!もうおしっこ我慢できないよ!」

智哉はまともにバットを振れないくらいおしっこを我慢していた。守備でも全く声を出さない。棒立ちになり、明らかに智哉の様子がおかしかった。

守備での動きと寒さで尿意は限界になっていた。しかし、その時監督が智哉に言った。
「智!しっかり腰を落として構えろ!」
「は、はい!」

しかし、腰を落とすともうおしっこが漏れる寸前だった。しかし、運がいいことにすぐにスリーアウトになった。
あとはこの打席を終えるだけ。しかし、思わぬ結末が待ち受ける。
「え!」そう、なんとエンドランのサインが出たのだ。しかし、バットを振ると絶対に
おしっこを漏らしてしまう。しかし、智哉は振るしかなかった。
「ブン!」

「よかったー!漏れてない!」しかし「そ、そんな」
またエンドランのサインが出たのだ。智哉の尿意はもう限界を超えていた。
必死の顔で我慢する智哉だったが、すでに一歩でも動けば漏らす状態だった。これまで、
クールにチームを支えてきた智哉。しかし、今日、プライドはズタズタに崩されてしまう
覚悟を決めて、バットを振った。空振り。しかし、選手たちは智哉から目を離さなかった。
「プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「クッソォォォォォォォォォォ!!!!!!!」


クールでシャイで、超真面目な智哉にとってお漏らし以上の屈辱はなかった。
[作者、登場人物、概要]
自分の体験談を小説にしました。