―紅海―

そこは夕暮れでも無いのに真紅に染まる海
様々な物が流れ着き、守るように水属性の強い魔物や怨霊が現われる
ファル・イデア・フォン・グレン
…煎じた所で変わるとは思わないな。まず、受け入れないだろ
(神属のイメージを空を見上げ思い浮かべるも、考え方が固く頑固な感じがあるので、妙なものは受け入れないし柔軟なタイプでも無いだろうと首を小さく振り)
耐久勝負?どうだろうな?…何にしても、理想とかイメージってあるだろ?俺はそういうものを壊したくないし、それなりに見れないと誰も信用しないだろ。
(他からはどう見えてるか解らないが、そう振る舞わないと仕事としては信用されないし成り立たないと己の見解を述べて)
まぁ…俺も嬉しいかな。最初に会った皇帝じゃなくて、ちゃんと"俺"を見てくれてるからな…
(魔界では個人で見られた事が少なく、皇帝では無く己自身を見てくれる事が嬉しく、相手を抱き締めようと腕に力を込めて)
セリシアーシャ
ふふ、そのお陰でこうしていられるのだが…神属たちに、お前の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいものだな?
(己がいた頃の神界は総じて尊大な者たちが多かった記憶があり、やはりこのような考えを出来るものは居なかったがため、改めて彼は特異なのだと感じて。)
常に思うのだが…知るものが見れば、私と陛下は耐久勝負にしかみえないのではないか?
(疲れる、と聞かされれば、己は慣れているためそういうことを思ったことがないがお互い公私は完全に区別するタイプであり、この関係を知り、尚且つ王の存在を知るものが見たならば、両者ともに仮面を着けているように見えるのではと、常々思っていたことを口にして。)
私が…?…そうだな。そうかもしれん。何故だろう、今は、とても嬉しい。
(神に属するその支柱の役割ゆえか、過去というものをあまり口にしない性分であったが、彼との最初の出会いがあったからこその現在なのだと彼との会話で改めて思えたが故の幸福で、己の知る彼をこの目で見たくなったと、その願いが叶えられれば当然欲求は満たされて。)
ファル・イデア・フォン・グレン
そうだろうが…まぁ、ほんの少しは神属混じってるし、本当にそう思ったんだからいいだろ?
(確かに可笑しい事を言った自覚はあるが本当の事でもあるので、そんなに面白かったかと楽しそうな相手をしげしげと見つめ)
いや…あれ疲れんだけど…
(皇宮に会いに来る発言に、皇帝として誰かと接する時は精神疲労度が異なり思わずポロリと呟いて。次ぐ胸に顔を寄せて聞こえてきた言葉には、クスッと笑って相手の長い髪を撫でようとして)
お前の方が喜んでるように聞こえる
セリシアーシャ
ふ、は…悪魔が善行を喜ぶなど…聞いたことがないぞ?
(思わず笑ってしまったかのような短い笑い声とともに、楽しそうなトーンで問いかけるのはジワジワとツボにはまったらしいようで。)
そうなのか?…では、陛下の御尊顔を拝見奉る機会を与えてもらえるように、公務を調整しよう。
(皇宮での姿を聞けば、それならば彼の手を煩わせる必要もないと、己が王へ会う機会を本気で作ろうと心に決め。次ぐ詠唱とともに響くピアスの音、それとともに刹那に短くなる髪に姿が戻ったことを確認すれば首に絡めた手を下降させて己よりもしっかりした背中に回そうとしながら顔を胸に埋めようとし。)
いつもの、ファルだな。
ファル・イデア・フォン・グレン
(首へと伸びてきた腕を拒まず受け入れると、それに応えるように相手の細い腰へと両腕を回そうとしつつ)
何も考えてなかったが、助けて良かった…善き行いってのはしとくもんだな。
(悪魔らしからぬ言葉を冗談混じりに紡ぐも、今が幸福である以上は本当にそうだと実感しながら笑んで。次ぐ言葉を聞けば一瞬は意外そうに相手を見た後、いつものと言われてしまえば嬉しく口許を綻ばせ)
最近は、皇宮ではこの状態で居るようにしてるけどな。じゃあ、戻させて貰う
(時には見たいとの言葉に、ごく最近から皇帝でいる時はこの姿でいる事を教えると髪もウザいし魔力を抑えてるのも疲れるので、戻す事にして目を閉じ)
紅き御霊の導きの果て
眩さ閉ざす夜 深き帳
我は深遠なる淵へと混濁の純血を封じる
(低く唱えると耳のピアスがリンっと澄んだ音を響かせ、その後に魔力が収縮すると共に髪も刹那に短くなり。一つ息を吐くと己の髪を触り、どこか落ち着いた表情を浮かべて)
セリシアーシャ
あの時ばかりは、死を覚悟した。…こうして生きて、誰かと寄り添うことになるなど思いもしなかった。
(これが巡り合わせだと言うのなら、運命の支柱たる己であっても数奇なものだとしか思えず、もたらされる生とは計り知れないものだと改めて感じながら彼の首へと腕を伸ばそうとして。)
もし、問題がないのなら元に戻してくれて構わない。…この姿も時には見たいものだが…やはり、いつものファルが…。
(やはり髪の長い姿を気に入っている節はあるものの、それでも、いつもの姿の彼は安心するのだろう。)