−市場通り−

賑やかで活気があり、輸入された小物のアクセサリーや花などの植物
果物や魚介類、野菜などの食材を扱う露店が並ぶ色鮮やかな通り
クー
そうなのね…だけど、あなたが着ろと言えば何でも着るわ。
着せ替えされるのには慣れているもの。

(それは彼を喜ばせる為か、顔を合わせずに聞こえるか聞こえないかくらいの声音で呟いて。次ぐ言葉からヒレのような耳が反応し、給料が出ると言うのは聞いていなかったがやる気は満々。彼の合図を確認後、彼とは反対側の雪の山へと向かうと早速シャベルを手にし)

魚屋さんだから…そうね。
ギルカ・アルグール
趣味っていうか、多少店員っぽく見せた方がいいかなって話になったんだよ。俺はあんまりそういうセンスはないから……前見たクーが着てた色がいいかなと思って。(油断して出た言葉を拾われ趣味かと言われれば片手を振って否定はするものの、その条件からその衣装を自分が選んだのには間違いはなく気恥ずかしい心情を明かして視線を外し。次いで相手に問いかけられると自分の頬を軽く一度はたいて気を取り直してから相手へ向き直り、無言のまま一度深く頷いて似合っていることを肯定し)
そうだけど、こういうのは結果だけじゃないわけ。過程も大事なんだよ、過程も。…ちなみにこれお給料出るから。気合入れろよっ。(ニッと笑って親指と人差し指で丸を作りお金のジェスチャーを見せると、チャリンと幻聴が聞こえそうなポーズで相手へ勝負のスタートを宣言し)
クー
あら、あなたの趣味だったのね…。

(頼んどいて良かったの一言に、にやにやと嫌らしい笑みを浮かべたまま背を向け、肩越しに振り向くようなポーズを取ってみて。カチューシャまで差し出されると文句の一つも垂れずに頭へ着けるも、まるで同居人に着せ替えさせられているようだと思い出すと僅かに頬を赤らめ)

に、似合う…?
それよりも雪で何か作るんでしょ?
ギルカ・アルグール
…どういたしまして。(コートを左右限界まで広げ、両腕で半ば少女を覆うようにしてカーテンの代用品を作ると自分は真横を向いて別の露店の裏側をジーっと眺め。よくよく考えれば、水着も同然の恰好で泳いでいた彼女ならそう恥ずかしくもないのでは、寧ろ厳重に隠す方が何か見てはいけないものがそこにあることをアピールしているようで少し照れてしまい。そんなことを考えているうちにいつの間にか着替えは終わっており、ハッと我に返ると手を下しお披露目のように一回転する少女を見て笑みを浮かべ)
いいな、黒頼んどいてよかった。服は仕方ないだろ、魚の着ぐるみじゃ動けねーよ。…あとこれも。(軽い不満を呟く相手へ言葉を返しながら、肘にぶら下げたままのバックから露店で購入したワンポイントとして大き目の貝殻の飾りが目立つ小さな造花や貝で飾られたカチューシャを取り出して差し出し)
クー
有り難う。
脱いでも、いつも着ている服と大差ないけれど。

(コートをカーテン代わりにして隠してくれている内に、手際よくエプロンドレスを着用する。脱いだ衣服を畳んでクーラーボックスの上に置いて着替え終えると、彼の前で一度くるりと回ってから首を傾げ)

どう、かしら?
エプロンだけなんてずるいわ…ま、良いけれど。
ギルカ・アルグール
ちょ…!っと待ってな。…コート貸して、隠すから。(用意した衣装を手渡したのはいいが、早速脱ぎ始めようとした相手を目前にすると反射的に路上と相手の合間に入って両手を胸元の高さまで上げ衆目を遮るように動き。しかし両手ではたかが知れているため、今脱ごうとしているモッズコートをカーテン代わりにしようと提案すると片手を差し出して)
俺はエプロンだけだからすぐ終わるよ。