江ノ島殺人事件

僕はルポライターの赤川五郎です。
今日も目が覚めると冷蔵庫から牛乳を取り一気に飲み込む…
飲み終えてから少し異臭がしたので賞味期限を見たら２日過ぎていた。
『またやってしまった』と思いながら笑ってしまった

これじゃ不二家の菓子と同じではないか？

横浜に着くと大勢の客が乗り込んできた。
その中で手をつないでいる熱々のカップルを目にしてしまった。
真面目そうな外資系商社マンと化粧の濃いキャバ嬢風な女性で抱き合いながらキスをしているのではないか？
僕は日本も随分アメリカナイズされたものだと思ってしまった。

明日から２月か？

『明日までにレポートを提出しなければ』と考え事をしていたら列車はすでに茅ケ崎に着いていた。

僕は席を立つと偶然にも傍にいた熱烈なカップルも茅ケ崎で降りたのだ…
僕は興味本位で彼らの近くで歩いていると女性が『私、祐樹さんと結婚したいの？』
『ねぇーいいでしょう？』と甘い声でじゃれているようである。
彼は『真理、そうだな！』と頷いているようであった。
僕は心の中でこのカップルも破局しなければいいんだがと思ってしまった。
最近は殺傷事件が多いからね？
バラバラにならなければいいが…笑い

翌朝、ＴＶを付けるとニュースを放映していた。
昨夜のレポート作成でまだ眠っている状態だが珈琲を飲むと除々に目が覚めてきた。
その時だった！
江ノ島で他殺死体発見！と速報が流れた
そして画面を見ると被害者の男性、木村祐樹２８才の写真が映し出された。
あれ！この顔は昨日の熱々カップルの彼ではないか？
そんな馬鹿な！
マジかよ！
僕はあまりの驚きで珈琲カップを落としてしまった
熱〜い
しかしそんな熱さも忘れ食い入るようにＴＶを見ているとレポーターが『これは殺人事件です』
『鋭利な刃物で心臓を一突き』と説明していた。
江ノ島か？
家から近くではないか？
僕は現場に行くことにした。
江ノ島にて

江ノ島に近づくにつれエボシ岩が見えてきた
ふとポエムでも作りたい心境になってしまった(爆)

現場に着くと現場検証をしている最中であったが報道陣とヤジ馬で混雑していた

それにしても何か変だ！
昨日の女性がいないのだ！
僕は考えながら前を見ると前方にサングラスをした女性が現場を見ているのではないか？
僕はとっさにその風貌から昨日の彼女と解った
そして近づこうとすると彼女はすでに人込みの中に入って消えてしまった

そ、そんな馬鹿な…

江ノ島を見ながら

僕は

途方にくれた
江ノ島の画像

あれから月日は２週間経って
今日は２月１４日のバレンタインか？
僕は車内の広告をぼんやり見ているとその下にふぞろいなカップルを発見！
どう見ても年齢差が20才以上かな？
男性はかなり年配で金持ちっぽい感じである
しかし待てよ！
あの女は？
あの事件の恋人では？
そう考えていると列車は茅ケ崎に着いた
そして彼らは相模線に乗り換えていく
僕はルポライターの端くれ、追わなければいけないと思い跡をつけることにした。
門沢橋で降りると国道沿いを歩き400m先を左に曲がり100mぐらい歩いていくと前方に２階建ての豪邸が見えた。
そして彼らは豪邸に吸い込まれるように入っていった。

どのくらい時間が過ぎたんだろうか？
ふと時計を見ると深夜１２時を過ぎていた。

その時だった！
１台の車がライトを消したまま豪邸に横付けした。
そして３人のヤクザっぽい男が車から降りてきた。
手に何やら拳銃のような物を持っているのではないか？
『こりゃ〜まずい』
僕は警察に通報するとともに機転を働かして車に忍び寄りヘッドライトの配線コードを切断した。
これで車で逃げれないはずだ…

豪邸から『パーン、パーン』と２発の銃声とともに４人の人影が走ってきた。
それと同時にパトカーのサイレンの音が響く…

女と男３人は小走りに車へ乗り込むとエンジンをかけ無灯のまま急発進をした！

そして200m程走ったところで『ドーン』と大きな音がしたのだ。
僕は走って見に行くと車はブロック塀に激突をしていた。
車内に４人は閉じ込められていた。
丁度、そこに２台のパトカーが現われた。
僕はとっさに『共犯になるのはまずい』と思い垣根に隠れる…

僕は星を見ながら
この世の中
いろいろな人が
いるんだな？


翌日、朝刊に江ノ島殺人事件の容疑者逮捕と載っており、犯人(須藤真理)は一連の結婚詐欺と犯行を認めると記載されていた…
真理の画像


《解説》
この作品の登場人物は全て架空でフィクションですので悪しからず…