1 ラクロ・バレット・イグノランス

むかし、昔の…そのまたムカシ

『暁の幻』

それは、旧くて古くて

普通の人には忘れられてしまった

一つの『神話』

―否――オトギバナシ―

(中略)

これから話すのは

ある明るい神様の

悲しい哀しい御伽噺

     〜旧き民の伝承より〜
5 ラクロ・バレット・イグノランス
『少年/彼』
このオトギバナシの中で、最高神を形容する言葉。旧き民に信仰されていたこの最高神は16、7歳位の少年のような姿だったと言う。


佇む
悲鳴を上げる
   止める
佇む
佇む
ただ独り
血[アカ]と屍[クロ]を前に


少年のいた世界に暗闇は無かった
夜はあった
温かな優しさに包まれた夜が

夕闇続く
夜深く
月は隠れて姿を見せず

そこの佇む
赤の姿
血より深き
紅蓮の背中
小さき彼は
何も語らず


そんな彼に声をかけるヒト
帰らぬ弟を探しに来た少女

酷く疲れていた
  悲しんでいた
  恐怖していた
少年は
彼女の声に
       ――涙した

どんな女神の歌声よりも
今の彼にとって
どんな『救い』に聞えたのだろうか
6 ラクロ・バレット・イグノランス
『旧き民』
その昔、人間界を治めたといわれる民。彼らに関する文献は少なく、あまり知られていない。伝承として、彼らが信仰したという神話が残っている。


そこは少女の家
小さく
少し汚れた家

『綺麗』
少なくとも
今の彼にはそう見えた

名も知らぬ少年に
少女は弟の面影を重ねていたのか
虚無を見つめる彼を
快く家に引き入れた


夢を砕かれた少年は
唯一、少女の存在を
    
心の拠り所とした。


最高神がいなくなった神の国は
混乱していた。
彼が人間界に降りたのは
周知の事実であったが
誰一人
そこへ向かおうとするものは
いなかった。

――――穢れた贋物[ナレノハテ]


神々は
旧き民に命じた

――最高神を我らが元に帰せ
  
  民に扱えるほど
  
  彼の方は
  
  甘くない――


少年の運命は決定付けられた――
7 ラクロ・バレット・イグノランス
『髪留め』
少女が最高神に与えた最初で最後の贈り物。高価なわけでも、能力があるわけでもない。最高神はこれを肌身離さずに常に身に付けていると言う。


民は知った
――最高神様がいらっしゃる
  彼の方と
  交わりを持てば
  地位も
  名誉も
  手に入る――

単なる 『噂』[ザレゴト]

大衆とは
流れにくい
――が、流れ始めれば
何人にも止められはしない

民は探す
  探す
  探す
  壊す
  探す
  コロス
  探す

流れ始めた
ふざけた運命は
一歩
  また 
    一歩
      『破壊』を
           纏い
―――彼の下へ


少年は言葉を喋らない
否、一時的に喋れない

目の前の血[アカ]
頭から離れなかった―――

そんな少年を
少女は
真の弟のように
優しく接した

姉弟の契りに
髪留めで
真紅と銀の流れる髪を
そっと、止めながら―――
8 神名備
『終わり』
常に儚く、現実は夢幻の如き麻薬。始まりと終わりは対なる存在。始まりがあるから、終わることが出来る。希望と幸福の最後とは限らない。


ヒトというのは
独りでは成し得ない事も
集団となると
別のこと

『破滅』『破壊』『怒号』
『悲鳴』『嗚咽』『苦渋』
禍々しき渦は
少年と少女へと辿り着いた

その小さな家に


何も知らない少女は
扉の向う
彼方まで広がる人の波

驚き
否、恐怖

刹那
――――――――泣き声

少年は振り向く
――目に入る(ミトメタクナイ)
血[アカ]に染まった少女の姿
――叫ぶ(シンジラレナイ)
歓喜の渦
――怒り(ダレモトメラレナイ)

歓喜の声は鳴り響く
―神がいらっしゃられた
 我らに幸福を―――

瞬間
前列の千人がカタチを失って
―――――――消える

血[アカ]に染まる少年
          /
           最高神

彼の手中に魔導書
  背後 剣、槍、斧、武器の海
  瞳  怒りと悲しみ
  全身 赤の鮮血
  少年 ―――― 少女

流れた歓声は悲鳴へと変わり
その場、修羅の嵐と化す
一夜にて屍の山
―――少年の前に

彼に残ったのは
少女の亡骸[オモカゲ]と髪留め[オモイデ]

神話は
一夜にて悪鬼の如く
破壊と悲しみのオトギバナシへ

人間界の降りた彼を残して
終わりを告げる、彼の帰る場所

少年はそれでも人を信じる

少女のような
ヒト[ムクナルココロ]を信じて――
9 神名備、ラクロ、凛
神名備:…終ったな
ラクロ:うん、終った…
凛:終りましたね〜…

ラクロ:結局、この話は何なんだ?
凛:Σ!?…ラクロさん…本人の話ですよね?
ラクロ:あ、いや…そだけど…何故に今更この話?と思って(汗)
神名備:んー……趣味?

ラクロ、凛:…な、なんですとー!?

神名備:こっちとしたらラクロが神界から降りて、旅を始めるまでを書きたかったんだけど…
凛:…後半滅茶苦茶でテキトーですね?(ジト目)
ラクロ:ショックだ…(ぐすん)
神名備:スマン、文才の無さがひしひしと滲んだ…(吐血)


神名備:読んでくれた方、ありがとうございましたッ♪感想等頂ければ、泣いて喜びます+では…(一礼)