1 ぺけぽん

簡易小説 本編

序章


エルヴンガルト。

この世界には『竜の王』という魔族の王がいた。

竜の王は『魔王』と呼ばれ、人々から恐れられていた。

その魔王はエルヴンガルトを滅ぼし、世界の征服を考えていた。

魔王は軍を率いてエルヴンガルトの街を次々に破壊していった。

怒涛の勢いで破壊を続ける魔王。

残すところは『ラダトーム』という城だけになった。

しかし魔王はすぐにはラダトームを攻めなかった。

理由は人々から恐れられ、その余韻に浸りたかったのだ。

魔王はラダトームの人間により恐怖を与えるため、ラダトームの傍に『竜王の城』を建てた。

川を一本挟んだだけの場所。

ラダトームの人々は恐怖から逃れる事は許されなかった。

しかし、

ラダトームには『小さな光』があった。

希望。

エルヴンガルトでは希望の事を『ロト』と読む。

ロトと名付けられた若者は魔王を倒すことを決意した。

エルヴンガルトを救うことを…。

ロトの旅は始まった。

ラダトームと竜王の城は川一つといっても、泳いで行ける流れではない。

陸地から向かう先々で、三人の勇士達と出会い、険しい道程の末、竜王の城へ着いた。

魔王との決戦。

壮絶な戦いの末、ロトと三人の勇士が勝利した。

喜ぶ四人。

しかし、瀕死の魔王は残りの力を振り絞り、世界を破滅する呪文『マダンテ』を放った。


世界は滅びなかった。

魔王の姿は無くなっていた。

人々も喜び、ラダトームではロトの帰りを待ち宴が開かれた。

だが…

ロトは帰って来なかった…。


ロトが消えてから三年たち、ラダトームの王は決意する。

ラダトーム王
『ロトは帰ってこない。エルヴンガルトを救うため命を落としたのかもしれぬ。ロトよ、わしはエルヴンガルトの名前を変えようと思う。魔王も勇者もいないこの世界の名前は…』


聖なる世界『アレフガルト』。


物語は…ここから始まる。
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序章


第二節

『進化の秘法』

エルヴンガルトがアレフガルトに名前を変え、二百年が経とうとしていた。

魔王に破壊された街も復旧し、人々は平和な日々をおくっていた。

その頃の魔族というと、小さな島で暮らしていた。

魔王亡き今、自分達で人間を滅ぼすことは無理だ。

そう思い、悲しみと苦しみ、そして怒りの中で二百年間を過ごしていた。

その中で今の魔族を仕切る、一匹の魔族がいた。

名前を『ドレアム』という。

ドレアムは、辛い魔族達に『頑張ろう。』と励まし続けた。

その言葉に魔族も心を打たれ、落ち着かせていった。

魔族が暮らす島には不器用に作られた墓があり、墓石には『竜の王』と書いてある。

ドレアムは毎日墓の前に行き涙を流した。

他の魔族には見られないよう、こっそりと…。

その日も、ドレアムは墓の前で泣いていた。

パキッ。

木の枝を踏む音がした。

ドレアム
『誰だ?!』

ドレアムが振り返ると、そこには魔族の娘がいた。

魔族の娘
『ドレアム様、無理をなさらないで下さい。』

ドレアムは初めて『感動』というものを覚えた。

月日がたち、やがてドレアムと魔族の娘は結婚した。

魔族の娘の名前は『ダーク』という名前だ。

魔族達は、ドレアムの励ましで笑顔が戻り、幸せに暮らしていた。


ところがある日。


魔族達は今後の人生を変える出来事がおこる。

それは、晴れた日の事だった。

雲一つない快晴だった。

魔族達が住む島に、人間達で達がやってきた。

魔族
『ドレアム様!人間達が攻めて来ました!』

ドレアム
『何だと?!』

ドレアムは立ち上がり驚いた。

魔族
『戦いますか?!』

しばらく考え、ドレアムは、

ドレアム
『私が行こう。』

そう言って家を出た。

ダーク
『あなた?!』

ドレアム
『心配するなダーク。話をするだけだ。』

心配そうに見つめるダークに、ドレアムは笑顔でそういった。

ドレアムが人間の前に行った時、ドレアムは恐怖した。

ドレアム
『…何だ……これは…。』

ドレアムの目に写ったのは物凄い数の、大砲を積んだ船だった。

ドレアムに向かって、船に乗っていた人間がこう言った。

人間
『我々は東の国のポルトガからきた。この島には貴重な物があってな。それを取りにきたんだ。』
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ドレアム
『貴重な物だと?』

人間
『ああ。我が国の調べによると、今のお前らが住んでいるこの島には【黒胡椒】というものがあってな。それを取りに来たんだ。』

ドレアムは思った。

ただ、その【黒胡椒】というものを取りに来るだけで大砲のついた船で来るものなのか。

何かある。

ドレアム
『…お引き取り願おう。この島にはそのような物はない。』

ドレアムは戦いになることはわかっていた。

それをさけたかった。

しかし人間は、

人間
『…そうか…。まぁ、どっちにしろお前らはここで殺すけどな。』

ドレアム
『どういうことだ?!』

人間
『我がポルトガ王は【黒胡椒】をとりに行くついでに、生き残った魔族を消してこいとおっしゃったのだよ。』

ドレアム
『ま、待ってくれ!その【黒胡椒】というものを持ってくる!だから島の者達には手を出さないでくれ!』

人間
『…撃て。』

その一言で島に大砲が発射された。

物凄い勢いで発射された大砲は、島を真っ赤に染め上げた。

魔族
『ギャアア!!』

あちこちで魔族の悲鳴が上がる。

ドレアム
『やめろ!お願いだ!やめてくれ!!』

ドレアムの事など全く聞き入れず、人間達は大砲を撃ち続けた。

人間
『ハハハ!凄い威力だ。【黒胡椒】が焼けるかもな!だが魔族をすべて消したとなれば、より素晴らしい名誉だ。どんどん撃て!』

ドレアム
『まずい!』

ドレアムは人間に背を向け自宅へと走った。

周りは火だらけで、あちこちに魔族の死体がある。

ドレアム
『ダーク!』

自宅は燃えていた。

ドレアムは扉をあけるとそこには横たわるダークの姿があった。

ドレアム
『ダ、ダーク!しっかりしろ!ダーク!!』

ドレアムはダークを抱き上げ叫び続けた。

ダーク
『…あ…あなた…。』

ドレアム
『ダーク!大丈夫か!』

ダーク
『…あ…なた……う。』

ドレアム
『何だ!どうした!』

ダーク
『…あり…がとう。』

ドレアム
『ダーク!ダーク!!』

ありがとう。その一言を告げ、ダークは生き絶えた。
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外では爆発音と微かに人間の笑い声が聞こえていた。

人間
『大臣!ありましたよ!【黒胡椒】です!』

人間
『よし!ならば引き上げるぞ!王にはいい土産話ができたわ!』


そんな言葉をよそにドレアムは涙を流しながらダークを抱き、墓へと向かった。

墓の前に着くとドレアムは魔王の強さを知った。

これだけの爆撃を受けても墓は倒れていなかった。

魔王が埋まっている訳ではないが、ドレアムは魔王の強さを知った…。

ドレアム
『ダーク、私たちが出会った場所だ。』

ドレアムはダークを空に掲げてこう言った。

ドレアム
『魔王!貴方が果たせなかった、人間を滅ぼすこと、我、ドレアムと妻、ダークで果たす!』

すると空から光がさし、ドレアムとダークを包んだ。

光が消えた時、ドレアムとダークの姿は無く、そこには全てを無くし人間への復讐を誓った魔王がいた。

魔王は身体を浮かせ、船の前へ飛んだ。

人間
『だ、大臣!何かきます!』

人間
『フン。魔族の生き残りだろう。もう一度撃てい!』

大砲が発射された。

しかしそれを魔王は弾き飛ばした。

人間
『な、き、効かない?!』

人間
『ば、ばかな!逃げろ!早く船を出せ!』

船がゆっくりと動き出した。

魔王
『愚かな。』

魔王の指先から火の玉が飛び出し、船に炸裂した。

人間
『うわぁー!!』

一気に船が燃え上がり、人間達は船から飛び降り、島へと上陸した。

人間
『た、助けてくれ!頼む!』

魔王は人間達にむかって、全身を震わせ冷たく輝く息をはいた。

人間
『ぐわぁー!!』

人間達は全滅し、その足元には【黒胡椒】が落ちていた。

魔王はそれを拾った。

魔王
『こんな物の為に…。』

魔王は墓の前に行った。

魔王
『先代魔王。貴方の意思、この私が受け取った。』


【魔王ダークドレアム】が…。


これが後に続く、魔族初めての、【進化の秘法】だった。


そしてダークドレアムは最強の魔王軍を作りだした。
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序章


第三節

『復活』

魔王軍が復活した。

その噂は世界中に広まった。

ダークドレアムは【進化の秘法】を利用して、次々に魔族を作り始めた。

魔族は人間と違い、寿命が物凄い長い。

完全な魔王軍にするためにダークドレアムは百年の時間を費やした。

その間は一切、人間を攻めなかった。

なぜならダークドレアムは物凄い数で人間を囲み、地獄のようにいたぶり、殺す。

そう決めていたからだ。

あの時、人間にされたように…。


そして百年たった今、魔王軍の攻撃が始まった。


魔王軍は色々な街を攻めた。

世界は魔族のもの。

そう思っていたが、砂漠の城【デルパドール】にそれを覆す人物がいた。
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第一章


『旅立つもの』

砂漠の城デルパドール

ここには【騎士団】という軍があった。

設立されたのは三年前の事だった。


三年前…

デルパドール女王
『魔王軍が復活した今、いつこの砂漠に攻めてくるかわかりません。その時に備え、【騎士団】を設立しましょう。』

この一言で、騎士団の志願者がデルパドールからはもちろんのこと、世界各国から集まった。

その数約百名。

この中でデルパドール騎士団の【騎士団長】をきめるため、トーナメント式の大会が開かれた。

そして…。

デルパドール女王
『優勝おめでとう。この国、いや世界を守り清く正しき【デルパドール騎士団長】になってください。』

【ランド】という若者は騎士団長になった。

若者
『優勝おめでとう!私が負けたのは初めてだ。』

ランド
『いや、紙一重だったさ。次に戦ったら負けるかもな。』

若者とランドは笑いながら話していた。

若者
『デルパドールにこんなに強い男がいれば安心だな。私は国に帰る事にするよ。』

ランド
『騎士団にはいらないのか?』

若者は苦笑いして答えた。

若者
『ああ。正直、始めから入るつもりはなかったんだ。自分の強さを知りたかったんだ。すまないなランド。』

ランドは黙って頷いた。

若者
『それに自分の国のこともあるしな。…そうだ!落ち着いたら私の国にもきてくれ。歓迎するよ。』

ランド
『ああ。いつか必ず行くよ。共にデルパドールとグランバニアをでかくしよう!』

若者はニッコリ笑い、ランドに手を差し延べた。

ランドも笑い、二人は握手をした。

若者
『じゃあな、ランド!』

ランド
『ああ。またなパパス!』

こうしてパパスという若者は去って行った。

ランドが騎士団長になり、デルパドールはどんどん強くなっていった。

こうして、魔族に引けを取らないデルパドール騎士団が誕生した。


後にランドは魔族にとって最大の敵となるのであった。
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デルパドール騎士団の初の戦いが起ころうとしていた。


ランドはデルパドール女王に呼び出され、地下にある庭園へ向かった。

ランド
『女王、お呼びですか?』

デルパドール女王はいつものように庭園でお茶を飲んでいた。

デルパドール女王
『そこにどうぞ。』

ランドはデルパドール女王の前にある椅子に腰をおろした。

デルパドール女王はお茶を一口飲み、口を開いた。

デルパドール女王
『一緒にお茶をのもうと思ったの。』

デルパドール女王はランドの働きを知っていた。

若くして騎士団長になったランドは、朝から夜まで働き続きだった。

毎日兵士に剣を教え、自ら剣を振り、魔王軍について書物を読んでいたのだ。

デルパドール女王
『たまには休みなさい。』

ランドはうっすらと微笑んだ。

ランド
『感謝します。』

デルパドール女王とランドがしばらく会話をしていた時だった。

兵士
『騎士団長!!』

デルパドール女王
『何ですか、騒々しい?』

ランドは持っていたお茶を置いた。

ランド
『どうした?』

兵士
『ま、魔王軍です!魔王軍が攻めてきました!!』

ランド
『ついにきたか。…よし。騎士団に出撃命令をだせ!』

兵士
『わかりました!』

兵士は走りだした。

デルパドール女王
『ランド。』

ランド
『はい?』

デルパドール女王
『いつも通り、冷静に行きなさい。そして絶対負けないでくださいね。』

デルパドール女王は落ち着いて言った。

ランドは微笑み頷いた。


外ではもう魔王軍と騎士団の戦いが始まっていた。

兵士
『うおぉ!』

魔族
『ギシャア!』

五分と五分の戦いだったが、ランドが参戦し騎士団が有利になった。

ランドの一降りは魔族を確実に仕留めていた。

天性というものだろうか。

初めての戦いではないかのように、ランドは落ち着き力を発揮した。

魔族
『ギギィ!』

魔王軍は怯んだ。それをランドは見過ごさなかった。

ランド
『今だ!叩き込めろ!!』

兵士達
『おぉ!』

ランドの一言で騎士団の勢いが上がった。


勝てる。


皆がそう思ったときだった。
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魔族
『ギィ!』

魔王軍は少し距離を置き【魔法】を唱えた。

兵士
『うわぁ!な、魔法だと!』

デルパドール騎士団が驚くのも無理もない。

始めて見た魔法だったのだ。

魔族は人間が怯んだのを確認すると、次々に魔法を唱えた。

短距離攻撃の騎士団と、遠距離攻撃の魔王軍。

形勢は一気に逆転された。

兵士はどんどんやられていった。
ランド
『くそぉ!ここまできて負けるものか!』

諦めずにランドが戦っていた。

その時、空が光った。

ランド
『?!』

物凄い光と音が鳴り響いた。


しばらくしてランドは、うっすらと目を開けた。

そこには魔王軍が誰もいなかった。

ランド
『…な…なんだったんだ…。』

魔族にやられた左肩を抑えながら辺りを見回した。

これは夢だろうか…。

そう思った時、空に白い光に包まれ、目を閉じた人間が浮いていた。

ランド
『!!』

その光はゆっくりと降りてきて、着地すると光がきえ、人間が倒れた。

ランドが近付こうとすると、

兵士
『騎士団長、ご無事ですか?』

兵士の一人が起き上がりそういった。

ランド
『ああ、皆を起こしてくれ。』

兵士
『…その若者は?』

兵士はランドの前に倒れている、人間に気付きいった。

ランド
『まだ、よくわからないが、おそらく助けてくれたのだと思う。』

兵士は一人、また一人と起き上がった。

ランド
『皆、魔王軍はいなくなった。城へ戻るぞ。』

兵士
『ほ、ほんとですか?!』

兵士達は跳びはね喜んだ。

ランドは倒れている人間を抱えた。

兵士
『連れていくのですか?』

ランド
『ああ。命の恩人かもしれんしな。』

そういって、デルパドール騎士団は城へ戻った。
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城へと戻った騎士団は大忙しだった。

傷を治す者、魔法について調べる者、自分の剣の未熟さに剣を振るう者。

その中でランドは自室にデルパドール女王といた。

ランドは若者を自分のベッドに寝かせ、椅子の上に腰を下ろした時、女王が口を開いた。

デルパドール女王
『…無事で何よりでした。』

ランドは苦笑いをして答えた。


ランド
『負けていました。この若者が助けてくれなかったら、私は死んでいたかもしれません。』

デルパドール女王
『…この若者は?』

女王はランドが戻ってきた時から気になっていたことを聞いた。

ランド
『…。』

ランドは一通り女王に話した。


デルパドール女王
『そうだったの。とにかくあなた達、騎士団はいい働きをし、デルパドールを守ってくれました。ありがとう。今日はゆっくり休みなさい。』

ランド
『ありがとうございます。』

笑顔で女王は立ち上がり部屋を出ていった。

ランド
『この若者は一体何物なんだ。…それにあの光は…。』 

しばらく考えていると外は日が暮れ、暗くなっていた。

うとうとしているランド。

すると、 

若者
『…う…ん……。』

ランド
『?!』

眠りかけたランドは目を覚ました。

若者はゆっくりと目をあけた。


若者
『…ここは…?』

ランドに気付いた若者はそう、問い掛けた。

ランド
『気がついたか。ここは砂漠の城デルパドール。私の名前はランドだ。君は?』

ランドもまた問い掛けた。

若者
『…デルパ…ドール…?』

ランド
『知らないのか?』

ランドは驚いた。

今や砂漠の城デルパドールといえば、世界中に有名なはず。

そう思っていたからだ。

若者
『ごめん。わからない。』

ランドは苦笑いをした。

若者
『僕の名前は、ロト。』

ランド
『…ロト?』

どこかで聞いたことがある。

ロトは続けて言った。

ロト
『僕はひとりだった?』

ランド
『ああ。覚えていないのか?』


ロト
『…そんな…。』

ランド
『…ロト、君は…。』

そしてランドは今日の出来事をすべて話した。
(PC)
10 一期一会
気になっていたのですが、この続きってないんですか?終りですか?
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11
ぺけぽんさんのホームページにありますよ。
(EZ)
12 一期一会
友さんありがとうございます。
(SH902iS/FOMA)
13 一期一会
ちなみにどこにありますか?
(SH902iS/FOMA)
14 はぐ
続きと言うか続きじゃなくて、う〜ん とりあえず、ぺけぽんさんのホムペを見て下さい。
凄く良い小説になってます。
(EZ)
15
♂ 16歳
簡易小説という所にありますよ。
(EZ)
16 一期一会
このストーリーは終わってるんですか?いいかげんな人(笑)
(SH902iS/FOMA)