1 おやじ

本籍地のこと

 私の母は言った。独立していくのだから本籍地は移して、住民票と一緒にしておくと、何かと便利だよと。

 上京以来そうして来た。本当に便利だった。上に同じなんてね。

 あのとき、本籍を移さなかったのは、お前さんの一言だよ。「私が育ったところを本籍にしても良いの?」

 以来、転居はしているが、そして本籍を移すのは簡単だが、今だにわが夫婦の本籍はそのままだ。面倒だねえ。

 いまだに気になっていること。「部落」近く出身の上司が、私が住所変更届を出したとき、我々は何があっても本籍は変更しないと言ったことなんだ。

 本籍を替えることは、「部落民」の出自隠しなんだとか。本籍とはそのために有るのかなあ。

 「部落」を知らない私たちには全く理解できない事だが、そう言う事も有るらしい。

 本籍の有る「八幡山」は、お前さん達を育てるのに、本当に良い環境で、お前さんが故郷にしたいと言う意味が理解できたから、移さなかったと、これからも覚えておいて欲しい。

 長くなってご免。
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あの家が私のふるさと・・・のはずが、
今はすでに見たこともない建売住宅が建っているんだよなぁ。

心の中ではすぐに思い浮かべられるあのボロ屋。

たまにあの辺を歩いてみたくなったりするけれど、ふるさとの「家」はもう無いから、もう行かないかも。

結局私の免許の本籍地も、あの家のままです。

ってか、本籍地なんて必要ないのかも。
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3 しまでん
 昔、近畿地方では履歴書に本籍地を書く欄がなくて、書かせると「差別するのか」ってすごく怒られるって聞きました。
 僕の大学入試の頃は履歴書に「本籍地」って欄がありましたが、最近はないですね。既成の履歴書に「本籍地」の欄。
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そうね。
昔は、どこが被差別部落なのかを一覧にしてある本が出ていて、企業は本籍地がそこに無いかどうか確認してから採用したりしていたみたいだしね。
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